前回、「ウルトラハットのお弁当」を作ってもらったというお話をしました。
その方の他のお弁当紹介はこちら
アメリカ横断ウルトラ・クイズの象徴とも言えるウルトラ・ハット。
今日は、このお話を書いて見たいと思います。
挑戦者が解答ボタンを押すと、帽子の上の?マークが、ピョコーンと立ち上がるウルトラ・ハットは、ユーモラスな動きで視聴者に親しまれた存在でした。
このウルトラ・ハットは番組の象徴的な存在で、私達スタッフと共に世界中を旅しました。
クイズ会場に見物人が居た場所では、外人さんが一様にその動きに楽しげな笑顔を向けてくれました。
挑戦者の皆さんは、多分、あのハットが立ち上がった時の感触を忘れられない事でしょう。
ウルトラ・ハットは番組の生命のような存在なので、スタッフには大切に扱われていました。
性能は1,000分の1秒まで、正確に測れました。
なにしろ解答者のボタンを押す速さが競われていた訳ですから、これが正確でないと公正な勝負が出来ません。
旅の間中、ウルトラ・ハットは1個づつ専用のジュラルミン・ケースに収められ、各地を旅していたのです。
このウルトラ・ハットが初めてテレビにお目見えしたのは、第一回の第5チェック・ポイントのハワイでした。
ハワイのワイキキ・ビーチ沖に浮かぶ双胴船上で、1対1の早押しクイズの対戦が行われたのです。
これが番組史上、ウルトラ・ハットのデビュー戦だったのです。
それからはアメリカ本土をはじめ、南米大陸、オーストラリア、ニュージランド、イギリス、フランスと各地を我々と一緒に旅をしましたが、或る時、税関の検査で
「これは何だ?」
と説明を求められた事がありました。
運悪くその場に居合わせたスタッフが、英語に堪能ではなかったのです。
彼は、ウルトラ・ハットを自分の頭に載せ、
「クイズ・クエッション、アンサー。ピコーン!OK?」
と手真似で、大熱演しました。
我々はその様子が、あまりにも愉快だったので大爆笑になりました。
訳の解らない税関の係官も釣られて笑い出し、事無きを得た事がありました。
ウルトラ・クイズのリハーサルでは、毎回スタッフがウルトラ・ハットをかぶって、動きをチェックするというのが決まりになっていました。
そして、17年のウルトラ・クイズの歴史の中で、この機械の調子が悪くて、クイズの開始が遅れたというような事故は、只の1度も無かったのです。
その位、ウルトラ・ハットは正確に働いてくれたのでした。
番組の功労者として表彰があるならば、その第1候補は?
勿論、ウルトラ・ハットでしょう。