堂山物語 第73話 | エラー|Ameba(アメーバーブログ)

堂山物語 第73話

僕は夜中の十三大橋で警官2人に取り囲まれてしまった。

季節は、もうすぐ真冬を向かえようとしていた。


ついさっきまで、楽しく飲み会をしていたのに…


ついさっきパクった自転車に跨っているので窮地に追い込まれている…




警官A 「キミ名前は?」



堂山 「あ~ん?堂山じゃ!」



僕の思い込みかもしれないが、こんな時の警官2人組は

若い警官と中年の警官のタッグで、しかも若い警官の方がやたらとムカツク奴が多い。



一方、中年の警官の方は優しくて話せばわかるタイプが多い。


この時も若い警官Aにはムカついていたので精一杯イキって何故か本名を言ってしまった。



警官B 「そしたら、堂山くん?かなぁ?何か~身分証明書とか持ってるかな?」



堂山 「そんな…たいそうなモンは持ってません。」



警官A 「あんな、免許証くらいもってるやろ?」



堂山 「オイ!いつから、

   この国はチャリ乗るのに免許いるねん!?

   あん?これ、原チャか? 

     どこに原つんでんねん?

   原のない原チャはチャリやんけー!」



相変わらず若い警官には意味のわからないヘリクツで応戦していた。



警官B 「堂山くんね。そしたら、ちょっとこの自転車が堂山くんのモノか調べさしてもらうよ?」



堂山 「はいはい!いいっすよ!」



精一杯、冷静を装って返事をした。

警官Bは車体番号を確認し少し離れて無線でピーッ・ガーッと確認をしている。

もう、こうなったら万に一つで運を頼りにするしかない。



この時は、そう思っていた…



すると、若い警官Aがうっとおしいのに喋りかけてくる…



警官A 「堂山くんは、仕事の帰りか?」



堂山 「そうじゃ!仕事終わって疲れとんねん!コッチは!」



そう言いながら跨った自転車をフッと見た。




!?




思いっきり名前が「木下」って書いてあったのだ!!



こ・こ・これは完全なイージーミス!?



さんざん名前を堂山って言ったのに木下さんのチャリって!?




そう思ってたら若い警官Aと目が合った!




その瞬間に!





パチキンッ!




僕は若い警官Aにパチキ(頭突き)をかましていた!

僕は結構石頭なので警官Aは一瞬でひるんだ!



よし!逃げれる!ダッシュ!!!!!



僕は一瞬のスキを見逃さず十三大橋を車道を縦断し逃亡したのだ!




だが、その瞬間に!


パッパパーン!


僕は国道176号線を走っていたトラックに撥ねられてしまった!



感覚では2~3メートルふっ飛ばされた!



もちろん2人の警官もビックリしただろう!

職質してたヤツが逃げたと思った瞬間に撥ねられたのだから!


警官B 「オイ!大丈夫か!」



中年の警官Bがパトカー越しに叫んだ!



堂山 「だ…大丈夫で・・・す。」



僕はそう答えながら ヨシ!まだ行ける!


再び逃亡を再開し、ダッシュで淀川の河川敷を経てラブホ街に逃げ込んだのだった…



一番ビックリしたのはトラックの運ちゃんだったであろう。


やってしもた~! と思ってたら 轢いたヤツが逃げ出したのだから???状態だろう…



僕はとりあえず、その辺のマンションに潜伏しようと入り込んだ。

逃亡犯の素質があったのか、エレベーターは使わず6階くらいまで階段で駆け上がる。

エレベーターが夜中に1階に止まっていなかったら怪しまれると思ったのだ。


ようやく屋上に辿りついて、下を覗いてみると赤色灯をまわしたパトカーが巡回している!


あぶなー!間一髪でとりあえず逃亡は成功した。

とにかく誰かに電話して向かえに来て貰おう!緊急事態だし…


そう思って、ジーパンの後ろポケットから携帯を取り出すと


上半分しかなかった…(TωT)


トラックに轢かれたときに半分に折れていたのだった。


(iДi) OH!NO!


勿論、ポケットの奥には下半分もいた…





落ち着いてくると全身打撲状態に気付き体中痛いし…

しかも冬の夜中のマンション屋上なんて、めっちゃ寒いし…


ヘタレな僕は結局、始発が動く時間まで屋上に潜伏し

ある筈もない十三駅の張り込みを警戒して一駅向こうの三国駅まで歩いて

三国から阪急電車に乗ることが出来、完全逃亡を果たしたのであった!



あの時に僕みたいな人間に不幸にも遭遇してしまった、

警官2人とトラックの運ちゃんと木下さんには心からお悔やみを申し上げたい…


続く