隠された記憶 | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

隠された記憶



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ストーリー:美しい妻と息子と共に幸せな生活を送るTV局の人気キャスター・ジョルジュの下に、ある日送り主不明のビデオテープが不気味な絵と一緒に届くようになり…(Amazon.co.jpより)


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う~ん、悔しいなぁ。敗北感を味わいました。監督との勝負に負けた気がする、そんな映画。


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主人公の元に送られてくる謎のテープ。贈り主は誰なのか?そしてその目的は?ストーリーが進んでもなかなか明らかにされない謎と、遠めの位置に固定したカメラで撮った長回しの(まるで盗撮のような)映像によって、観ている側はヒントを見逃すまいと常に緊張感を強いられます。一般的にいえば「動きも無くダラダラと長いシーン」が多いはずなのに、最後までダレることなく映画に引き込まれました。





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予備知識ゼロで臨んだ私は、巷で『衝撃のエンディング!』などと言われていることも全く知らなかったため、何も明らかにしないまま唐突に訪れた終幕に『え?終わり?』と呆気にとられ、もう一度見直してようやくそのエンディングの意味がわかりました。つまり『衝撃の~』と言っても『セブン』や『SAW』のようなものではないということですね。非常にさりげないのでこれから観る方はご注意を。




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「『疾しさ』とは何かと思っていました。これで分かりました」


この台詞がこの映画のテーマでしょうね。ちなみに余談ですが、この作品を観て私は何故か東野圭吾の著作「悪意」を思い出しました。


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私はなかなか好きな作品ですが、かなり好みの分かれる作品だと思いますのでオススメはしません。以下私なりの真相の考察です。ネタバレ含みますので未見の方は読みとばして下さい。




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結論から言えば、主犯はマジット。その息子とジョルジュの息子ピエロが共犯。


マジットの自殺は、ジョルジュにその罪の重さを知らしめるための決意の行動であり、今回の事件は幼少期の事件後人生に絶望したマジットが、最後に身を賭して行った強烈な復讐劇である。


おそらく当初は、目の前での自殺までは考えてなかっただろう。マジットはただジョルジュに一言謝ってもらいたかったのだと思う。しかしジョルジュはその傲慢な性格と疾しさから、マジットに謝るどころか罵倒する。ジョルジュの去り際にマジットが言った「会えて嬉しかったよ」、あれは本心であろう。まだわずかに幼少期のいい思い出も残っていて、それにすがりたかったのだと思う。しかし最後の願いすら叶わぬことを知り絶望を深めたマジットは、自らの死という形でジョルジュに復讐したのだ。









ピエロが協力した動機はやはり母親の不倫。その証拠にピエロはジョルジュに対しては概ね従順である。ここで実際に不倫の事実があったかどうかは重要ではなく、ピエロが「不倫だ」と思ったということだけで十分である。思春期特有の潔癖さは、それだけで十分動機になりうる。おそらくマジット親子が何らかの手段で抱き込んだのだろう (“一見不倫のように見える”場面の盗撮画像を見せた、など)。




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エンディングの解釈は人によって様々だろうが、私は「まだ終わっていない」ことを示していると思う。マジットの死に対する疾しさから、ジョルジュは解放されることはないだろう。ピエロもまた、母親への不信は拭えずにいる(母親本人が否定したことにより、むしろ深まったと想像できる)。 おそらくマジットの息子があれ以上関与することは無いだろうが(彼の中ではジョルジュとの対話で決着した)、家族に元の平和な生活が訪れるとは到底思えない。




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