軍師官兵衛:第31回 天下人への道 ~化け物は誰だ?~ | ♪ DEAR MY LIFE ♪

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道糞の庵(いおり)
道糞(村重)のもとを訪れた官兵衛は、
この地で道糞の世話をしている高山右近と出会う。



三年前、毛利を頼り安芸に滞在した道糞は、
周囲の冷たい扱いにいたたまれなくなり、諸国を渡り歩いたという。



※官兵衛、右近、そして道糞
過去、色々な出来事があった三者が同じ画面に降臨。
信長を裏切った道糞(村重)、その彼によって片足を失った官兵衛、
そして、道糞を裏切りつつも、今は彼を援助している右近。
この微妙~な立場にある三者が、一堂に会するとは・・・。

道糞の告白
死ぬ事も考えたが、信長に負けたくない思いや、
多くの犠牲者の為にも死ねずにいたが、
信長が死んだことで自分は勝った・・・。

>勝った?(官兵衛)

信長との勝負に勝ち、いつ死んでもよいとも思ったが、
腹が減れば食ってしまう、喉が乾けば水を飲む、
死んだ者たちの事を忘れたことはないのに、
「生きたい」という欲が、いっこうにおさまらない。

その執着から逃れる為、茶の湯の道を極めようともしたが、
結局、逃れることなど出来ないと語る道糞。
もはや人ではなく、化け物かもしれぬ。
乱世が続く限り、わしの様な化け物が生れると説く道糞



秀吉に天下を取らせ、この乱世を終わらせれば、
貴方の様な化け物は生れない~と答える官兵衛だが・・・、

※化け物
ここで道糞が説いている「化け物」とは何なんでしょう?
彼の台詞から推測するに、真夏の怪談話しに登場する、
「幽霊」とか「妖怪」の類ではなく、

人としての理性を失い、自らの欲望や執着に固執しながら、
本能のまま生きる、人の姿をした獣(けもの)と言っている様です。
そう考えると、ある意味、この現代においても、
化け物がたくさんいるのかもしれませんね。



道糞の反論
>わしはそうは思わぬ。
>信長は天下が近づくにつれて変わっていった。
>天下には、それほどの魔力があるのだ。

>誰もが、その魔力にとらわれる。秀吉とて逃れられぬ。
>秀吉は、織田家を乗っ取ろうとしているというではないか。
>その様な男の天下とは、
>げに恐ろしき天下であろうのぅ!(道糞)


※語り部・道糞
所詮、信長は天下人の器ではなかった。だから死んだ。
その信長の権力を、簒奪によって受け継ごうと画策している秀吉。
(そして、その片棒を担いでいる官兵衛でさえも・・、)
近い将来、権力欲に溺れる化け物になるだろう~と預言する道糞。

播磨の地方豪族の一つ、黒田家の三代目に生れた官兵衛は、
巨大勢力の勃興に悩まされながら、
どうやって生き残るか?を目的にして生きてきたわけですが、
すでに、その官兵衛自身が権力の中枢に存在している~という現実。

自分の事を棚に上げて、かなり好き勝手なこと言ってる道糞。
初登場の際には、堺への道中、当時の京の様子を語っていましたが、
当時の村重と同様、この道糞も、
物語の「語り部みたいな役割」を与えられているんでしょう。

ここまで来ると、もはや、このドラマの荒木村重は、
「花子とアン」モード、想像の翼の中から登場した
架空の人物~と見るのが妥当でしょう。w

史実モードでは、摂津・池田家の家老の息子として誕生した村重。
その彼を、成り上がり志向の強い「浪人」に設定した理由は、
このドラマの後半の活躍にあるのかもしれないですね。

今後、落ちぶれた武者として思われている彼が、
誰を相手に、どんなを吐いていくのか?
預言者・道糞の台詞に、また楽しみが増えた思いです。(笑)

姫路・官兵衛の屋敷
深夜、寝所で道糞との経緯を、に話す官兵衛
信長が明智に討たれた時、人目をはばからず泣いた村重



光は、だしや身内の事を考えての事、
心の底では悔いているのではと、村重の心の内を察するが、
悔やんでも死んだ者は帰って来ない~と説く官兵衛

秀吉の天下取りには、戦による殺戮がついてまわる。
>もうすぐ終わるのですね・・。(光)
>ああ。(官兵衛)
二人の間に横たわる熊之助の頭をなでる官兵衛。

※変貌する官兵衛
「悔やんでも死んだ者は帰って来ない」という官兵衛の台詞。
光の思いに対し、わりとサラッと答えてますが、、、

確かに一理ある~とはいうものの、

『第5回:死闘の果て』における、青山・土器山の戦いの中、
奮戦しながら命を落とした、伯父の井手友氏、
落馬して窮地に陥った官兵衛を救った武兵衛、その父親の小兵衛、等々。

彼らの死に対し、当時の官兵衛なら、
こういう台詞をサラッと言えなかったはずで・・・。



人目をはばからずに泣いた~という村重。

憧れの念を抱いていた信長が死んでしまったという哀しみ、
その信長を裏切ったが為に、多くの人を死なせてしまった悔恨の情、
そしてその信長に勝った!という喜び、
これら複雑な心境を抱きつつ、声をあげて泣いた彼に比べ、

南蛮は幼き頃よりの憧れ、上様と共に世界を見てみたい!
と言っていた官兵衛は、信長の死を知った時、
その村重や、秀吉と同じ様に泣いたでしょうか?

信長の死~という自らの窮地を、有利な状況へと展開する、
彼独特の「発想の転換」は、軍師の才として称えられたとしても、

どちらが人間らしいと言えるのか?

天下統一という目的の為、立場が高くなるにつれ、
命の重さが、どんどん軽くなっている台詞、
そしてそれが、具体的な映像として表現されていたのが、
次のシーン、「賤ヶ岳の戦い」でした。

▼軍師官兵衛:第31回 天下人への道 ~碁盤の石~