閉塞感ただよう農業、花づくり
最近は革新的な技術開発がない
そこで、夢は植物工場
温度、湿度、光、炭酸ガスすべてコントロール
暑い、寒い、花が早く咲いた、遅れたが、ない
おまけに、病気、害虫の心配がない
まさに未来の農業
さて、植物工場、そんなにうまくいくのか?
まず、植物工場とはなにか?
1970年代に登場し、結構長い開発の歴史がある
現在は、農林水産省と経済産業省との農商工連携の国家的プロジェクト

$宇田明のウダウダ言います
消費者がイメージする植物工場

植物工場には2つのタイプ
タイプ1 閉鎖系植物工場
閉鎖施設で、太陽光を用いず人工照明
タイプ2 太陽光・人工光併用型

植物工場のイメージはタイプ1
白衣を着た作業員がIT工場のような清潔な場所で野菜栽培
未来の農業
しかし、このタイプはすでに破綻
太陽の光に匹敵する明るさを人工照明で得るには莫大なコスト
植物が光合成をするには2万ルックス以上の明るさがいる
事務所の照明はわずか500ルックス
2万ルックスがいかに明るいか
蛍光灯は熱をだす
2万ルックスでは膨大な熱
それを下げるために強烈な冷房
最近のLED照明は発熱しないのでこの点は改善
そこで登場したのがタイプ2の太陽光併用型植物工場

どんな植物工場か?
いまのバラ温室をもっと重装備にしたものと思えばよい
暖房、冷房、除湿、冬の光が少ないときにはオランダのように補光
それらをコンピュータで制御
これに加えて作業の自動化、ロボット化
そのためには植物体の自動計測、画像診断・・・
千葉大学、東京農工大学、信州大学、明治大学、大阪府立大学、島根大学、愛媛大学にはモデル工場が建設されている

植物工場は農業の救世主か?



その理由

①経済性の無視
植物工場でも生産するのは農作物
売れる価格には限界がある
バラは1年間に坪3万円、カーネーションは2万円、輪ギクは1.5万円の売り上げ
ここから生産経費がひかれていく
この売り上げに基づいて、栽培温室の建設にかけられる建設費が決まる
一般のガラス温室で坪10万円
植物工場は住宅なみ
農産物を売って建設コストを回収できない
電気代などのランニングコストもむり
 
②植物がブラックボックスのまま
それぞれの品目ごとの最適環境がわかっていないので
どう環境調節すべきかがわからない
まして、花は野菜よりも生育がばらつく
そのばらつきを克服できない
「植物工場村」に植物がわかり、栽培ができる研究者がいない弊害

世の中、苦境に陥ると両極端にはしる
たとえば、EU財政危機
躍進するのは極右と急進左派
大多数の中間層は立ちすくみ、思い悩む

日本農業も同じ
政府の施策
右に有機農業、左に植物工場
両極端
中間層が置き去り

有機農業は法律で推進
「持続性の高い農業生産方式の促進」(平成11年)
「有機農業の推進に関する法律」(平成18年)
内容
・化学合成農薬の使用低減
・化学肥料の使用低減
・たい肥による土づくり
・遺伝子組み換え技術を使用しない

どうするか?

大多数の農家が求めているのは、
両者の理念には共感するが
有機農業でも、植物工場でもない「普通」の農業
その技術改善、技術革新

それは
①南北産地連携による低コスト農産物の供給
②低コスト生産技術(とくに暖房と除湿)
③ハウスの規格化による建設コスト削減
④品種改良による収量増、耐病性、耐虫性
⑤需要と供給のマッチング
⑥植物工場研究の植物体計測、画像診断、温室制御など部分技術を、いまの温室、ハウスに活用

そのためには、
大学の先生
圃場に出よ!
農業の現場に出よ!