百万円と苦虫女 | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

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内容:タナダユキ監督、蒼井優主演のオムニバス風ドラマ。短大を卒業後、就職できずにアルバイトで生計を立てる玲子。ある時、警察沙汰を起こしてしまった彼女は、以来バイトに打ち込み、100万円が貯まるたびに住む場所を変えていくのだが…。(Amazonより)


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はい!実は何気に公開当時からずっと観たいと思っていた映画なのでした、

タナダユキ監督・蒼井優主演「百万円と苦虫女」でございます。



短大を卒業後、フリーターをしている鈴子は、バイト仲間からルームシェアを持ちかけられて実家を出る事にした。しかしひょんな事から事件に巻き込まれ、警察沙汰に。前科者になってしまった鈴子は、「百万円貯まったら出ていきます」と家族に宣言し、バイト掛け持ちで懸命に働く。やがて実家を出た鈴子は、とある海辺の町にたどり着く。海の家で働き始めるが、貯金が百万円貯まると、あっさり次の土地を目指して旅立つのだった…。(goo映画より)





蒼井優って、普通の女の子ですよね。


…って別に貶してる訳ではありません、むしろ褒めてます。

決して一瞬で衆目を集めるような華やかさや強い個性は感じないんだけど、なぜか

出演作を観ると、例え主演じゃなくても一番印象に残ってたりする。

それは今ほど人気が出る以前からそうだった、「リリィ・シュシュのすべて」とか「害虫」とか。

ワタシなんかは彼女の“普通さ”によって、“普通であることの普通じゃ無さ”を

意識してしまうんだけど。

でも一方で「最初からフツーじゃ無い役」をやってる彼女も好きなんだよなぁ、

「亀は意外と早く泳ぐ」 みたいな。

よ~するに“普通”なんだけど普通じゃない、、いい意味でなんとも捉えどころの無い

女優さん、ってなイメージをワタシは勝手に抱いてるわけですよ、って言ってる事に

捉えどころが無いですな、ウン。(-"-;A



ともあれ、そんな彼女が主演している本作。


…うん、これはもう“蒼井優ありき”の映画」そう言っちゃっていいんじゃないかなぁ。



前科があって、友達が一人もいなくって、百万円貯まるごとに居場所を変える女、鈴子。

そこだけを見ると明らかに普通の女の子じゃないんだけど、でもその内面は

人と正面から向き合うことが苦手な、ごく普通の女の子だったりするわけで。

この辺、蒼井優にはまさにうってつけの役なんじゃないですかね。



この何かと生きづらい(らしい)世の中で、人は時に自分の居場所がわからなくなったり、

自分自身がわからなくなったりするようで。

んでもってそんな時は“自分探しの旅”とか“癒し”とか称して、沖縄だったり北海道だったり

どこかそれまでの日常とは違う場所へ旅するのがある種の流行になってたりするようで。


しかし本作の鈴子は、それをきっぱり否定する。

「むしろ探したくないんです」と。

「探さなくたって、いやでもここにいますから」と。

主人公にこう語らせる監督・脚本のタナダユキを、私は信じたいと思った。




総評。

田舎の描写等に多少「おや?」と思ってしまう部分はあったし、決して声高に「傑作だ!」と

叫びたくなるような作品では無いけれど、良い映画とか悪い映画とか、そ~ゆ~明確な判定を

下すこと自体が無意味な気がするなぁ。

だってさ、人生に良いも悪いも無いじゃない? いやでもそこに在るんだから。


っつーわけでまぁ何はともあれワタシはこの作品好きですねってことで。それだけで十分。

以上。