初めに。

なんだかんた言ってもハセツネ&ハセツネ30Kは好きなレースの中の一つです。より良い大会になったらな、と思います。

また、大会主催者、運営サイドの苦労も少しは知っているつもりです。ハセツネはクリーンアップボランティアに一度参加しただけですけど、昨年はUTMFのエイドボランティアやスイーパーもやらせて頂きました。ハセツネボランティアの知人も沢山居ます。

違う競技ですが、全日本選手権の運営役員やチーム監督をしたこともあります。

更に別の競技ですが、シニア日本一を目指して闘っていた事もあります。大会での優勝を目指して努力する選手の気持ちも解るつもりです。

以下色々書きますが、こんな見方、感じ方もあるという事です。

ハセツネ30Kのルールに関係する文書は次の3つが存在します。

(1)
第8回ハセツネ30K参加案内
熟読して下さい、との記述あり。

必要装備(水1.5リットル以上、登山用レインウェア、行動食)の記載あり。
受付でチェックを行い必要装備が無いと出走出来ないと記載あり。
必要装備が無い場合に失格という記載は無い。

水は1.5リットル以上でスタートという記載あり。(つまり、スタート時に水が足りなければアウト)
スタートしちゃえば、飲むなり、身体にかけるとか、捨てるとかは選手の自由裁量でしょうね。逆にスタート時の携帯が明記されているのは水1.5リットルだけです。

ポカリとかの水以外はどうなの?なんて言い出す事は今回はしません。(水分とか、飲料がベターな表現だとは思いますかねぇ´д` ;)

大会公式ページの内容と同じ紙の印刷物が郵送されて来ます。

(2)
受付で必要装備チェックを行うの記載あり。
レース参加必要装備品(水1.5リットル以上、登山用レインウェア上下、行動食)の記載あり。
必要装備品不携帯は失格の記載あり。
郵送されてくる大会パンフレットの中に同様の文書があります。

(3)
30Kはこれに準ずるという記載あり。
装備は水2リットル以上、防寒具兼用の雨具、行動食、ライトを推奨する、の記載あり。
競技規則に違反した選手は失格の記載あり。

装備の記述が違いますね、まあハセツネ本戦の規則をそのまま流用なら当然でしょうけど。こちらは大会公式サイトで公開されています。


ところで、スポーツの大会の競技ルールを確認する場合に、先ずは何を読みますか?

私の感覚だと競技規則です。参加案内とか大会要項は、開催日時とか場所とか会場近くの地図などが書かれてるイメージ。

現状の規則を見た時に解るのは、競技規則としてハセツネ30Kには必携装備は指定されていないことです。

ですから今回の選手はハセツネ30Kの競技規則には違反していません。これはすくなくとも断言して良いでしょう。ハセツネ30Kの競技規則には義務(必携)装備品の規定はないのですから競技規則に違反したから失格、というのにも当てはまりません

それでは何に違反して失格となったのでしょうか?

ハセツネ30Kのリザルトページを見ると、必要装備不足の為に失格、と書かれています。競技規則にはない理由ですね…

レース前に私は大会サイトの競技規則を読んでいたので、今回の参加案内などが送られて来る前に、ハセツネ30Kの装備を考えるという記事を書きました。

送られて来た参加案内を見たら今まで見ていた競技規則と内容が違う訳ですよ…

文書の書類名から受けるイメージですけど。

競技規則、大会要項、参加案内。

この3つのうち、ルールが記載されている文書はどれだと感じますか?繰り返しになりますが、私の感覚では競技規則です。まあ、競技規則は郵送されては来ないのですがね。でも大会公式ウェブサイトで公表されている公式文書です。

次に、熟読して下さいとの指定がある参加案内ですが、もう少し細かく読んでみます。

こちらには必要装備のチェックを行う、必要装備が無いと出走出来ない、と書かれています。

出走の意味は一般的には出場と一緒ですかね。

レース中に必要装備を携帯せよ、携帯してなかったら失格だよ、との記載は実はありません。書いてあるのはチェックの時に持ってないと出走出来ないよ、になります。

(表現のあげ足取りのような読み方をわざとしています)

これだけ読むと、受付では装備品チェックはあるけど、雨降らない時にはレインウェア持たなくて良いよね?なんて考える人が居ても不思議じゃない気がしますね~(実際にそうだったかもしれませんし、違うのかもしれません)

ゼッケンを折り曲げて着けたら失格!なんて記述はわざわざ書いてありますから、失格事項は明確に記載されてるはずだ、と考える人が居るかもしれませんよね~

文書の項目として携帯装備について、という項目はあるのですが、携帯装備とは何か?の記載、定義がありません。

書かれているのは必要装備の指定。
受付で必要装備のチェックを行う。
必要装備が無ければ出走出来ない。

以上です。(こう読める、という事です)

必要装備=携帯装備とは何処にも書かれていません。レース参加必要装備という用語もありますね。

もしも同じ事を示しているなら、何故一つの文書の中で違う用語を使うのか?と感じます。用語の定義、統一がなされていません。

もう一つ重要なのは、熟読して下さいと指定がある参加案内には、装備が欠けたら失格という記述が無い事です。

以上から、必読と指示されている参加案内には、必要装備品をレース中に携帯してなければ失格になるとは書かれていません。

多分そう言いたいのかも知れないけどね、とは感じますが、具体的にはっきりと明記はされていません。

スポーツのルールで行間を読め、は無いですよ。契約書とか論文とか仕様書などと同じで具体的に記載されている事が全てです。

逆に勝手に行間を補足して解釈しては駄目だからです。読む人によって異なるルールは意味が無い。

次に、特に必ず読めとは指定のない、大会要項です。大会公式ホームページに記載があり、同じ文書が郵送されたパンフレットの中にも書いてあります。

大会要項の中に、競技方法及び諸注意という部分があり、

その6項として、
レース参加者は、水1.5リットル以上、登山用レインウェア(上下とも防水性素材のもの。ウィンドブレーカー等は不可)、行動食をレース参加必要装備品といたします。

このように、参加必要装備品として登山用レインウェア上下、の記載があります。

9項に失格の記載があり、その中に、

  • 競技規則(必要装備品不携帯等)に違反した選手
と書いてあるのですが、繰り返しますが、そもそもハセツネ30K競技規則には必要装備品は定められていません。

大会要項が競技規則を補足するとも明記はされてはいません。

上記の競技規則(必要装備品不携帯等)とは書かれていますが、そもそも競技規則に必要装備品は無いと書かれています。

大会要項や参加案内に書かれた内容が競技規則をオーバライドする、という規定や記述もどこにも書かれてはいません。

ここに競技規則とは書かれないで、括弧なしで必要装備品不携帯と書かれていたならば、大会要項が今回の失格の理由という判定はあるのかもしれません。

でも、大会要項に定められた失格の規定は、競技規則に違反した選手なのです。

何度も書きますが、ハセツネ30Kの競技規則に必要装備の規定がない以上は、必要装備不足で失格というルールがそもそも存在しません

競技規則に記載や指定のない、必要装備品不足の失格って何?と考えます。

存在しないルール違反での失格はスポーツではあり得ません。

大会主催者側がその様に意図していたと行間を読んでくれ、なんてのはスポーツのルールとしてはあり得ないし、不適切です。

解釈次第で変わってしまうルールでは駄目だからです。

更に、もしもこの大会要項に書かれている参加必要装備品が、ハセツネ30Kの公式リザルトに書かれている、必要装備不足に該当するのであれば、

レインパンツ持ってない選手は全員失格です。(ここ重要! )大会要項に書かれている必要装備品にはレインウェア上下と明記されています。

装備品チェックの時にレインパンツはチェックしないとスタッフから言われた選手がいるそうです。

装備チェックが不用な必要装備品?
おかしいですね、矛盾してますよね…

やっぱりレインウェアいらないだろと判断する根拠になりませんか?

最後に、競技規則を見てみましょう。

正直、この競技規則に30Kもこれに準ずる、と書いてあるのが混乱の元になるとは感じます。(お前が勝手に混乱さしてるだけだろ~かもしれませんがw)

でも、書いてないとハセツネ30Kには競技規則自体が存在しないことになりますからね^_^;

大会要項が競技規則を参照してますから規則が無いとまずいのです。

競技規則には大会要項も参加案内も参照されてないし、記載が無いです。参加案内にも、競技規則に関する記載、参照などは全くありません。

競技規則には色々書かれていますが、繰り返しますが規則には装備品の指定や携帯義務の指定はありません。あくまで推奨品。

競技規則の30条には失格の規定があります。

今回の男女優勝だったはずの選手の失格の根拠となりそうな残りは、

30条2項(7)号、不正行為があった選手、に該当するのかもしれません。

ただ、その根拠が記載されているのは大会要項だけになります。不正行為とは何か?の記載も定義もありません。大会要項の一見したら装備不足は失格と読めそうな括弧付きの一文は、競技規則違反の場合は失格…となるので無限ループ。競技規則にはそもそも必携装備の規定はない(ハセツネ本戦の規定そのままだからそうなってしまう)

主催者がそれは不正だと考えた事が全て失格になる?それもルールとしては不適切です。何が不正かを具体的に明記しなければルールになりません。

また、競技規則には次のような記載もあります。

30条3項。
役員は、前2項各号の失格となる選手に競技の中止を命じなければならない。

31条(競技の中止)
役員は、選手が競技中、次の各号の一つに該当する場合、競技の中止を命じなければならない。
(1)選手が前条の失格に該当する場合。

第15条(競技部)
競技部は、(中略)競技が公正、公平、円滑かつ安全に行われるように、選手を誘導、応援、並びに競技規則に則った補佐を行う。

ここに書かれてるように、公平、公正に競技規則に則った運用が競技部には義務づけられています。

第12条(審判部)

2.審判部は、選手が公平に扱われ、かつ競技規則を遵守していることを競技中及び競技の前後において審判し、各選手の記録を判定する。

3.各大会の全役員は、審判部の指示に基づき、前項の審判、判定を行う。


審判部は選手が公平に扱われているか判断する義務があり、全役員に指示する義務があります。

今回失格とされている選手は繰り返しますが、競技規則には違反してはいません。ハセツネ30Kの競技規則には義務装備や必携装備の指定は無いからです。

失格に該当する根拠として考えられるとすれば、大会要項の必要装備品の記載に対しての違反ですかね。

この場合でもゴール後に装備チェックを行い装備がないから失格とするのであれば、全選手のゴール後に同様のチェックを行わなければ、公平、公正とは思えません。また、レインパンツを持たないのも失格事由になりますから、そもそも受付チェックで見逃している時点でアウトです。競技規則30、31条に競技部、審判部自身が違反しています。

また、もしも競技規則に、上位入賞者に対してはゴール後に装備チェックを行う、など区別して判定することの定めがルールに明記されている事があれば良いのですが、
(ドーピングチェックなどで良くある方式)

それでも公平を期すのであれば上位入賞者全員のゴール後の装備チェックが必要です。

失格というのは其れ位重い判定です。失格者をちゃんと見つける、見逃さないのも必要ですし、主催者の義務です。ちゃんと競技規則に定められています。

要は、見つかったのは運が悪かっただけ、となってしまうと、いつまでも不正行為は無くなりません。

そもそも、繰り返しますが今のハセツネ30Kのルールにはレインウェア不携帯が失格や不正だと明記されたルールがありません。それらしい記述はありますが、詳細に見ていくと相互に矛盾が生じています。

確かにそれに近い記述はあります。大会運営サイドがそうしたいのだろうな、とも想像出来ます。でも3つの微妙に異なる大会文書から厳密に言葉を読んでいくと、今回のケースを失格と定めるルールが存在してないのです。

百歩譲って大会要項に書かれている必要装備不携帯が失格事由だとした場合にはまた別の問題が浮上してきます。

前出の受付装備チェックでは、レインウェアは上だけで良いよ、と言ったスタッフが居たらしい事になります。

スタッフがルールを知らないという事なのか?ルールが改訂されたのか?

大会要項に記載された参加必要装備のチェックを行うのであれば、レインパンツを持たない選手全員を出走させては駄目なのです。

私は今回失格とされている選手の行為が不正行為なのかは判断しません、その立場に無いですし、正直どの文書が有効なルールなのか解らないです。3つの文書で書いてある用語も内容もバラバラですし、表現も曖昧です。

さて、この様な項目も競技規則に定められています。

第37条(抗議)

  1. 選手は、選手の失格、競技の中止等に関し、抗議をすることができる。
  2. 抗議は、審判部長または審判副部長に対し、口頭若しくは文書で行う。
  3. 審判部長は、抗議の内容及びこれに対する裁定を本大会ホームページで明示する。


抗議可能な期間が定められていません!


という事なので、無期限に抗議可能と解釈出来ますかね?(随分と太っ腹な規則だなぁ´д` ;)


抗議出来るのは規則上は選手本人となってますから、選手以外の外野があれこれ言う立場にはありません。


しかし、個人的には可能ならば抗議して欲しく感じます。


抗議があれば、その内容や結果をホームページで公表する義務が審判部長に生じます。このこともハセツネ30Kの競技規則に明記されています。


と、こんな風にも読めるのです。


私の今の感想は、運営も選手も、ボランティアスタッフも、全て問題あり、ですかねぇ…


というよりもむしろ、運営やルールの不整合の問題の方が酷く思えます…


正直、現状のルールで今回の失格騒ぎが公正、公平な判定で行われたとは思えません。


それ以前に、どのルールが正しいルールなのかすら判断付きませんから(~_~;)3つとも書いてある事が細かい部分で違いますから。


多分、こう受け止めて欲しい、というのは感じなくもないですが、公式文書としてはちょっとお粗末すぎますかね…


大会主催者が自分達の定めた規則の運用が公平、公正に行われているのだろうか?特に審判部と競技部は競技規則に基づいた運用が出来ているか否か?出来ていないならどう改善していくのかを考える必要がありませんかね?


チェック出来ないならチェック出来る数まで参加者を減らすべきでは?


またはもっとボランティアの数を増やして対応するか。その場合エントリーフィーは上がるでしょうけれども、必要ならば対応して欲しい。


また、各文書の位置付けや繋がりも曖昧です。


競技規則、大会要項、参加者案内全てに色々微妙に違う事が書かれています。


先ずは用語の統一と定義をして下さい。


さらに相互に参照するなり、xxxの一部としてこれを定める、とか、yyyに付いてはどれを参照しろ、みたいな記載が必要ですね。


用語の定義も無いし、使い方もバラバラ、曖昧です。


自ら定めたルールを運用できてませんよ?


これら文書や規則をチェック、サインしたのはどなたなんでしょうか?外部に出しても問題ない品質の文書でしょうか?


私の職場だったらこれらの文書は上司のサイン貰えませんし、私もサインしません。


ボランティアスタッフの方々、お疲れ様です。ただ、公式文書、ルールは良く読んで下さい。運営サイドからこうしてくれ、みたいな指示で働いてるとは思います。


ただ、その行為がルールブックに定められている通りの処理や判断か?の確認は必要じゃないでしょうか。


選手や選手サポートの方々。


ルールブックなどの文書は良く読み、疑問点があれば主催者に確認しましょう。


ルールを逸脱しない範囲で工夫しましょう。


大会運営の方々。


色々大変なのは承知しています。


選手の安全や環境保護とか自治体との調整とかルールを定めた背景も色々あるでしょう。


ただ、スポーツにおいてルールは重要です。選手はそれを拠り所にしてトレーニングしたり、装備を工夫したり、戦略を練るわけですから、そのルールを定める文書の表現や品質には充分な注意を払って下さい。行間を読んでくれ、は2千人以上が参加するスポーツ大会のルールでは不適切です。


また、自ら定めた規則を運営サイドが破る行為があってはなりません。基本的には全選手に公平に公正なルールの適用、判定がなされるべきです。適用しないルールはちゃんと改正するなり、アナウンスして下さい。


ルールに書かれた内容と実際の運営、判定が違う限り、ルール違反は止まらないですよ。


それこそ、今回は見つかって運が悪かったにしかなりません。


運営上全選手に公平な対応や判定が出来ない場合は、それをルール上に正確に規定してください。


参加規模が大きくなると、色々な考えの参加者が増えますからね。先ずは正確なルールが重要です。


そうなれば、運営サイドもボランティアスタッフも、参加者も堂々とルール違反者に対して対応出来るようになるでしょう。


あと、ハセツネ30Kがハセツネ本戦の予選となった時点で、ハセツネ30Kが入門者向けのレース、というのは無理があると思いますね…


もしも入門者向けとするならエントリーでカテゴリー分けをして、ビギナークラスとエリートクラスに分けてスタート時間をずらす、装備品ルールを変えるなどする必要がありませんかね?


ハセツネ30k予選化してから高速化してるし、顔触れ見ても上級者の方が多いのではないかなぁ?