日本史には、混同する用語が数多くあります。例えば、『土師器』と『須惠器』どちらが朝鮮から由来したものか、『滝口の武士』『北面の武士』『西面の武士』の違いなどがあります。

これらの混同しやすい用語は、センターをはじめとする入試問題で、平均点を落とすために用いられます。普段意識していないと、本番であやふやになってしまいます。

逆にいえば、試験で皆がつまずくポイントをしっかりと意識しておけば、本番に出てきたとしても、焦ることなく対処できるでしょう。

ですので、受験生が混同しやすいポイントを、これから一つずつ説明していきます。一度軽く読みとおすだけでもかまいません。これからの学習の中で意識するようにしてください。

・マンモス
・ナウマンゾウ


旧石器時代、海が凍って大陸から大型の生物がやってきました。ポイントは、南北どちらからやってきたか、ということ。

マンモスが北から、ナウマンゾウが南からやってきました。ナウマンゾウのナとンで、「南」と覚えましょう。

・土偶
・埴輪


よくあやふやになりやすいのが、土偶と埴輪。土偶は縄文時代の、アニミズム信仰からできたもの、埴輪は古墳時代に、古墳の副葬品として使うもの。

写真できちんと確認しておきましょう。有名な土偶として、目が横一文字で片足がとれている遮光器土器があげられます。

・仏教
・儒教


それぞれ、誰が伝えてきたかを正確に。仏教は聖明王、儒教は五経博士です。儒教の儒を十に見立てて、十と五の数字つながりで覚えてみますか。

ちなみに、仏教は聖明王から欽明天皇へもたらされました。仏教の未来は『明』るかったのでしょうね。

・帝紀・旧辞
・天皇記・国記


よくひっかけられる人が多いです。帝紀・旧辞は古墳時代の記述。『帝(みかど)』の『紀』(=一代の歴史)ですので帝記は「大王の系譜」、『旧(ふる)』い『辞(ことば)』で、旧辞は「朝廷の説話・伝承」を書いています。

天皇記・国記は聖徳太子(厩戸王)と蘇我馬子が編纂したもの。この二人はセットで覚える。聖徳太子が馬にまたがっているのでも想像してみましょう。

・竪穴式石室
・横穴式石室

・湿田
・乾田


この2グループに共通するのは、効率性の変化です。竪穴式石室は一人を埋めたらもう終了、使い捨てだったわけですが、横穴式石室は横から入って、追葬ができるようになったのです。

効率が良くなったということ。つまり前期古墳が竪穴式石室、後期古墳が横穴式石室。

湿田は、イメージとしてびちょびちょ。水はけも悪いし、生産性が悪い。それが乾田になって効率が上がるわけです。湿田→乾田。

・土師器
・須恵器


ポピュラーなひっかけ。土師器は弥生土器の系譜、須恵器は朝鮮から伝来した土器です。

須恵器は朝鮮の文化を『吸収』したわけですね。つまり『吸い取った』。朝鮮の文化を『吸えー!』ということ。吸え=須恵器。こじつけですな(笑)

・祝年祭
・新嘗祭


祭りを行う季節が大切。祝年祭は春、新嘗祭は秋です。『年』を『祝』うのは春ですね。秋に祝っても遅い。

・条里制
・条坊制


よく出る混同語句。条里制は律令下の土地区画、条坊制は平城京の土地区画。『坊』さんのいるのは平城京ですよね。

・令義解
・令集解


養老令の注釈書ですが、どちらが私選か公選かを確認しておきましょう。『集』めただけってきくと、適当な感じします。私的なものか。つまり令集解が私選だ!(実際適当というわけではないんですが)

・公営田
・官田
・勅旨田


公営田が大宰府の私有土地、官田が畿内の土地、勅旨田が天皇の土地。財布(大宰府)を食え(公営田)とでも覚えますか。勅旨田は名前の通り、天皇のものだから覚えやすい。

・滝口の武士
・北面の武士
・西面の武士


一番ややこしいと思われる武士シリーズ。滝口の武士は宇多天皇が朝廷の警護のために設置(9世紀末)。北面の武士は白河上皇が院の警護のために設置(11世紀末)。西面の武士は後鳥羽上皇が承久の乱に備えて設置(13世紀頭)。

内容を覚えて、設置年代を順に覚えましょう。『滝』から流れて『北』から『西』に流れていく川でも想像してください。

・宣旨枡
・京枡


統一単位の枡です。宣旨枡は後三条天皇が、京枡は豊臣秀吉が作ったもの。『宣旨=天皇の命令』だから分かりやすいですね。

・南都
・北嶺


南都が興福寺、北嶺が延暦寺です。素敵なゴロ合わせ、『何と』『幸福』なゴロでしょうね。

・惣領制
・惣村
・惣無事令
・惣百姓一揆


並べてみるとややこしさが分かります。

惣領制は鎌倉時代の武士体制、惣村は室町時代の農民自治体、惣無事令は秀吉の停戦命令、惣百姓一揆は江戸中期~後期の一揆のこと。区別しましょう。

・二毛作
・三毛作


鎌倉時代と室町時代に混同語句は多いようです。二毛作は鎌倉時代。米の他に裏作として麦を栽培することです。それに加えて、三毛作は室町時代。鎌倉から室町になると数字が上がる傾向があるようですね。

・三斎市
・六斎市


同じく数字が上がる例。定期市で、三斎市が鎌倉、六斎市が室町。

・刈敷・草木灰
・下肥
・金肥


使う肥料の変化です。鎌倉時代は刈敷・草木灰だけでしたが、室町時代には加えて下肥を、江戸時代には干鰯・油粕などの金肥が使われました。

最初は『草木』の『灰』や『刈』って『敷』いただけのもの、ようやく『下』級の『肥』料も使いだして、最終的には『金』の『肥』料を使った、と覚えましょうか。

・文永の役
・弘安の役


元寇の一回目と二回目の名称。文(文永)庫(弘安)で順番を覚えます。

要注意は、それぞれの後に警戒して建てられたもの。文永の役後には石塁を築いて、異国警固番役を設置、弘安の役後には鎮西探題を設置しました。

・鎮西奉行
・鎮西探題


その鎮西探題もまたややこしい。鎮西奉行は鎌倉時代の地方機関、鎮西探題は弘安の役の後に設置。

・奥州総奉行
・奥州探題


幕府が設置した機関は混同するものが多く、しっかりと確認。奥州総奉行は鎌倉時代、奥州探題は室町時代です。

・京都守護
・京都所司代


京都守護は鎌倉時代、京都所司代は江戸時代です。

鎌倉時代の探題は六波羅探題と鎮西探題を覚えて、残りの九州探題・奥州探題・羽州探題は室町時代と考えてください。

また、室町時代には奉行と名のつく機関はでてきません。

・チンギス・ハン
・フビライ・ハン


チンギス・ハンがモンゴルを統一、フビライ・ハンが元を建国。チー(チンギス)フ(フビライ)の門(モンゴル)限(元)という暗記法もあります。

・持明院統
・大覚寺統


持明院統が後深草天皇~後小松天皇、大覚寺統が亀山天皇~後亀山天皇です。

地面(持明院統)から『草』と『松』が生えてきた。殻(大覚寺統)を持つ『亀』です。

・細川氏
・大内氏


細川氏は堺商人、大内氏は博多商人のつながりをしっかりと。

『川』の『境』目。『大』きくて『多』。

・堺
・博多


堺では会合衆、博多では年行司という組織を設置しています。

『川』の『境』で『会合』。『大』きくて『多』い『年行事』。

・兵糧米
・加徴米


よく受験生が間違えますね。兵糧米は、1185年のみ地頭が徴収していた税。加徴米は承久の乱ののち新補地頭が徴収した税です。

兵糧米は、一年で終わる『ひょろひょろ』の税だったわけです。

・指出検地
・太閤検地


指出検地は信長をはじめ、戦国大名たちの土地調査。太閤検地はもちろん秀吉さんですね。

・貫高制
・石高制


貫高制は、収入額を基準とした税収制度。石高制は、秀吉が確立した、米の収穫量を基準とした税収制度です。言葉の意味をきちんと把握しましょう。

・コレジオ
・セミナリオ


コレジオが宣教師養成学校、セミナリオが神学校です。

『蝉(セミナリオ)』が『神』様にー!、と誰もいないところで叫んでみてはいかが?間違っても人前で言わないよう。

・蔵入地
・幕領


蔵入地が秀吉が持つ直轄地、幕領が徳川家の直轄地です。徳川幕府の『幕』ですので覚えやすい。

・文禄の役
・慶長の役


朝鮮出兵の一回目と二回目の呼び名です。『文(文禄)系(慶長)』で順番を把握。

・元和令
・寛永令


武家諸法度です。1615年に元和令(家康の命、秀忠の名、金地院崇伝起草)、1635年に寛永令(家光が発布、500石以上の造船禁止、参勤交代)。

『玄(元和令)関(寛永令)』

・十組問屋
・二十四組問屋


株仲間です。江戸では十組問屋、大阪では二十四組問屋。

江戸を十時に出発、二十四時に大阪に着きましょうか。間違っても大阪から出発しないよう。

・江戸
・大阪


最後に卸売市場をきちんと判断しておきましょう。

江戸:魚…日本橋、青物…神田
大坂:魚…雑喉場、青物…天満

魚が左、青物が右というこの並びを覚えたうえで、『江戸』は『日本』の『神様』、『大阪』は『雑魚』…でも100『点満』点。