「手から手へ」 | [Twinkle-Box]

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手から、手へ/集英社

まるで、懐かしい 手作りのアルバムのような。

飾りっけのない、装丁。


綴らずにはいられなかった、ことばだけが

ぽつん ぽつん と語られてゆき、


その ことばたちと ときどき 手をつなぎながら、

いのちある日々を 慈しむようなまなざしで歩く

モノクロームの 写真たち。



この詩のために 撮り下ろされたように見えるのだけど、

あとがきに よると。


企画&構成をした方が、

すでに故人となられた 写真家さんの

作品集から、選び抜いていかれたのだそうです。



まだ あどけない、

憎しみも 妬みも 知らない

わが子に向けて。


これだけは いつか 手から手へ 渡したいのだと 

こころ秘かに 誓う、

親の願い。



でも きっと、それは

ある日、成長したわが子に

はい、っと 渡せるものではなくて。


日々を 暮らす、長い長いときをかけて、

親が こうありたいと 生きた姿から

子供のこころに 少しずつ かたちづくられていく

ものなんだろうな…


と、思えてくる。



やさしさを つらぬくのは かんたんなことじゃない。

そうだな、・・・と、思う…。



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詩…池井昌樹さん

写真…植田正治さん

企画と構成…山本純司さん (2012年刊)