夏は嫌いだ。

炎天下の野外ライブは、だからちょっと無理だなって思ってた。

思ってたんだけど、ダイホで浴びた希望前線がとても良かったから、勢いでチケットを取った。

真夏のお昼間に、苦手とするフェスへと連れ出すんだから、ドラマストアはすごいよ。



まるさんのラストの曲くらいから中にいたんだけど、

めちゃくちゃ暑くてこの時点でだいぶぐったり。

人も多くなかったので後ろの方でゆるーく観てた。


転換のうちに場所をもう少し前の下手に移して、

高くて広いステージの上で準備する姿を観てた。

そこにいてくれるだけでうれしくなってしまうから、

暑くてしんどかったけどそれだけで元気になる。

この青空の下でドラマストアを見られるのは、うれしいんだよな。

だって、スイミーじゃん。

今はもう観れないスイミーのMVを、思い出すから、眩しくて目を細めてしまう。




真昼の太陽の下で、聞き慣れたSEを聞く。

ふわっと感情が浮き上がる。

高いステージの上、飛び出してくるメンバが眩しくて目を細めた。

この始まりの愛おしさと高揚感が、好きだ。

熱中症にだけは気をつけてね、と思いながら、

今日もよろしくお願いします、と祈るように頭を下げた。




夏だよ、海辺だよ、絶好のスイミー日和じゃん、

今日やらなかったらいつスイミーやるのって話だよ、やるよね??

って半ば圧強めに思いながらここまで来たから、

最初に聞こえた叩きつけるような光度高めの音に、わっ、と感情が昂った。


ぐっと強く踏み締めた大地を蹴って、思いっきり跳ぶ。

スイミーは、そういう縦方向の瞬発力がめちゃくちゃ強い曲だ。

ぶわっと広がる音に目一杯に手を伸ばして、

その先にステージが、その上に本物の空が広がっていて、

その贅沢に胸がいっぱいになる。

野外ステでスイミー聴けるとうれしいんだけど、海は流石に初めてだから、

ああ〜!MV〜!ってなってとってもうれしい。


あのMVもう観れないのめちゃくちゃ哀しいな

かずやさんめちゃくちゃかっこいいのに赤髪かずやさんなのに

この悲しさは前にかずやさんに話したことがあるけど、

大人の問題なのはわかってるのでほんとに、泣いて、ごめんよ

スイミーのMVのかずやさんめっちゃかっこいいのにもう観れないって嘆きには笑ってらっしゃったな。笑


大気に拡散していくきらきらしたギターの音は太陽の光に負けてなくて、

まっすぐに飛んでくるベースの音は体のど真ん中に沈んでいく。

んん〜!夏だ〜!ってくらいの、重さと煌めき。

湿度高めの海辺で聞くスイミーの轟音はいつにも増して心地が良い。


めっちゃ晴れてたのにスイミーの時だけ曇ってたから、雲〜!散って〜!ってなってたのもいい思い出。笑

そんなピンポイントで翳る?嘘でしょ?って笑っちゃったよねぇ。

それでも、歌声に押しのけられるようにして雲が流れて、

スイミーが終わる頃にはまた鮮やかな青空が広がっていたのが、

めちゃくちゃ気持ちよかったな、って思う。




いつでもうれしいシティトーク。

わ!っとテンションが上がっちゃった。

きらきらとした夏の空気の中に弾けるポップカラーが眩しくて、

手拍子するたびに同じように音がカラフルに弾けていたらいいのにって、思う。


眩しさに目を細めて、高いステージの上を見上げる。

軽やかにキーボードを弾く鳥山さんの背中を見ると、

やっぱり愛おしさで涙ぐみそうになってしまう。

いつまで思い入れるの、って時々思うんだけど、

いつまでも、だから、思い入れ、って言うんだよ、って私が反論する。笑

ずっとこの曲は、この曲の鳥山さんは、特別なんだと思うよ。


きらきらしてる音を、明るい日差しの中で浴びて、

軽やかに転がっていく音に誘われて、

ふわふわ揺れる体が夏に焼かれて汗ばむ。

暑いなって気持ちと、幸福とが混ざって、

夏の野外のシティトークは眩しすぎるな、と思った。




MCが入っていたみたいなんだけど何を話してたかなぁ。

メーテレとそこまで関わりがないのに呼んでくれてうれしい、とか、

フェステーマのエコの話をしてたような気がしなくもないけど。

あっつい、ってかずやさんが言って、あっついねえ、って思ったことは覚えてるな。




秘密をね、聞けると思ってなかった。

ほんとになんでここ最近こんなにもセトリに入れてくれるんだろう。

うれしくて、苦しい。

秘密は、僕の特別のひとつだから。


真昼の太陽はじりじりと肌を焼くのに、音は夕闇を映している。

斜陽の色をした秘密が、心をぎゅうぎゅう絞る。

オレンジ色の曲に、やっぱり弱いんだよね、いつまでも、囚われている。

閉じた瞼を透かしてくる太陽の光で、暗闇にオレンジが散る。

きっとこうやっていくつも、瞼の裏に記憶は仕舞われていくんだ。


手放せないままのあの日が、ざわめく。

かずやさんの優しい音が、記憶を撫でる。

この人の音が好きだ、と思う。


じわじわとオレンジに侵食されていく意識に、割り込んだのは場内放送で、

ねぇ、ちょっとどういうことなの??笑


これは完全に運営側のミスで、後の出演者の時には聞こえないようにされてたから、

私はいまだにちょっと怒っているよ。

集中力が削がれてしまった。




ここでMCが入ってんだけど、メンバもさすがに苦笑いでしたね。

MC中もずっと放送が入ってたから何話してたかおかげでぜんぜん覚えてないんだけど、

この感じで次の曲やれないんですけど待っても?って訊いてたのに答えは返らなかったんだよなぁ、確か。




隙をつくようにして演奏し始めたのはラブソングはいらない

オレンジの曲を繋いでくるのいいなぁ、

これほんとはMC入れたくなかったんじゃないのか、わからんけど。

演奏し始めは放送も止んでて良かったんだけど、

結局また放送入っちゃったのが悲しかったよねぇ。

先にも書いた通り他の出演者の時には放送分離されてたのも含めて、

私、この子らが出るんじゃなきゃもう二度とこのイベント行かないな、って思ったわ

なんでドラマストアの時だけ対応してくれないの?意味がわからないんだが??


ライブに没入したいのにそれができなくて、

感情がうまく捉えきれなかったのは私の感受性の問題だろうか。

外の音が気になってしまう

ただ、強烈に覚えている美しい風景があって。


蜻蛉が、飛んでいたんだよね。

オレンジの空気の中を、ステージに向かって飛んでいく、1匹の蜻蛉。

なんでこんな真夏の海辺に?って思いはしたけど、

その景色があまりにも美しくて、瞬間的に泣きそうになったんだ。

理屈を超えてしまうものがあって、

あの蜻蛉はたぶんそれだったんだと思う。




ラストMCで何を話していたかあまり記憶はないんだけれど、

普段はもっと暗くて狭いライブハウスで音楽をしています、って昔みたいなMCするから、

それだけでぶわぶわ泣いてしまいそうになったことは、覚えている。

君は時々そうやって、過去をなぞるから、

変化しながらも変わらない部分が愛おしくて、救いなんだよ。



俺たちの音楽が少しでもあなたに残れるように、とこの日の終わりはknock you,knock me

何度でも言うけれど、この曲で締められるのに弱いんだってば。

優しいオレンジ色が降り注いだら、簡単に涙腺は弛むのだよ。


この曲は、ドラマストアに救われてきた私の輪郭を丁寧になぞっていくから、

少し懐かしくもあるMCから繋げられたら号泣必死案件。

持ってたタオルに慌てて顔を埋めて、滲みかけた涙を抑えた。


昼の明るい陽射しの最中でも夕の色を纏う音はノスタルジーを連れてくる。

確かに心をノックされたあの日から、今日までの想いがあふれだして、心がいっぱいになる。

ずっと、ずっと、何度でも、私の心を解いてきたのはドラマストアの音楽だ。

この頃の私は絶望的にメンタルが不調で、蹲るような日々で、

だから、まるで耳を塞いだ両手をそっと外すようにして響くkykmにはあふれだす涙を堪えきれないんだ。


ぐすぐす泣きながら見上げた眩しい陽射しの中のドラマストアは、海さんは、

私にとってはやっぱりずっと太陽みたいな人で、

それがすごく、尊く思えた。




セトリ


1.スイミー

2.シティトークが終わらない

3.秘密

4.ラブソングはいらない

5.knock you,knock me






ざわめぎがすごいので一旦離脱。

暑いし、泣いたし、水分と塩分を補給しないと物理で死ぬ、とひとまずお昼ごはん。

会場から届く音を聞きながら、辛い麺とかき氷を食べてた。

なんだか魂抜けたみたいに、ずっとぼんやりしてたな。笑

始まりのスイミーではこんなぐずぐずに泣き崩れてしまうとは思わなかったよ!



小柳ゆきちゃんが観たい、となんとか会場へ戻って、

圧巻の歌声と色気とかっこよさにきゃっきゃしてきた。

お背中が大変綺麗だったし、腰の龍()の色気がすごい

僕はカバーが好きじゃない人間なのでなぜカバーソング??ってなりはしたけど。

ゆきちゃんの持ち歌もっと聞きたかったのに



ソナポケも観るんだ!って強い気持ちでいて、

めーちゃくちゃ楽しかったな!

きゃっきゃとはしゃいでしまった。

ああいう、巻き込んでいけるライブをするアーティストが私は好きですね。


ほんとはこの日のラインナップでいちばん見たかったのはてぃーぼらんなんだけど、

暑さと予定外の号泣でもうちょっと無理かな、と諦めました。

またの機会があれば、ね。



冒頭にも書いた通り、真夏の野外のフェスなんて、くるつもりはなかったんだ。

でも直前のダイホ公演が刺さってしまったから、来ないわけには行かなかった。

そしてそれを後悔させないライブをしてくれる人たちなんだ、ドラマストアは。

めちゃくちゃ暑くてだるかったし、駅から会場まで遠かったし、意味のわからない放送は入るし、

でも、来てよかったと、すごく強く思った。

この夏の、大切な思い出。