私の住んでいる町は麻生太郎のお膝元。
正確には麻生さんの実家がある飯塚市の隣町だ。
だから、この附近には麻生グループ関連企業が軒を連ねる。
もともと、麻生家は麻生太郎の曽祖父にあたる麻生太吉に代に石炭産業で財をなした。
のち、麻生家は黒ダイヤから白ダイヤと呼ばれたセメント事業にシフトして現在でもセメント事業が麻生グループの根幹をなしている。
また、専門学校運営、病院経営、医療廃棄物処理など幅広い分野の事業を手掛けていて、飯塚市でもっとも大きな総合病院である飯塚病院も麻生グループの病院だ。
だから、飯塚市で麻生家の悪口をいうとセメントで固められて海に沈められるなんて冗談もある(笑)

いま、自民党総裁選の最中とあって、飯塚市は麻生太郎一色。
福岡のローカル放送局は各局、麻生太郎応援団の様相を呈している。(悪口云うと抗議が来るだろうし何より視聴率が取れない)
昨日は麻生太郎行きつけの中華飯店が紹介されていた。
画面に映ったラーメンがとても美味しそうで、明日行ってみようと決意した。

その中華飯店は飯塚市役所のすぐ近くにあり、外見はまさに大衆食堂。
店内も地元の顔見知りばかり来るというような雰囲気。
私が暖簾をくぐりつつ、がらりと扉を開けると店主は附け台(いわゆるカウンター)に坐って新聞をながめていた。
客さんは既に二三人いて、ゆっくりとテレビを眺めながら食べていた。
いかにも、地元密着というか昭和の香りというか、つげ義春の言葉を借りればリアリズムのラーメン屋となろう。
勿論、私はこういう雰囲気のお店が大好きだ。

多分、私はこのあたりじゃ見かけない顔だったのだろう。
店の雰囲気が少しピリッとした。
店主も他の客も「お、コイツ知らない顔だな」という表情。
店主は新聞をぱたりと閉じて附け台からテーブルへ移動。
私は今まで店主が坐っていた椅子の隣に坐る。
そして、台所にいる(おそらく)店主の娘さんに太楼麺とチャーハンを註文。

実は昨日テレビに映ったラーメンはラーメンではない。
正確には太楼麺(たろうめん)と云って、とろみのアンが掛かった鶏がらベースのスープにラーメンの麺がはいっているという変わりダネ。
これがいかにも美味しそうだった。
麻生さんはこの店に初めて来たとき、「この太楼麺って俺と同じ名前だなあ(笑)」と云って註文し、以後、病みつきになったという。
テレビでの店主の話では飯塚に帰省したときには必ずこの店に寄ってくれて、黒塗りの車が店先に止まったと思うとSPと共に入店。
椅子に腰掛けるなり、「太楼麺!」と註文するのだという。

太楼麺はもちろん初めて食べたがなるほど美味しかった。
ラーメンとはまったく別もので新たなる麺食品の発見。
麺は多分、ラーメンと同じ麺を使用しているのだと思うが、この麺にも味がしっかりついていてこれがまた美味だった。
チャーハンもまさに大衆食堂の味。
チャーハンというより焼き飯と言った方がしっくりくる。
こういう味、本当に大好きだ。
麻生さん、この焼き飯まで食べているか知らないが、これは病み付きになりそうだ。

食事を終えたとき、今度は店主の奥さんが「美味しかったですか?」と一言。
店の人に話し掛けようかどうか迷っていた私だがこの一言に救われた。
昨日、テレビを観た旨を説明するとテーブルに坐っていたお客さん(?)が「どこから来たの?」と、質問。
私が「○○町からです」と答えると「そんなに遠くからわざわざきてくれたの!じゃあ、今度俺が出前してあげるよ」。
すかさず、娘さんが「いや、そこまで出前は・・・(笑)」
(ちなみに私の家からここまでそんなに遠いわけではない)
なんてやり取りがあったあと、
私が奥さんに「麻生さんは今年はもう来られました?」と訊くと、
七月に来店してやはり太楼麺を註文したという。
そして、少し驚いたのは
「お客さんが坐った席にいつも坐られるんですよ」の言葉。
「ここは特等席だったんですね(笑)」
なんて云いながら、麻生さんが腰掛けた椅子に坐ることが出来て少し嬉しい気持ちになったりもした。

今度はラーメンやオムライスなんかも食べてみたい。
おそらく私は麻生さん以上にこの店に足を運ぶことになると思う。