大涅槃図研究 | 京都雲龍院 寺庭婦人のブログ

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京都東山泉涌寺別院 雲龍院でのちょっとした出来事を皆さんに大公開!

「寺庭婦人」である私がblogを始めました。「寺庭婦人」とは「じていふじん」と読みお寺の奥さんの事です。私なりに雲龍院を徒然なるまま ご紹介いたします。

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先々月のことですが 泉涌寺を守る会 の名誉総裁でいらっしゃる 秋篠宮殿下 が泉涌寺の 大涅槃図をご覧になられたい とのご所望があり、プライベートのお成りが本山にありました。
涅槃図は3月の涅槃会に仏殿で公開されますが、あまりにも大きいので 天井から床までコの字形に掛けられます。「殿下のご下問に即答出来るように 動物園の園長さんにもご足労頂くんだよ。」 と住職から内緒の情報。 涅槃図には 沢山の動物が描かれているからねぇ~。 「あれ? 動物なんか 描かれていたかしら…?」 「あの大きな涅槃図をどうやって妙応殿に運び入れるの~?」 数々の疑問で興味津々の私に、当日 「山内婦人もよかったら…」 とこっそりお声がかかりました。
殿下と10人程の研究者さん達は部屋いっぱいに広げられた 大涅槃図にどよめきながらそれぞれ 興味のある箇所に散らばっていかれました。学芸員の 西谷さんが緊張した面持ちで殿下にご説明申し上げる中、隅っこで聞き耳を立てる私…。 大涅槃図はあまりの大きさに 東大寺に掛けられる為に描かれた という説がありますが、今回の調査で 最初から泉涌寺の涅槃会で使用する目的だった事が判明し、 コの字に 立体化させる事で 後世の信者も 悲しみの現場の一員となったかのような 視覚効果を狙っているのだという 解説に感動しておりました。
住職達 僧侶は もっと年代の古い 小さい方の涅槃図に興味があったようで…。下部に描かれた動物や昆虫に注目しておりました。 「大きいですね~ このムカデ…」 「ムカデは毘沙門天の御使い だと言われているから描かれたのでしょうかねぇ…?」
そろそろ こヤツ の季節がやって来る…。入滅の悲しみと共にムカデの恐怖心がよぎる 山内僧侶と婦人達なのでした。