写真はDarnell Barton=ダーネル・バートンさん(37)/YouTubeより、10/30にアップされたもので既に128万アクセスあり、いい話だなぁ。あんな大男が素早く飛び出したら、それだけで落ちてしまうかもしれない。ゆっくりと(それしかできなかったかも・・・)女性に近づき、サッと助けた。この美談に金持ちのドナルド・トランプ氏は1万ドルを送った。

http://youtu.be/H9l2TaLb9Xs

 

【産経11/15-バスの防犯カメラは見ていた 女性の飛び降り自殺をとめた一部始終】

 米ニューヨーク州バッファローで、橋から飛び降り自殺しようとしていた女性をなだめ、助け出したバス運転手の男性の行為を称賛する声が全米で上がっている。バスの防犯カメラが一部始終を映し出し、メディアが取り上げ、インターネット上を駆け巡った。

 

 一方でカメラはしばしばバス運転手による問題行動も捕らえ、米国の世間をにぎわす。そのギャップの大きさには驚かされる。日本でもバスの運転手の不祥事がたびたび持ち上がるが、カメラに映らないところで飲酒したり薬物に手を染めていては、利用客はどうしようもない。(篠田丈晴)

 

 ■するべきことをしただけ

 米メディアなどによると10月18日、北東部ニューヨーク州バッファローのバス運転手、ダーネル・バートンさん(37)は、高校生らを乗せて走行中、橋のガードレールの向こう側に座り、今にも飛び降りようとしている若い女性に気づいた。バートンさんがバスを止め、運転席から「大丈夫か?」と彼女に声をかけたが、反応がなかった。

 

 このためバスを道路脇に寄せて停車させ、女性のもとまで慎重に近づき、彼女の腕に手を伸ばし抱きかかえた。さらに警察が到着するまでの20分間、彼女の隣に座って親身になって話を聞いてあげたという。警察に救出された際には、バスの乗客や通行人から大きな拍手が起こった。

 

 バートンさんは地元テレビ局の取材に、「するべきことをしただけ。私はサッカーをしているが、試合中にコーチに、出番だと指名されてグラウンドに出るのと同じだ」と答えた。バートンさんが行動力のある男性であることには間違いない。

 

 ■防犯カメラが“ヒーロー”演出

 バートンさんの機転の利いた行動は誰もがまねできることではない。映画やドキュメンタリー番組の格好の題材にもなりそうな話である。彼は取材に対して、「私はその瞬間、彼女のためにそこにいたんだ」とも話している。さらに運行ダイヤに厳しい日本では、仮に今回のようなケースをバスの運転手が発見しても、警察や消防などに通報するのが関の山だったかもしれない。

 

 しかしそれ以上に注目したいのが、バスに備え付けられていた防犯カメラの存在だ。バートンさんの咄嗟(とっさ)の行動の一部始終を映し出し、彼を一躍ヒーローに押し上げた。

 

 米国では今、情報機関による盗聴疑惑が大きな問題になっている。そんな中、この国の公共の路線バスでは防犯カメラに加え、乗員・乗客を撮影して会話も録音する監視システムの設置計画が進められているという。バッファローの路線バスにこれが取り入れられているかは不明だが、一部報道によると、カリフォルニア州サンフランシスコやメリーランド州ボルティモアなどではすでに設置が始まっているという。

 

 もちろん、密室空間であるバス車内での犯罪抑止などが目的なのだが、やはり人権団体からは「プライバシー保護」の意味で批判の声が上がっているようだ。

 

 ■問題行動の“日米差”

 今回のバートンさんの行動が称賛される一方で、米国ではバス運転手による問題行動がしばしば世間をにぎわす。“監視システム”の計画にはこうした背景があるのかもしれない。

 

 例えば、日本のテレビに映像が取り上げられたこともあるが、2011年には北西部オレゴン州の路線バス車内で、泣き止まない子供をあやす母親に対し、運転手が暴言を吐いた。「泣き止むまでバスを走らせない」。しつこく言われた母親はバスを降りたのだが、他の乗客たちも抗議の意味を込めて次々と下車した。後日、バス会社はこの運転手を処分したという。

 

 また、東南部フロリダ州では、スクールバスの運転手が障害がある8歳の女の子をバスの降り口で蹴っている映像が公開された。女児はバスから転倒し足首を骨折したという。

 

 同じバス運転手であるバートンさんの行動とのギャップの大きさに驚かざるを得ない。

 

 日本では乗務中に粗暴な行為に及ぶバス運転手をあまり聞かないが、飲酒や薬物使用などをめぐる不祥事はしばしば露見する。平成23年には大阪市交通局のバス運転手が覚醒(かくせい)剤取締法違反容疑で逮捕、起訴された。今年10月には奈良交通バスの運転手が酒を飲んで乗用車を運転したとして、道交法違反(酒気帯び運転)容疑で逮捕されている。

 

 乗務中ではないが、防犯カメラのないところで“プロの運転手”という意識が希薄になってしまうのは残念だ。