365の伝えたい話(281) 頑張れ!! | ミラノ空手師範のブログ

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イタリア ミラノで琉球少林流空手道を教えています。
日々の稽古で気づいた事を綴っていきます。

指導者の人で一番多く使う言葉おそらく「頑張れ!」ではなかろうか?

私も「頑張れ!」はよく言う方である。

ただ、友人に向かって「頑張れ!」というのと、

指導者が生徒(門弟)に「頑張れ!」という場合は明らかに違うと私は捉えている。

武道を習う門弟はそれこそ毎日、毎日同じ稽古を繰り返し、

それを何年も何十年も続けなければいけない。

そういう「稽古」において毎回「頑張れ!」一辺倒では

門弟は遅かれは早かれ「道」の途中で疑問と迷いを生じる。

なので私は、この単調な稽古の先に何が待っているのか

指導者であるならば、明確に教えてあげる必要があると考える。

これは帯が上がるごとに目指すものが変遷していくので、

次の昇級で「あなたが習得しないといけないことはコレコレだよ!」と伝え

その上で「頑張れ!」と応援の言葉を口にする。


ただただ、昇級ごとに違う型を憶え、それができたら一つ上の級へ・・・

だから「頑張れ!」というのは如何なものだろうか?


それは武術を身につけることになるかも知れないが、

武道の「道」を歩んでいるとは言えないような気がする。(あくまで私見だが・・)

・道場の入り口付近で靴が揃えられてない。

・目を見て挨拶できない。

・返事が小さい。

・防具を粗末に扱う。

・組手でただただ相手を倒すことしか頭にない者。

こんな当たり前のことすら出来ていないのは、

上記掲げたそれぞれの行動にどういう意味があるのか

説明もしない指導者に問題があると私は思う。

「靴を揃えろ!」「目を見て話せ!」「大きな返事をしろ!」・・・

だけ言ってるのは「頑張れ!」とだけ言ってるのと同じで

「何故?」の部分が欠落している。

子供は賢いので、一度でもちゃんと理由を丁寧に説明してあげれば

大抵の子は理解した上で行動に反映することができる。

しかし、悲しいかな「頑張れ!」と言う指導者は世の中一杯いるにも関わらず、

「何のために?」を明確に伝えている指導者があまりにも少ない。

だから、

指導者によって道場のカラー(門下生の質)が180度違う

ということが出てくる。

180度違うとはどういうことか・・・・

指導者が違うだけで門弟を真逆に導いているということである。


冷静に考えると空恐ろしいことである。

また、180度真逆に導かなければいいのか・・・というと、それも違うと考える。

「頑張れ!」というだけで、

具体的な方向に導いていない場合、次の2つの危険性を秘めていると思う。


一つは門弟をその場に留まらせておくだけで、進歩が殆ど無い状態にしてしまう。
(これはいくら次から次へと技を教えたところで、「道」を進んでいるとは言えない。
多くの道場では上級の技を覚えることをもって昇級と勘違いしているような気がする)

もう一つの場合は門弟に「モチベーションが上がらない・・・」と言わせてしまうこと。
つまり路頭に迷わせる状態にしてしまうということ。


本来、指導者は胃に穴が空くくらい

門弟1人1人のことを考えなければいけない立場にあると私は考えている。

たとえ指導が思い通りにいかなくても、

重責を担っているという意識だけは常に持っていたいものである。


宗家から指導者を任されたのであれば、

自分の「仕事」を理由にいい訳めいたことを門弟に言うのだけは

厳に慎まなければならない。

つまり、「言い訳」が一切認めらないのが黒帯指導者だと私は思っているし、

イタリア本部の門下生は全員その意識を持つように指導している。

現に、わが門下生には「でも」、「だって」を今後一切口にしてはならん!!

と4、5日前に言っている!!

入門するということはなかなかキツいものだということを我が門下生も薄々感じてきてる。




厳しいのー。