X&Y/Coldplay | u-MUSIC!!

X&Y/Coldplay

コールドプレイ
X&Y (CCCD)

サードアルバムで劇的に変化するバンドって、けっこう多い気がする。


クラッシュの『ロンドン・コーリングなんか、まさに良い例だと思うし、最近だとストロークスの『ファースト・インプレッションズ・オブ・アース』なんかもそうだと思う。

レディオヘッドも『OKコンピュータ』で劇的に変化した。(もっとも、レディオヘッドのキャリアは急激な変化、進化の連続ではあるのだけれど・・・)


クラッシュは『ロンドン・コーリング』において、それまでのパンクイメージを振り払い、普遍的なロックやスカなどを取り込んで新たな境地を切り開きました。

ストロークスは『インプレッションズ』で、それまでのクールな姿勢を切り崩し、情熱的で実験的な音楽を展開しました。

どちらも、バンドのパブリックイメージを一新させるほどの変革を行っています。

これは、かなり勇気の要る行動であると言えるんじゃないですかね。

だって、それまでのファンが離れていってしまうかもしれないかもしれないっていうリスクを抱えているわけですから。


で、僕は、コールドプレイも3rdアルバム『X&Y』で変革したんじゃないかと思うわけです。

こういうこと書くと、また、

「何言ってんだ。全然、変わってないじゃん。演奏が進化しただけだろ。クラッシュやストロークスはサウンド面で明らかに変化したけど、コールドプレイの何が変わったんじゃ。ぼけ。」

なんて、言われそうですけども、確かにその通りで、前述したクラッシュやストロークスのように、明らかなサウンド・アプローチの変化は無いです。

むしろ、表面的には、今までの方法論を進化させたような音に聴こえます。


じゃあ、一体、何が変わったのか。

それは、コールドプレイが誰に向かって歌っているのかということです

これまでのコールドプレイの音は、傷ついた自分自身に向かって歌われていました。

ラブ・ソングにしろ、何にしろ、あくまで1人称の自己完結の世界であり、他者に向かっていくテーマというのはありませんでした。

しかし、今回の『X&Y』では、明らかに他者を意識した音楽が鳴らされています。

自分のためだけにではなく、自分を取り巻く世界、そして、そこに生きる人々に向けて歌われています。

だから、世界中の人々に受け入れられたし、こんなにもポジティブな輝きに満ちているのでしょう。


しかし、自己の内面に焦点をあてた音楽ではないゆえに、『パラシュート』、『静寂の世界』に確かに存在した胸に迫ってくるような切迫感はありません。

だから、このアルバムによって離れていったファンの気持ちもよくわかります。

それはそれでいいと思います。


しかし、クリス・マーティンの現在の心境を正直に鳴らした音楽は『X&Y』なのです。

別に、コールドプレイは売りに走ったわけじゃないし、必要以上にポップな音にしたわけでもないです。

クリス自身が、もう内面的なメランコリーを必要としていないのかもしれません。何だか幸せそうだし。

でも、それで良いんです。

もう、コールドプレイは『静寂の世界』のようなアルバムは作れないかもしれない。

『X&Y』は今までのコールドプレイではない。

だけど、それが現在の彼らにとっては正直な音楽だし、まぁ、それを受け入れるのかどうかは、聴く人の自由ですけどね。


僕ですか??

僕は、『X&Y』は素晴らしく完成された作品だと思っています。(今までの作品は、どっちかっていうと未完成であるがゆえの輝きがあった。)

こんなに真摯に作られた音楽は、なかなか無いと思います。

ちなみに去年、全世界で最も売れたアルバムがこの『X&Y』だそうです。

良い音楽がちゃんと認められるのは、やっぱり嬉しいことです。



01.Square One

02.What If
03.White Shadows
04.Fix you 音譜
05.Talk

06.X&Y
07.Speed Of Sound
08.A Message

09.Low

10.The Hardest Part

11.Swallowed In The Sea
12.Twisted Logic

13.Til Kingdom Come


01.Square One

クラシックの影響も感じさせる壮大な序曲。

コールドプレイの曲は、空間の広がりが凄いです。

ラストのヴァースに印象的なメロディを持ってくるのも、彼らの得意技ですね。


02.What If

「もしも・・・・・・だったら」と質問を投げかけ、「ああ、君のいう通りだね」と勝手に納得する、不思議な曲であると同時に意味深な曲。

世界の在り様に肯定的ともとれるけど、ある種の諦めも感じる。

メロディーの美しさはやはり随一。


04.Fix you

万人受けする高いポップ性ゆえに批判の対象ともなってしまう現在のコールドプレイの代表曲。

今までのコールドプレイの曲が、あくまで傷ついた自己を癒すため、または自分の気持ちを表明するためであったのに対し、この曲は傷ついた他者をFix you(立ち直らせる)ためであるのです。

この辺りに、コールドプレイの変化を凄く感じます。

誰が何と言おうと名曲です。


07.Speed Of Sound
先行シングル。

この曲を始めて聴いたときは、あまりに『クロックス』の雰囲気と変わらなすぎるなぁと思ってしまいました。

しかし、コーラス部分でクリスの声がファルセットになる瞬間は、やはりビビッと来ましたね。

いきなり空間が広がっていく感じが良かったです。


11.Swallowed In The Sea

ずっと同じメロディが徐々に徐々に盛り上がっていく感じの曲なので、派手な印象は受けませんでしたが、知らぬ間に壮大な美しさの中に取り込まれてしまいます。

「ああ、生きるってなんて素晴らしいんだろう」

というフレーズには凄く感動しました。

他の曲にこんな歌詞が乗っていても、決して感動しませんが、優しく全てを受け入れるようなこの曲のメロディーに乗った時、この言葉が凄く輝いていました。

生きる喜びを全身で感じて、それを素直に音楽として鳴らしている感じがします。

もう、彼らは自己に閉じこもるような苦しいメランコリーを必要としていない。




ファースト

コールドプレイ,
パラシューツ

セカンド。名盤。

コールドプレイ
静寂の世界

ライブDVD

コールドプレイ
ライヴ2003

多分「X&Y」からの最後のシングル。

コールドプレイ
ザ・ハーデスト・パート(CCCD)