暗黒街の弾痕 (1961年 岡本喜八版) | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

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内容:『暗黒街の対決』に続き関沢新一が脚本を手掛けた、岡本喜八監督による「暗黒街」シリーズの1作。テストドライバーだった兄の事故死を不審に思った男が真相を探ろうとするが、その裏には国際的な産業スパイ団の暗躍があった。加山雄三と佐藤允が共演。(amazonより)


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はい!今週の岡本喜八 1本目は、「暗黒街シリーズ」の第三作目ですねー、

1961年製作「暗黒街の弾痕」です!

このタイトルといえばもちろんフリッツ・ラング監督の作品が有名ですが、例によって

本作とは何の関係もございませんので念のため。


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※レビューも書いてます ⇒「暗黒街の弾痕」(1937年 フリッツ・ラング監督)





山間の峠道「三角峠」で高性能エンジンをテストしていた草鹿一郎は、飛びだしたダンプカーにはねられ崖下に転落していった。技師小松の知らせで兄の急死を知った捕鯨砲練習所の指導員草鹿次郎は、コマツモータースで兄の死が産業スパイの犠牲になったのではないかと聞かされた。産業スパイとは産業界の新しいアイデアを盗みそれによって莫大な利益を得んとするニュータイプの悪の組織だ。その晩次郎は盛り場の飲み屋で大学時代の親友須藤健に再会した。健はインチキ週刊誌と悪質のトップ屋を兼業している男だ。その健が狙っているのはあらゆる悪事に手を染めてる互栄経済研究所長大鳥とマルサンビル工事に関する暴力団能中組の不正だった・・・(goo映画より)



はい、高度経済成長に伴い激化しつつあった自家用自動車の開発競争を背景に、

甘い汁を吸おうと群がる産業スパイら闇組織と、陰謀を暴くべく彼らに迫る二人の男の

対決を描いたアクションサスペンスです。



自動車エンジニアの草鹿一郎がテスト中に事故死した。一報を受けた弟の草鹿次郎

(加山雄三)は、事故の状況に不審を抱き独自に調査を開始する。

一方、次郎の学生時代の親友だった須藤健(佐藤允)は、黒い噂を嗅ぎつけては

その情報を元に金をたかるインチキ雑誌社を経営していた。その日も闇組織と

繋がっているとの噂が絶えない経済研究所所長大島有策(河津清三郎)から

“小遣い”をせびった須藤は、次郎の兄の事故に大島らが関与していると睨み、

大島の息がかかったナイトクラブ「パロゾン」に乗り込むが・・・ってなお話。




同じく自動車業界に巣くう産業スパイの暗躍を描いた作品に、増村保造 監督

「黒の試走車」 がありますが、あちらも本作の一年後に製作されてますからねー、

きっとホントにそういう時代だったんでしょうな。

但し本作は「黒の試走車」と比べるとよりエンターテインメント色が強く打ち出されてます、

社会派サスペンスじゃなくてアクションを中心とした完全な娯楽作でして、その辺は

増村監督と岡本喜八監督の違いがそのまま出てるといっていいでしょう。



小さな会社ながら画期的な高性能エンジンを開発した小松自動車だったが、

その性能テスト中にエンジニアの草鹿一郎が事故死、その背後には財界だけに留まらず

闇社会にも顔が利く大島やその側近の志満(中丸忠雄)前川(草川直也)

そして暴力団員能中(大木正司)らの影が。兄の死の真相を究明すべく乗り出した

捕鯨漁指導員の次郎は海の男らしく真正面から大島に向き合うが、逆に命を狙われ

危ういところを須藤に助けられ・・・ってな展開の本作は、まぁ簡単に言っちゃえば

加山雄三さん佐藤允さんがコンビを組んで巨悪に立ち向かうというバディ物ですねー、

いつもの大根スレスレの演技(爆)でバカ正直な熱血漢次郎を演じる加山さんと、飄々とした

態度で真意を量らせず巧く立ち回る男須藤を演じた佐藤允さん、それぞれの持ち味が

活かされててなかなかいいコンビでしたよ。


 また脇役陣も魅力的でしたねー、いつものとおり河津清三郎さんはさすがの貫録だし、

一見すると堅い公務員風の“経済ヤクザ”前川を演じた草川直也さんも素敵でした。

あと須藤の助手三木を演じたミッキー・カーチスさんも今回は出番が多くて

目立ってましたねー♪


・・・でも何と言ってもイチバンは、ナイトクラブの歌手を演じた島崎雪子さんと

3人のヒットマンでしょーーーーっ!!ヘ(゚∀゚*)ノ

はい、またやってくれました喜八監督( ´艸`) 前作「暗黒街の対決」 でも書きましたが、

ストーリーとは何の関係も無いコーラス隊が再び登場します。

見るからに妖しい雰囲気を漂わせる島崎雪子さんをメインボーカルに、3人の黒尽くめの

男たちが何とも形容しがたい素敵な(←)コーラスを披露してくれますよっ!ヽ(゜▽、゜)ノ

真っ暗闇の中に4人の顔だけが浮かび上がるとゆー遊び心満載の演出が

素晴らしすぎます!!(≧▽≦) 思わず3回連続繰り返して観ちゃいましたよw





総評。

まー天本英世さんをはじめとするヒットマン達が異常に弱かったり加山雄三さんが異常に

強かったりとツッコミどころは多々ありますが、悪党たちの中でもそれぞれの思惑が

蠢いてたりしてサスペンスとしてもなかなか楽しめましたし、さりげないユーモアも

効果的な「これぞ娯楽作!!ヘ(゚∀゚*)ノ」というべき作品でした。

あ、言い忘れてましたがもう一人、第3の主役的な役回りの刑事を三橋達也さん

演じてまして、これまた素敵でしたよー♪(^-^)/

ってワケでオススメです!!