講談社文庫

明の初代皇帝が亡くなり、二代目の「人が良い」だけの皇帝が跡を継ぐ。
皇帝周囲のものは、二代目が落ちついた政治ができるようにと、皇位継承権を持つ親族を続々と殺すことで、明の統一をはかったが、それゆえに保身を考える二代目の叔父に当たる燕王は、反撃に出てしまい戦争が始まる…という史実に添ったお話。

表紙では解りませんが、背表紙や裏表紙には小さく幸田露伴原作とあったので、どんなのかなと興味を持ちました。
版権が切れているので青空文庫で読むのが可能です。
こちら→http://www.aozora.gr.jp/cards/000051/files/1452_16991.html

…読むのは可能ですが、昔の漢文をそのまま直訳したような文章なので、ちょっとさすがに一気には読めませんでした(笑)
休み休みですが読んでみると、原作は「事実をありのまま、まとめた」といった小説で登場人物の心情などは、あまりこちらに伝わってきません。また、随分短くまとめられているので、、「原作」という文字がなければ、この本はたまたま同じ時代の同じ登場人物について題材が被ったのかなと思う程度で、エンターテイメント性は、田中先生の方が高いように感じます。

そういや、ラスト近くの和議話まで見事に女の人の影がないのは、こういった歴史物では珍しいかも
だいたい登場人物の一人ぐらいは並外れた女好きだったり、普通に妾数人ぐらいはべらかしていそうなのに

ちなみに史実での建文帝は、自殺もしくは殺されたとなっていますが、伝説的に逃亡したというお話もあります。そして自称建文帝事件もあったという説話があるから、そこらも見事に小説に組み込まれていて、最後を盛り上げてくれていました。

色恋沙汰の絡む小説は小説で好きですが、すっぱり国の歴史的戦争をそれぞれの立場からみたものや、人のやり取りでまとめてくれた小説も、読みやすくて好みです。
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