堂山物語 第72話 | エラー|Ameba(アメーバーブログ)

堂山物語 第72話

遮那王はオオサキ厨房長になってから店の雰囲気がよくなった。



その証拠に飲み会が比べ物にならないくらいに激増した。

どんなバイトでも送別会、歓迎会をやっていたし誕生日会もたまにした。



もっぱら幹事になるのはヒロさんか僕だった。



とにかく僕らの飲み会は騒ぐ事が主体だったので

「安い」よりも「怒られない」が幹事として、店を決める基準だった。



大体、ある程度の店で一通り怒られたかなぁという頃にホームグランドが決まった。



東通商店街のうつのみ屋さんだった。



このお店は くいもんや12.6 や キリストンカフェ などオシャレな飲食店を

経営する宇都宮グループの一号店らしいのだが他のグループ店とは、

うって変わってオシャレのかけらもない。



しかもめっちゃ安くて、どれだけ騒いでも怒られない。

多分、殺人とか放火でもない限り怒られないくらいの勢いだった。


こうして、うつのみ屋さんで飲み会を頻繁にするようになっていった。








飲み会の幹事をしていると自分の集金ミスで思わぬアシが出ることがある。


その日も思わぬアシが出た飲み会の日だった。



幹事として、とりあえず会計を済ませて店をでると、

全員泥酔状態に近かったので自然と流れ解散になっていたのだった。



翌日、久しぶりのオフだったので

明日は 朝からモンスターハウスを打とう! と思っていたので僕も家に帰ることにした。



当然の事ながら終電なんてとっくに終わっていた。

まぁ、たまにはタクシーで帰ろう! と思い財布の中を確認すると

1200円くらいしかなかったのだった…



タクシーどころかサウナにも泊まれない…



僕の記憶では確か前日も飲み会で家に帰ってなかったので、

この日はどうしてもどうしても帰りたかったのだ。



もうコレしかない!



カチャカチャカチャカチャカチャカチャ…カッシーン!



ビニール傘の金具(カサカギ)で僕はチャリンコをゲットしたのだった!

(※子供の頃から何故ビニール傘の金具で自転車の鍵が開くのかは謎のままである。)



こうして僕はホロ酔い気分も手伝いチャリンコで優雅に家まで走り出す。



途中に十三大橋という淀川に架かる大きな橋がある。

ココでは、警官が検問を張っているのをタクシーで帰るときに目撃している。



気をつけなくては…!



いつもは十三を進行方向にして橋の左側で検問をしていたから、

僕は当然ながら橋の右側をえっちらほっちらチャリンコをこいでいた。




ちょうど、橋の中間地点で、




「ハーイ!止まりなさ-い!」




ポ・ポ・ポ・ポリだ!



警官が車道から歩道に半身を乗り出し両手を広げて叫んでいた!



僕が乗っているのはホカホカの盗難車!

中学生ならまだしも19歳になって自転車泥棒で捕まるのは恥ずかしい!



堂山 「ぼぎゃぁーーーー!」


とりあえず意味のわからない奇声を発しながら

僕はチャリンコをフルスロットルでこいでポリの制止を突破した!



なんとしてでも逃げなければ!



完全にテンションがあがりきってしまっていた。



ウ~ゥ!ウ~~ゥ!



僕が中野浩一でも絶対にパトカーに勝てるわけがなく

赤色灯を回しサイレンを鳴らしたパッツンが橋の出口に先回りした。



警官A 「キミ、なんで逃げるんや!」



堂山 「ほんなら、なんで追いかけんねん!」



警官A 「キミが逃げるからやろ!」



堂山 「ちゃうって!ポリさんらが追いかけるからオレは逃げんねんって!」



とりあえず酒の勢いも手伝い国家権力に対してイキっていた。



警官B 「いやな、君ぃ、橋の真ん中で止まれって言ったのに止まらんかったやろ?

      そらオレらも悪いことしてるんちゃうか?って追いかけるわな?」



堂山 「急いでたんすよ!」



警官A 「こんな夜中に急いで何処いくつもりやねん!」



堂山 「家に決まってるやんけ!」



警官B 「家に帰るのに警察官振り切ってまで急がんとアカンわけないやろ~」



堂山 「ちゃうねん!明日は朝からモンスターハウス打つから急いで帰らんと!」



一応、僕はウソは言っていない…このままやり過ごせると思っていた。



その時!



警官B 「この~自転車はキミのものかなぁ?」



ついに警官が触れてはいけないパンドラの箱を開けやがった!



まぁ、どうにかなるか・・・?





イヤ!ならん!ならん!



僕は、ついさっき自分の手で不正に開錠し盗難した自転車に乗っている。

しかも防犯登録されている自転車だったので危険だなぁと思っていた矢先である。


防犯登録照会されると一発で盗難車とバレルだろう…

この自転車の登録内容など一切答えれないのだから!



・・・・・・



どうする!?



逃げるか!?



前後を警官に塞がれ 左は車道、右は淀川。


まさに八方塞がりの状態である。



どうすりゃいいの~~~~!?



十三大橋の上で僕は窮地に追い込まれてしまった!


続く