越前竹人形 | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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レンタルビデオ鑑賞日誌



(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

越前竹人形 [DVD]/若尾文子,中村玉緒,山下洵一郎
¥4,935
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内容:銀幕のヒロインの代表作をリリースする“大映女優と巨匠シリーズ”第1弾に若尾文子主演作品が登場。越前に暮らす喜助は、亡き父の娼妓だった玉枝と結婚するが、父への想い故に彼女を抱くことが出来なかった。そんなふたりに、ある日、悲劇が訪れる。 (Amazonより)


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はい!今週の若尾文子 様枠は、1963年製作「越前竹人形」です!

監督はこれまた吉村公三郎 、原作は「雁の寺」水上勉です。





竹神集落は越前の国武生の寒村で竹細工の産地として知られている。竹細工の名人といわれた父吾左衛門を失った一人息子の喜助は、仕事場へ見知らぬ美しい女の訪れを受けた。かつて喜左衛門に世話になった、芦原の遊廓に働く遊女玉枝であった。喜助の心の中に玉枝の面影は強く残った。名前を頼りに探しあてた喜助は、喜左衛門の作った竹人形を見せられ、その傑作に感動した。玉枝の境遇に同情した喜助は、百五十円の大金を苦面して竹神の家に来てくれと頼んだ・・・(goo映画より)




はい、昭和初期の福井(=越前)を舞台に、とある竹細工職人とかつて遊女だった女との

悲恋を描いた作品です。



越前・竹神集落。竹細工の名匠として知られた父吾左衛門を亡くした息子喜助

(山下洵一郎)は、父に負けぬ職人になろうと志した矢先、一人の美しい女の訪問を受ける。

女は玉枝(若尾文子)名乗り、生前吾左衛門の世話になった芦原の遊女だという。

墓参りだけして早々に帰った玉枝を忘れる事が出来ず芦原に赴き玉枝と再会した喜助は、

そこで吾左衛門から貰ったという竹人形に魅せられ、玉枝を身受けするために

大金を工面するが…ってなお話。



で、感想なんですが…









キネマの天地 ~映画雑食主義~



若尾さんが神!!! (/ω\)キャーーーッ!!



いやーもう何でしょうこの神々しいまでの美しさ!!\(゜□゜)/

それだけで観る者を満足させてしまうほどの説得力がありますな、ウン。



この作品、まぁそれが吉村監督の特徴って言っちゃえばがそれまでなのかもしれませんが、

同じ若尾さん主演で女の情念を描いた作品でも、川島雄三監督「雁の寺」

増村保造監督「清作の妻」 などと比べると、いささかアッサリ風味で若干の物足りなさを

覚えるのも否めません。

それにストーリーそのものはそんなに面白くは無いですしね。。。(-"-;A



だがしかーーーーし!! それを補って余りあるのが、名カメラマン宮川一夫による

珠玉の映像美!!(ノ゚ο゚)ノオオオーッ!! これがもうとにかく素晴らしく美しいんです!!

鬱蒼と笹の葉生い茂る竹林の中に差し込む眩いばかりの陽光。

真夏に撮影されたとは到底思えない豪雪降りしきる越前の村落。

住人の息吹を直に感じるような錯覚すら覚える精緻な屋内の情景。

そして果てしなくどこまでも続くような奥行き深いロングショット…

まるで溝口作品を彷彿とさせるような珠玉の映像美は、もうそれだけで観る価値アリかと。



キャストも良かったです。

前述のとおり若尾さんの美しさは神々しいばかりですし、相手役を務めた山下洵一郎さん

玉枝を心から愛しながらも愛し方がわからず苦悶するちょっと屈折した草食男子(笑)を

若手らしい瑞々しさで好演しております。

また助演陣に関しても、蛇のように狡猾で厭らしい竹細工問屋の番頭を演じた西村晃さん

玉枝の唯一の親友である遊女お光を演じた中村玉緒さんらが見事に演じてらっしゃいますし、

中でも素晴らしかったのが終盤に出てくる船頭を演じた中村鴈治郎さん!!

もーなんて芸達者な方なんでしょう、重く苦しく哀しい終盤の展開においてまさに“救い”

なってましたよ。



あとこれは映画本編とは関係ないのですが、映像特典として若尾さんがこの作品について語る

インタビュー映像が収録されています。時間にすると10分にも満たない短い物なのですが、

当時の裏話や若尾さん自身による演技評なんかも聞けてなかなか興味深い内容に

なってますよ。若尾さんファンなら必見でしょう!




総評。

ストーリーにもうちょっと深みがあれば「清作の妻」などと並ぶ傑作になり得たと思われるだけに

ちょっと惜しい気もしますが、しかしこれはこれで十分に見応えある作品でしたよ。

古き良き時代の日本的美を存分に堪能できる作品です。

ってワケでオススメ!!