新潮文庫


導入部辺りのタイは、行った事があるので臨場感あって読めるので
嬉しく、またそこから陸続き

の先は訪れたことがないので興味持って読める巻でした


現地の安宿=ご休憩OKのお宿ということでいわゆる夜の女性系の商売
場所=ヒッチハイカーOKだけど女性はきっと色々泊まったらヤバい事
になるんだろうなあと、自衛があれば宿泊できないだろう箇所という事で
レポート観察気分で読めて面白い


…そして作者さんが、実際にその宿泊場所に集ってる商売女性やそのヒモ
達といかがわしい冗談を交わしたり、現地の言葉のやり取りで仲良くなっ
ていく様子というのは、旅に憧れる人ならいいなと思いそうな自由度に
溢れています…尤も旅行=一流ホテル・日頃はしないゴージャスな食事・
ブランド物ショッピング・現地で観劇…というのがお目当ての方が読んだ
ら、そんな不潔な場所はいやーっ!と鳥肌立ちそうでもあるのですが(笑)


混み混みの帰省電車に乗り合わせてしまった時の、現地学生とのやり取り
や言葉の行き違い、たまに日本人と出合ったりなどは楽しそうな反面
ちょっと自分の感情を色々とすり減らす大変さが裏側に見え、人事だと
思いつつ楽しさだけではない何かが伝わってくる


タイトルの深夜特急の意味は、1巻の冒頭に「外国語で脱獄することを
ミッドナイトエクスプレスに乗る」といってそこから和訳したと解説が
あるのですが…うまいタイトルだなと単語の響きも好き


昼先にのんびり行く電車ではなく、深夜の休むための夜行列車でなく
夜の特急…いろんな郷愁や感慨に似たものを連想する言葉です

一見自分達と同じ中国・韓国系の土地と異なり徐々に己が異邦人である
ことを見た目で察せられる場所へと移動していく、ちょっとした心細さや
馴染めなさが陽気な雰囲気の中直接の描写がないのに感じられるのは、
伝え方がうまいんだろうなあと読んでいて考えさせられます


おすすめでお気に入りの本ですが、読むなら文庫がいい!

持ち歩ける薄さと、読みやすさ…と作者さんには申し訳ないのですが

安い方プッシュです(笑)

深夜特急〈2〉マレー半島・シンガポール (新潮文庫)/沢木 耕太郎
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