堂山物語 第89話 | エラー|Ameba(アメーバーブログ)

堂山物語 第89話

同棲の許可をミキのご両親に得る為にミキの実家に行かなくてはならない。



僕とミキがそう思っているだけで向こうのご両親は


「一度話しがしたい」


なんて言っていないそうだ。



会う前から完全に嫌われてる感が漂う…



今、思えば自分の娘が23歳って言えば、まだまだ子供。

その23歳の娘が3歳も下の男と一緒に住みたいと言ったら

反対するのは常識ある親の言動だと思う。



只、20歳と23歳の僕達2人は若さゆえに、そんな親ゴコロなどわからない…



だから僕は早くも一緒に住む物件を探し始めていたのだ。



物件を探したのは、大阪でも下町で有名な場所。

線路を挟んで西には市場があって東には商店街がある。

コロッケとかから揚げとかがやたら売っている、ちょっとガラの悪い下町だ。



国道沿いの不動産屋さんに入って部屋を探してもらう。


僕の悪いクセというか、この初めての不動産屋さんから

直近にお世話になった不動産屋さんまで続いているクセが

その1軒の不動産屋さんだけで、しかも1日で部屋を必ず決めてしまう…



この時も「あっココ!イイっすねぇ!」



と駅から徒歩7分くらいの1DKのマンションに、その日に決めた。



この時に覚えているのは、



堂山 「その近くに郵便局ありますよねぇ?」



不動産屋 「えっ?あ~ありますね・・・小さい局が。よく知ってますよねぇ」



不動産屋さんの担当のヒトが驚いていた。



僕は住んだ事もない町の小さな郵便局の場所を把握していた郵便局マニアだったのだ。




それには理由がある。



この頃、僕は郵便貯金の契約と解約をアホな程繰り返していた。


今、思い出しても郵政が民営化になったのは正解だと思うくらい

当時の郵便局や郵便貯金法?はいい加減なモノだった。



まず、僕は100万円を握り締めて郵便局に向かう。

そして定額貯金という郵便貯金を契約した。


そして4日後、厳密には4営業日後緒に郵便局へ行く。

そこで思い切って定額貯金を解約する。


すると利子が1000円ついて来るという

トンでもない手口が存在したのだ!



理屈いうと

定額貯金は本来ならば6ヶ月くらい引き出せない。


しかし、そこを解約してしまうのだ。払い出しではない、解約。



定額貯金は確か一口千円で口数を申し込むカタチだったと思う。


解約すれば、当然利息も日割り計算され正確には幾らかは知らないが

4日目からは0.0000000001円くらいの超微々たる利息しか発生している。



そう!


ここがミソであって

この0.0000000001円くらいの超微々たる利息でも発生したからには

国の債務であるらしく支払わなければならない。


勿論、わが国に0.0000000001円なんて通貨は存在しないので

0.0000000001円は必然と繰り上げられて支払われる。


一口千円を千口100万円預けていたので1円×千口=1000円



わが国は、わずか4日間で0.1%の利息を得る事が出来る素晴らしい国だったのだ!


このスーパー貯金方法もさすがに同じ郵便局員には通用しないので

当時の僕はいろんな駅から歩いていける郵便局をハシゴしていたマニアだった。






今、思うと結構マメである…



この郵便局をマメにハシゴするマニアの話を聞いて



そんなマメな子を向こうの両親が気に入らないわけがない!



そう言ってくれたミキのお姉ちゃんがご両親と僕を会わせる仲を取り持ってくれたのだ。



その日は、日曜日だった。



時間は何故か朝の8時!?


向こうの実家で一緒に朝ゴハンを食べる事になった!


続く