草木萌え動く(そうもく もえ うごく)
日一日と日 長く、光 強まる
春の気配は増し、草木の息吹感じる

花の寿命(日持ち)を決めるのは
①老化
②病気
③栄養

前回説明したのは「栄養」
栄養が改善されて日本人の寿命はのびた
植物は人間と違い、栄養は自分でつくる

原料
空気中の炭酸ガス(CO2)
根から吸った水
太陽の光
作るのは炭水化物=糖類=砂糖
これが「光合成」

栄養を葉や花に貯めこんだ花は長寿(日持ちが長い)
すべての農家が目指しているのは
しっかり光合成をして
砂糖を貯めこんだ花の生産

それに手を貸すのが収穫後のサプリ
花のサプリは砂糖
切り花に砂糖を吸わせると寿命(日持ち)がのびる

さて今回は「環境」
まず「気温」
日本人の寿命がのびたのは、冬暖かく夏涼しい生活環境
「しもやけ」、「あかぎれ」は「おしん」の世界
エアコンで熱帯夜も熟睡
「夏バテ」もそのうち死語になるだろう

切り花の日持ち
冬に長く、夏に短い
低温で長く、高温で短い
あたりまえといえばあたりまえ


図 気温と日持ちの関係
  42種類の花の平均

上のグラフは京都大学 土井元章先生のデータ
42種類の切り花の平均日持ち
10℃(大阪の3月下旬~4月上旬の平均気温)では28日
20℃( 同 5月下旬~6月上旬)では10.7日
28℃( 同 8月)では6.6日

なぜ気温が高いと日持ちが短いのか

植物は昼間は光合成
炭酸ガスを吸って、酸素を吐きだす
同時に、呼吸をしている
呼吸:酸素を吸って、炭酸ガスを吐きだす
光合成と反対
量的には、昼間は、光合成 > 呼吸
したがって見かけは
炭酸ガスをすって酸素を吐きだしている

呼吸量
気温が高くなると急激に増える


図 気温と呼吸量の関係

光合成は光が当たっている昼間だけ
呼吸は植物が生きている限り昼も夜も1日中
呼吸は酸素を取り入れ
貯えていた砂糖を燃やしてエネルギーをとりだす
呼吸量が増えるほど砂糖が消費される
栄養失調
寿命(日持ち)が短縮


図 光合成と呼吸

光合成、呼吸での炭酸ガス、酸素の出し入れは「気孔(きこう)」


画像 気孔の顕微鏡写真
   炭酸ガス、酸素の出し入れをしている
   老化して気孔の機能が衰えると、締まらなくなった水道の蛇口のように
   じゃじゃもれになる

呼吸は砂糖からエネルギーを作っているので、「熱」がでて
植物の体温があがる
体温が上がりすぎると細胞がこわれるのは人間も同じ

人間は汗を蒸発させて体温を下げる
体の水分が少なくなると汗がでなくなり
体温が急激に上昇
「熱中症」
救急車!

対策
こまめな水分補給
水だけより
汗の成分を含んだポカリスエットみたいなスポーツドリンク
そして冷房

花も同じ
体温上昇
熱中症
貯えていた砂糖を使い切り
葉が黄変
寿命(日持ち)短縮

対策
まず低温
体内にエネルギー源の砂糖が十分にあること
そして水分補給

本命は低温
ハウスや畑から収穫された切り花
切られたショックで呼吸量増大
体温上昇
そのままでは「もえる(萌える、ではない)」
とくにキクのように葉が多い花
とにかく冷蔵庫で体温を下げる
これが「予冷(よれい)」
あとは作業場、選花場、集荷場、トラック、花市場、花屋さんが低温管理
これが「コールドチェーン」



画像 キクのように葉が多い花は出荷ケースに中で
   呼吸の熱で「もえる」
   葉が黄変→黒変→かび(ボトリチス)が生える

どれぐらいの低温が必要?
人間が身体にこたえるのは熱帯夜の25℃
花も同じ
第一段階は、真夏の昼間で25℃
高い温度のようですが、外気温が35℃のときに25℃に下げるのは-10℃のエネルギー
莫大なコストが必要
オランダの8月の平均気温は18℃!
大阪の8月平均気温は28℃!

熱帯の国日本
とりあえずの目標
25℃を超えない環境
(栽培のハウス、畑は別)

(No.257 2015.2.22)

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