堂山物語 第88話 | エラー|Ameba(アメーバーブログ)

堂山物語 第88話

僕とミキは一緒に住むこと決めた。



しかし、そこには関門がいくつか存在する。



まず大多数のヒトが疑問に感じるであろう問題。



「彼女が風俗で働いていて平気なのか?」



勿論、平気な訳ではない。平気だったら只のアホだ。



しかし僕は過去にユリムという娘を愛したことがある。

彼女は不法入国の売春婦だった。


そして僕自身も堂山町で約2年間、男性客の夜の相手をしてきた経験もある。


 

だからなのか分からないが、それは 「仕事」 と割り切れる事が出来る。

裏返していえば、風俗嬢だから好きじゃないというのは、本当に好きじゃないんだとも思う。



僕の一方的な偏見でもあるが、 「割り切れない」 男のヒトは

言ってみれば 「世の中を知らない」 「経験値が少ない」 ヒトなのではないだろうか。



余談かもしれないが課長島耕作という漫画の2巻にこんな話がある



耕作がアメリカで単身赴任の時にアイリーンというアメリカ人と恋におちてしまう。


ちなみに、このアイリーンは父親が白人に殺されたトラウマで

黒人は黄色人種などの有色人種しか愛することが出来ない設定だった。



ある日、ベットの上でアイリーンが耕作にたずねる。


アイリーン 「ねえ、耕作?ワタシとこんなことしていて奥さんを裏切ってるとは思わない?」


すると耕作は答える。


耕作 「オレは妻を愛しているし、キミとこうして寝ても妻を裏切ってるつもりはない」


そしてアイリーンが切り返す。


アイリーン 「じゃあ、今日本で奥さんが同じようなことをしていても同じ事が言える?」



すると耕作は言葉が出なかった…



漫画ではあるが、割り切れないヒトの言動はこんなもんだと思う。

自分は好きなことをしてヒトが、特に身内が好きなことをすると許せないのだ。




しかし、僕も本心では完全にOKでは無い。


そこは割り切るのだ。


もっと言うと我慢するのだ。



だからこそ、僕が堂山町でのウリセンを止めたのである。



風俗も堂山も不特定多数の男性を相手していて中にはキモチ悪いのもいる。

自分の仕事でも我慢を重ね、相手の仕事に対しても我慢をしなければ、ならない。


コレは僕は出来ないであろうと思ったので堂山から去ったのである。





そして次なる関門。


「ミキは何故、風俗で働いているのか?」



答えは簡単に言えば借金である。



只、きっかけはスカウトであったらしい。

Rを経営している会社は十三では老舗の部類で結構強い方でもあった。


それは女の子の質の高さも強い要因でもあった。


その会社にはTCと呼ばれるスカウトの集団がいたらしいのだ。


ミキはそのTCに声をかけられ話を聞いたうえで入店を決意したらしい。


その時にミキはウン百万という借金を背負っていたので普通の仕事では返せない。

ちなみに前職は歯医者の受付だったという。



その借金とは歯科技工士の元彼と作った借金。


当時流行っていた?インターネットのプロバイダーがどうたらこうたらの

マルチ商法でこさえてしまった借金だった。





ウン百万の借金は果たして返す事が出来るのか?





しかし時代はいわゆるホテヘルなどの無店舗型性風俗特殊営業が認可されていない時代。

ハコヘルといわれる店舗型の風俗店しかほとんどオモテだっては存在していなかった。



何処もがそうとは断言できないがハコヘルの出勤管理は厳しかったりする。



ミキは早番?だったので基本の出勤が10時~17時。

ちゃんと出勤すれば2万5千円の保証が貰えるのだ。


勿論、あくまでも保証であってついた客に対してのギャラも存在する。


簡単に言えば店と女の子の折半だ。


40分1万3千円のコースなら、6千5百円のギャラ。


指名料は客が払うのは千円だったが本指名とパネル指名でギャラが違った。



パネル指名とは店員さんが


「今日出勤の女の子です~」


とバーっと写真を並べてその中から選ぶという指名方式。


本指名は、他の子を見ずに指名する方式。


前者が500円。後者は1000円まるまるのギャラになる。



だから1日に4人も客がつけば2万5千円なんてすぐ超える。


逆に言えばRはそれくらい繁盛店であったのかもしれない…



もちろん、総額のギャラからウン%の備品代と源泉が天引きはされるのだが…



たしかに頑張ればウン百万の借金は返せそうだ。




そして最後の関門がある。



ミキの両親の許可である。



僕は子供の頃から、アホな事をしてきたので親は驚きはしないし許可もすぐした。



只、ミキは女の子2人姉妹の妹だったので、そう簡単にはご両親も許可しないであろう。



結局、ミキは何度か反対された後に、僕がミキの実家に呼ばれることになった。


続く