浅草観音うら「イチヨウ」という八重桜を街路樹にしている通りがあると聞いた。どこだと思いきや、あの「植木市」で有名な浅間神社の近くらしい。あの辺りに桜なんて咲いていたかと思いきや、そうか、植木市へ遊びに行ったときは桜の時期ではないから、桜に気づく筈もない。
浅草観音裏というのは普段はとても静か(というか情緒というのだろうか)なところであるが、実は筆者よりも、地方から来られた方々、特に関西方面から来られた方に人気のあるところだ。どこと無く「祇園」とか「先斗町」に感じが似ているのだろうか。浅草という町は江戸というよりも「東京市」の名残りのあるところであるが、一方でここ観音裏は東京ではなく、思いっきり「江戸」な空間だ。そんなところが「通」な人間の心を掴んで話さない様だ。
ところで、その観音裏で八重桜のお祭、「一葉桜まつり」というのが開催されると聞いて興味があり尋ねてみたら、なんとも植木市以上の人の波。酉の市にも勝るこの人の多さは一体なんなのだろうか。カメラマンも多く、ジャニーズのコンサートでもあるのかと、それにしては、年齢層が高く男性が多いと思いきや、どうやら「江戸吉原おいらん道中」というイベントのせいらしい。「江戸?」、「吉原?」。そうか、ここ観音裏は「吉原」に隣接している場所でもあるのだ。でも、所謂「浅草芸者」と呼ばれる人たちの中心である「見番」がすぐ近くにあるのに、吉原芸者とは、うーん、とても奥が深すぎてついて行けない。少し、文献でも読んでみないと理解できる範疇にないが、それにしても、このおいらん道中の人気は凄いものだ。
この辺りの桜は、江戸開府400年を記念して、植樹が始まり現在も続いているらしいが、ソメイヨシノと違って、情緒のある桜だ。古来、日本の桜というのは、まさに、この桜のことを言うのであろう。いや、本当に見事。
因みに一葉桜というから、「樋口一葉」(この人も観音裏に縁のある人、竜泉まで行くと樋口一葉記念館もある)に関係があるのかと思ったら、そうではなく、花の中から葉が一葉出ているのである。
とても勉強になったが週末だったが、いやいや浅草はオモテも裏も奥が深い。