今回は、未成年者が芸能プロダクションに所属する際の専属マネジメント契約(所属契約)をする場合において、その未成年者の親等の保護者の同意が必要かどうかというお話しです。

 

 

このご相談というかご質問も割と受けることがありますね。

 

 

未成年者とは、現行の法律上では20歳未満の者をいいます。いわゆる子役タレントは当然未成年者ですが、他にも10代のアイドル等も未成年者なわけです。そういった未成年者が芸能活動を行うために芸能プロダクションに所属するにあたっては、通常のタレント等と同様に専属マネジメント契約をプロダクションと取り交わすわけです。

 

 

そうした専属マネジメント契約を未成年者と芸能プロダクションが取り交わす際に、その未成年者の保護者等の同意が必要なのかどうかというのが今回のお話しです。

 

 


 

 

【未成年者と専属マネジメント契約を取り交わす際に保護者等の同意は必要でしょうか】

 

 

結論から申し上げますと保護者等の同意は必要です。

 

 

その根拠は、民法第5条です。この民法第5条において、未成年者が法定代理人(保護者等)の同意を得ないでなした法律行為は取り消すことが出来ると定められております。

 

 

芸能活動を行うために芸能プロダクションと専属マネジメント契約を取り交わすというのは、立派な法律行為の一種です。その専属マネジメント契約を取り交わすことで、その契約の当事者に権利や義務が発生しますので、そうした権利や義務を発生させるような契約を締結するのは法律行為といえます。

 

 

よって、専属マネジメント契約の締結という法律行為を未成年者が行うには、保護者等の同意が必要なわけです。

 

 

ではその保護者等の同意をどう行うかというと、通常は、未成年者が芸能プロダクションと締結する専属マネジメント契約書の中に、保護者等の同意欄を設けて、その保護者等に契約書面を読んでもらったうえで署名捺印してもらうことで同意という形をとることが多いです。契約書の一番最後の方に、未成年の場合の条項を用意して、そこで保護者等の同意に関する記載をして、最後の署名捺印欄で芸能プロダクション・未成年者と並んでその未成年者の保護者等の署名捺印をするという形。なんにせよ、この契約内容に同意しますよ、ということが客観的に証明できる形で行われていればよいわけです。

 

 

この保護者等の同意なしに未成年者と芸能プロダクションとの間で専属マネジメント契約を締結したとしても、その保護者等は後からその契約を取り消して無効とすることが出来ます。無効とは、最初からなかったことになることですので、未成年者の契約上の義務が全てなくなります(既に決まっている芸能活動を行わなければならないという義務も)。ですので、最初にきちんと保護者等から同意を得ておく必要があるわけです。

 

 

 

意外とこのあたりをちゃんとやっていないというケースもあり、見過ごされがちな事柄でもあるのですが、重要なことですので最初にきちんと、あとから保護者等の同意を得るという場合は出来るだけ早く対応した方が望ましいと考えます。

 

 

 

専属マネジメント契約書の作成、チェック、修正、ひな形提供その他のご相談については、当事務所(藤枝法務事務所)ウェブサイトの専属マネジメント契約書のページをご覧頂ければと思います。