初めて読んだ作者さんなんですが、久しぶりに新鮮な時代小説という雰囲気で読めました。
時代小説というよりは、時代劇の舞台を使った青春小説とでも呼びたい雰囲気。

家の弓道を継ぐため、女性でありながら武道を仕込まれた主人公。
この主人公が、女でありながら男性的な立場を求められているにも拘らず、清廉な女性像で読んでいて清々しかったです。
男性作家で、こういう女性を書いてくれる人ってあまりいらっしゃらないので、読んでて気持ちよかったです。

父親の勝手で、武道を仕込まれて、武士的な心構えを要求する割には、主人公がその道を選ぶ方向でがんばろうとしたら「女のクセに」とでも言わんがばかりの父親は、悪役よりいらっとしましたが、主人公が恋する相手も、健気な妹も爽やかで好感度たかし。

最後はハッピーエンドにする為、無理やりなカップリングがなきにしもあらずですが、それでも後味がよくていいですね。
連作は望まない、これ一冊で気持ちよく読めた本でした。