切り花のクレームの原因は多くの場合「貯蔵」である
花店からのクレームは産地での貯蔵
消費者からのクレームは花店での貯蔵
これまで説明したように
「貯蔵」が悪いのではない
品質が悪い花を出荷し、販売することが悪いのです
品質が悪くなる原因の多くが「貯蔵」

$宇田明のウダウダ言います
写真 貯蔵により花びらの先がちりちりになったカーネーション
(出荷ダンボールケースまま2℃の冷蔵庫で4週間)

1.「貯蔵」に確たる科学的な技術がないのに「貯蔵」することの問題
解決には、
花の貯蔵をアンダーグラウンドな技術に放置するのではなく
公的な研究機関(大学、国、都道府県の研究機関)が技術開発にとりくむこと

2.切り花「貯蔵」の技術的な問題
①貯蔵と保管の区別
「冷蔵庫で保管」する日数によって「貯蔵環境・対策技術」がかわる
短期間は保管だが、長期間は貯蔵
②花の種類により貯蔵の耐性がちがう
③灰色かび病をもたらす、かびのボトリチスは切り花が耐えられない環境でも生き続け、花に感染する
④野菜などの貯蔵は冷蔵庫からの出庫がゴール
切り花の貯蔵は冷蔵庫からの出庫がスタート
冷蔵メーカーの技術者や保蔵の研究者が気がついていないことです

貯蔵後、食品は消費者の手に渡り、冷蔵庫で保管され、
すみやかに食される
切り花は出庫後、傷みがないことは当然だが、
どれだけ日持ちするかが重要
すなわち、出庫したときが切り花としてのスタート

出庫後、傷みがなければ貯蔵が成功したと考えるのはまちがい
貯蔵した切り花と貯蔵していない切り花の日持ちを比べてほしい
貯蔵切り花の老化スピードが早いことに驚くだろう
竜宮城から戻った青年浦島太郎が、
玉手箱を開けたとたん一気にお爺さんに、状態
冷蔵庫の中でもゆっくりではあるが老化は進行

3.現状での解決策
公的な研究成果ができあがるまで
とりあえず、いまできること
①貯蔵切り花の入庫前の殺菌(生産者)
②冷蔵庫の消毒(生産者・花店)
小さな冷蔵庫は台所用アルコール除菌剤
2坪以上の冷蔵庫では常時、次亜塩素酸発生器使用
②冷蔵温度(生産者・花店)
3日以内 5~8℃
3日以上 2℃
ただし、熱帯原産のアンスリウムやクルクマは低温障害をうける
③乾式・湿式
3日以内ならダンボールケースのままの乾式も品目により可能
3日以上は美咲、クリザールなど砂糖を含む切り花栄養剤を入れた水つけ
④貯蔵した切り花の日持ち検査(生産者・花店)
貯蔵していない切り花と比較
貯蔵切り花にかぎらず、販売する花はつねに検査が必要