安全なスポーツ環境、と題しましたが、そんなものは存在しません。
スポーツには、危険が伴います。
自分達にできるのは、その確率を減らすことと、事が起きた時に備えること。

松田選手の死去をきっかけに、自動体外式除細動器(AED)の必要性がメディアでも取り上げられています。

AEDについて書こうと思っていましたが、AT仲間の平石さんが自身のブログにて、AEDの基本情報を、医療関係者でない人達にも分かりやすいように、上手な例を交えて説明してくれています。
すぐに行動に移す行動力と、分かりやすくポイントを押さえた記事の質の高さには頭があがりません。
是非、読んでください。

Innervate The World--AEDって知っていますか

今回のAEDに関しては非医療従事者向けに書いてくれていますが、スポーツ医療に関わる人に為になる情報が彼女のブログには満載ですので、他のエントリーもオススメです。

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今のインターン先には、3つのAEDが設置されています。
建物のどの場所で必要になったとしても、短時間でアクセスできます。
Knicksの練習施設でも同じようにアクセスが確保されていましたし、バッテリーやパッドの点検もしっかりやりました。試合中は、ヘッドATのベンチ横に常備されています。

自分が働いた場所の多くは、複数のAEDを設置する、金銭的な余裕がありました。
ですが、毎日新聞のオンライン版で次の紹介されているように、多くのスポーツ環境で同じ事を望むのは容易ではありません。

Jリーグは04年から、選手や観客が突然心停止を起こした場合に備え、試合会場と練習場にAEDの設置を義務付けている。しかし、JFLでは設置を指導し ているものの、義務ではない。「1台数十万円するAEDを購入することは財政的に厳しい」(JFL関係者)という声もある。

この記事で引っかかったことが一つ。それは、「一台数十万円」という表記。
20万円だって、80万円だって、数十万円。
多くの環境で、経済状況がAED設置の一番の壁になっているからこそ、的確な情報を流して欲しいと思いました。
松田選手の死という悲しい出来事によって、世間の目が向いた今だからこそ、なおさら。

複数の会社がAEDを製造していて、値段にも幅があります。
アメリカでの販売価格の幅(一台1000~3000ドルくらい)は知っていましたが、日本のそれを調べて驚きました。日本では、30~50万円くらいかかるようです。
この違いはどこから来るのでしょうか。
AED設置の普及に向けて、必要性を訴えるだけではなく、価格の低下や助成金の設立などが重要になってくると思います。
(日本のスポーツ環境は、選手以外には中々お金が回らないと聞きます。今回の悲しい出来事をきっかけに、選手、特にサッカー選手達が、何かしらの動きをみせてくれる事を期待しています)

最後に、平石さんの記事にも書いてあった事を繰り返します。
AEDの使用が一分遅れると、患者の生存確率は10%減るという統計があります。
日本で、救急車が現場に到着する平均の時間は6-7分。

救急車が到着した時の、患者の生存確率を考えてみてください。
もしかしたら、その患者は、憧れの選手かもしれません。友人かもしれません。自分の家族かも知れません。そして、自分自身であるかもしれないのです。