マニフェスト作成支援条例に隠されたワナ | うえまつーしん電子版(植松泰之のブログ)

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市議会議員として日頃思うこと感じることをお伝えします。

 またまたおかしな条例が議会に提出されました。いわゆる「マニフェスト作成支援条例」です。


昨日、市議会の総務生活委員会にて審議しました。その中で、マスコミ報道には一切出てこない審議内容があります。是非、市民の皆さんにも知っておいていただきたい大切な事ですので、少し長くなってしまいますが、私が委員会にて指摘した論点をご報告いたします。


実は、この条例には、本条例を提案する市と本条例の賛同者がひた隠し、議論しようとしない致命的欠陥が2点あるのです。


 【※つまり、マスコミ報道等では、議会が「踏み絵」発言の是非に終始しているかの印象を与える記事ばかりですが、実はもっと深い議論をしているのです。】



1点目は、この条例は、現職市長、現職議員にとって極めて有利な条例、「現職有利条例」だという点です。


本条例には、「新人の立候補予定者にも公平に情報を提供しましょう」といった一見真っ当に見える目的があります。しかし、たとえ本条例が制定されようとも得られる情報というのは、現在、松阪市で定めている情報公開条例に基づき公開される情報と全く同じものだということに気づかなければなりません。


このような情報は、情報の中でも基礎中の基礎のもので、「真の情報」とは言えません。「真の情報」とは、「出てきた数値のもつ背景」であり、「それまで行われてきた議論」であり、もっと言えば「非公式に行われるトップ会談の中身」なのです。そこまでの情報を把握できるのは「現職」でしかあり得ません。


要するに新人の立候補者との「情報の量」の差はある程度埋めることができても、決して「情報の質」の差を埋めることはできないのです。それがこの「マニフェスト作成支援条例」に隠された真実です。


決して埋めることのできない「情報の質」に差がありながら、例えば、今後、選挙戦に入れば、現職(市長)などは公開討論会などを開催することになるのでしょう。このような条件下で、新人候補者が現職(市長)に到底敵(かな)うはずがないのです。


そのようなことが明らかになっているのにもかかわらず、どうして現職がしゃあしゃあと賛同できましょうか。

 


 本条例の致命的欠陥の2点目は、個別の政策集であるマニフェストには個人の持つ「政治信条」や「政治スタンス」、そして「国家観」というものが最後まで表に出てこないという点です。


国旗・国歌をどう考えるのか、憲法をどう考えるのか、どのような経済理論を持っているのか等々、これらは立候補者本人が意識しない限り、決してマニフェストには出てこない内容です。


しかし、有権者の知りたい情報は、むしろこちらの方ではないでしょうか。その信念に基づいて市政の方向性が決まるのですから。


逆に言えば、このような点に全く触れないまま選挙戦を乗り切ることのできるのが本条例の隠された真実なのです。


市民の皆さんにとっては、大変恐ろしいことです。

マニフェストを掲げ、一つ一つの政策を訴えていくことには何ら問題はありませんし、今後も積極的に進めなければならないと考えます。

しかし、個別の政策集でしかないマニフェストのみに固執することは、市民にとって、そしてこれから市民自らまちづくりを進めていく上において、デメリットが大き過ぎます。


実際に、外国人に住民投票の投票権を付与するなどと突然、言い出す事態にもなっているのですから。


議会において、それでも本条例に賛同するというのならば、以上の2点の致命的欠陥について市民に対し真摯に説明する必要があります。


3月13日に行われる本会議場における採決が待たれます。