ディベート的に双方についてメリット・デメリットという視点でまとめたものです。
0.定義
(1)集団的自衛権とは?
(1-1)集団安全保障との違い
集団安全保障は、侵略国家に対する安保理決議に基づく国連全体で制裁する
集団的自衛権は、侵略国家に対する安保理決議に基づかずに集団で制裁する
1.肯定側
(1)主張
集団的自衛権を前提とする同盟により侵略されるリスクが4割も減る。そして、集団安全保障では中国などの常任理事国からの侵略に対処できないし、個別的自衛権では防衛費が増大する。したがって、日本政府は集団的自衛権を認めるべきである。
(2)侵略されるリスク低減
(2-1)同盟で4割戦争リスクが減る
『Triangulating Peace』(2001年 ブルース・ラセット、ジョン・オニール著)※4
同盟維持のためにも集団的自衛権が必要
http://toyokeizai.net/articles/-/41323?page=3
(2-2)侵略戦争されるリスクのインパクト
・チベットで120万人の犠牲者
酒井信彦は、ガンデンポタン(チベット亡命政府)による調査の結果、
チベット動乱前後の中国によるチベット侵攻および併合政策の過程で、
チベット全域で120万人にのぼる犠牲者が出た[2]としている。
(Wikipedia チベット問題)
・チベット ゴロクの虐殺
チベット亡命政府は中国政府の資料の基づき、1956年にゴロク地区で
130,000人あった人口が1963年までに約60,000人にまで半減したと指摘している[1]。
(Wikipedia チベット問題)
・東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)での核実験
2008 年に札幌医科大学の高田教授がカザフスタンのデータとNEDIPS、RAPS[2]の計算システムにより
分析し、100万人以上の死傷者、被曝者がでたと推論した。
(2-3)日本が侵略されるリスク
・中国、尖閣は「核心的利益」と初めて明言
中国外務省の華春瑩副報道局長は26日の記者会見で、沖縄県の尖閣諸島について
「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国の領土主権に関する問題であり、
当然、中国の核心的利益に属する」と述べた。
(2013/4/26 22:40 日経新聞)
(3)集団的自衛権の重要性(集団安全保障との比較)
・中国は安保理の拒否権を持つため、集団安全保障では中国から日本国を守れない
(4)防衛コストが安上がりになる(個別的自衛権との比較)
・単独防衛だと防衛予算23兆円
『コストを試算! 日米同盟解体』(2012/6/30 武田 康裕、武藤 功 (著))
日米同盟の解体コストを年に22兆2661億円~23兆7661億円と見積もっている
武田 康裕 防衛大学教授
→単独の場合4~5倍の防衛費がかかる
2.否定側
(1)侵略戦争に加担するリスクが高まる
アメリカやソ連が「集団的自衛権」名目で戦争介入して戦争を大きくしている
→※1 集団的自衛権 関連年表
イラク戦争でのイラク戦争における有志連合軍の死者数4,804人
236,689人が派遣され、4,804人が死亡しています。
(慶應義塾大学 経済学部教授 延近充氏のHPより)
イラク戦争のイラク側犠牲者は推定50万人
ワシントン大学の公衆衛生専門家エイミー・ハゴピアン(Amy Hagopian)氏率いる国際チームの調査
(2013年10月ナショナルネオグラフィックの記事)
(2)テロを受けるリスクが増える
例)2005年7月7日 ロンドン同時爆破事件 死者数56人
(3)平和国家のイメージが毀損される
(4)憲法違反
・安保法制、3学者全員「違憲」 憲法審査会で見解
衆院憲法審査会で4日、自民党など各党の推薦で参考人招致された憲法学者3人が、集団的自衛権を行使可能にする新たな安全保障関連法案について、いずれも「憲法違反」との見解を示した。
(2015年6月5日 朝日新聞デジタル)
・元最高裁判事山口繁氏「違憲」
山口繁氏(82)が共同通信などの取材に対して、安保法案について「集団的自衛権の行使を認める立法は憲法違反と言わざるを得ない」と述べた。(2015年9月5日 中日新聞『安保法案「違憲」 「番人」の指摘は重い』)
→【反論】
憲法違反かどうかを決めるのは裁判所
砂川判決で集団的自衛権は合憲
→※2砂川判決
→【反論】
自衛は憲法典の有無にかかわらず有効。国家の自然権だから。
国連憲章51条
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」
<注>
※1 集団的自衛権 関連年表
・1963年3月 米国がヴェトナム内戦に本格参入「集団的自衛権の行使」として正当化
(いちばんよくわかる集団的自衛権 佐瀬昌盛著 2014年 年表)
・1968年8月 ソ連・ワルシャワ条約機構の5カ国がチェコスロヴァキアを占領
「要請があったから介入」したとして集団的自衛権の行使だと主張
・1979年12月 ソ連軍、アフガニスタンに武力侵攻。
国連憲章第51条(集団的自衛権)に則った行動だと説明
・1984年4月 米国がエルサルバドルに軍事介入
ニカラグア政府から国際司法裁判所を通じて提訴される
・1986年6月 国際司法裁判所判決
米国による軍事介入を集団的自衛権の行使には当らないとした。
・1991年1月 国連安保理の武力行使容認決議に基いて多国籍軍がイラク制裁
・2001年10月 NATO理事会は全会一致で集団的自衛権の発動を決定
米国、英国などがアフガニスタンでタリバン掃討を開始
・2011年5月 米国オバマ政権 サイバー攻撃に対しては、国家固有の自衛権に基づき
軍事を含むあらゆる手段を行使する権利を持つとした。
※2 砂川事件最高裁判所大法廷判決(昭和34年12月16日)
・判決理由(多数意見)「国際連合憲章が集団的自衛の権利を有することを承認」
・田中耕太郎裁判官の補足意見 「厳格な意味での自衛の観念は存在せず、自衛はすなわち「他衛」」
・奥野健一、高橋潔両裁判官の意見 「(安保は)憲法九条の精神に反するものとはいえない」
p.s.
そもそも日米安保条約を結んで米軍に基地提供している時点で集団的自衛権を行使しているというのはご容赦ください。一応、まだ集団的自衛権は認めていないという体(てい)で書いてます。
個人的にはどう考えても集団的自衛権を認めるべきだと思ってます。一応、反対派が何を考えているのか探ってみましたが、決定的な根拠はありませんでした。
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