リーサル・ウェポン(1987) | つぶやキネマ

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大好きな「映画」について「Twitter」風に
140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

★注意!!! 作品の内容に触れています★


リーサル・ウェポン(1987)


 クリスマスが近いある日の深夜、ロサンゼルスの高級
アパートの最上階の部屋で薬物を摂取して朦朧としてい
た若い女性がベランダから飛び降りる。翌朝、ロサンゼ
ルス市警察本部捜査第一課の刑事ロジャー・マータフ(ダ
ニー・グローヴァー)は、バスタブに浸かったまま50歳の
誕生日を妻トリッシュ(ダーレン・ラヴ)と長女リアン(ト
レイシー・ウルフ)、長男ニック(デイモン・ハインズ)次
女キャリー(エボニー・スミス)ら家族に祝福されるが、
女性の飛び降り自殺の報を受けて現場に急行する。飛び
降りたのは娼婦アマンダ(ジャッキー・スワンソン)で仲
間の娼婦ディクシー(レイシア・ナフ)の証言から自殺と
断定され るが、アマンダはマータフのベトナム時代の
戦友で銀行家のマイケル・ハンサカー(トム・アトキン
ス)の娘である事が解る。ロス市警麻薬課の刑事マーテ
ィン・リッグス(メル・ギブソン)は潜入捜査で麻薬の売
人3人を射殺しひとりを逮捕するが、上司の警部エド・
マーフィ(スティーヴ・カーン)はリッグスの奇妙な行動
は年金狙いの演技だと考えていて、市警内の精神科医(メ
アリー・エレン・トレイナー)から自殺願望がある危険人
物で刑事としては不適格で放置するのは危険だと指摘さ
れる。3年前に愛妻を自動車事故で亡くしたリッグスは
トレーラーで愛犬のサムと暮らしていて、命の危険も顧
みず無謀な捜査を繰り返し毎朝目覚めると自暴自棄にな
り銃口を顔に向けたりしていた。検死の結果体内から毒
物が検出されアマンダは他殺の可能性が出て来た上に、
新しい相棒として自殺願望を指摘されているリッグスを
紹介されたマータフは、暗澹たる気分に襲われ家庭人と
しての自身の今後にも不安を感じ始める。ハンサカーの
銀行を訪れアマンダについて事情聴取をしたマータフと
リッグスは、ビルの屋上に自殺志願者がいるとの連絡で
ビルに向かい、説得に当たったリッグスはその男マクレ
リー(マイケル・シェーナー)に手錠をかけると道路に設
置されたマットに一緒に飛び降りて救助するが、マータ
フはその無謀なやり方に怒り増々不安を募らせるのだっ
た。ふたりは、アマンダのパトロンが住むビバリー・ヒ
ルズの邸宅に捜査に向かうが、邸内のプールにいた男か
らいきなり発砲を受けマータフは足を撃って男を捕らえ
るが 、男が銃を隠し持っているのを見抜いたリッグスの
機転でマータフは命を救われる。この件でリッグスに対
する不信感が和らいだマータフは、リッグスを自宅での
夕食に招き次第に打ち解け友情を深めるようになって行
く。ふたりは、目撃者の娼婦ディクシーが怪しいと彼女
の家に向かうが、ふたりの目前で爆破され家の中からデ
ィクシーの遺体が発見される。爆弾に特殊な水銀スイッ
チが使われていた事や、直前に現場で男を目撃した少年
がリッグスの腕のものと同じ刺青を見ている事から、犯
人は特殊部隊にいた人間である事が解る。マータフは別
荘にいたハンサカーを問いつめ、彼がベトナム戦争当時
CIAに所属していて特殊部隊を使いベトコンの軍資金と
なっていたヘロインのルートを壊滅させた事、数年前に
当時のCIAや特殊部隊の仲間が召集され、ハンサカーの
銀行を隠れ蓑として使いアメリカ国内へ大量のヘロイン
密輸を行なっている事を聞き出すが、直後に密輸の中心
人物マカリスター将軍(ミッチェル・ライアン)の手下の
ジョシュア(ゲイリー・ビジー)のヘリコプターが別荘に
飛来、ハンサカーは狙撃されてしまう...というお話。元
特殊部隊員で射撃と格闘術にすぐれながら自殺願望が強
いという主人公のユニークなキャラクター設定と、まっ
たくタイプの違う家庭人のベテラン刑事との友情を描く
という新しいスタイルを作り出して大ヒット、シリーズ
化される事になる刑事アクションの傑作であります(注1)。
本作のストーリー自体はこれ迄の刑事アクションと大差
ないのだが、最大の魅力は"リーサル・ウェポン=人間凶
器"と呼ばれる破天荒なリッグス刑事と、引退後の年金
暮らしを考えてなるべく危険な事はしたくないと思って
いるマータフ刑事の素晴らしい組み合わせに尽きる。ふ
たりの"漫才"のような会話も抜群に面白く、マータフ刑
事の家庭での様子も楽しくニコニコしてしまう...色っぽ
く育ってしまった娘のリアンに困惑する表情が可笑しい。
マータフが無謀なリッグスのおかげで怒ってばかりだっ
たり、市警の射撃場で自身の腕前にご満悦だった直後に、
銃弾で笑顔を描いてしまうリッグスの射撃の腕前を見せ
られ唖然とする姿はホントに笑える。ふたりの"コンビ
芸"や冗談ばっかり言い合っている同僚の刑事たち等の
コメディ・タッチな部分と、リアルで衝撃的な銃撃戦や
これ迄にない格闘描写のコントラストが効果的 で、シン
プル過ぎるメイン・ストーリーの弱さをカバーしている。
リッグスの格闘描写には"柔術"が取り入れられ、格闘指
導として1993年から開催された総合格闘技の大会UFC
(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシッ
プ)で無敵を誇ったグレイシー柔術のホイス・グレイシ
ーが参加している。プロデューサーのジョエル・シル
ヴァーは本作のヒットを受けて、1957年にヒットした
ボビー・ヘルムスのクリスマス・ソング「ジングル・
ベル・ロック」をタイトル・バックに使用した事や、
リッグスの愛用するベレッタM92Fや登場する短機関
銃H&K MP5等の要素を、翌年に自身が製作する「ダ
イ・ハード(1988)」
でそのまま横滑りさせて使ってい
る。特にベレッタM92Fはこの2大シリーズによって
"凄腕刑事の愛用銃"として定着してしまった。ちなみ
に、リッグスを電気ショックで拷問する"遠藤"を演じ
た中国系俳優アル・レオンもテロリストのひとりユー
リとして横滑り、以降も「ブラックレイン(1989)」
「GODZILLA ゴジラ(1998)」「スコーピオン・キング
(2002)」等で活躍してます...ほとんどチョイ役ばかり
だが髭が特徴的なのですぐに解ります。娼婦ディクシ
ーの家が爆破される場面で、爆発する家の向こう側の
上空を着陸態勢にはいった旅客機が通過するのが面白
い。偶然だとは思うが、狙ったんだとしたらリチャー
ド・ドナー監督のセンスにグッド・タイミング賞を贈
りたいです。


●スタッフ
製作・監督:リチャード・ドナー
製作:ジョエル・シルヴァー
脚本:シェーン・ブラック
撮影:スティーヴン・ゴールドブラット
音楽:マイケル・ケイメン、エリック・クラプトン


●キャスト
メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、
ゲイリー・ビジー、ミッチェル・ライアン、
トム・アトキンス、ダーレン・ラヴ、トレイシー・ウルフ、
デイモン・ハインズ、エボニー・スミス、
スティーブ・カーン、メアリー・エレン・トレイナー、
ジャッキー・スワンソン、グランド・L・ブッシュ、
ジャック・チボー、ドン・ゴードン、エド・オロス、
レイシア・ナフ、アル・レオン、マイケル・シェーナー、
ガスタフ・ヴィンタス、ジミー・F・スキャッグス、
ジェイソン・ロナード、ブラッキー・ ダメット


◎注1; 本作は、なじみの薄い外来語のタイトルのおかげ
で日本での劇場公開はあまり成績が良くなかったらしい
が、ビデオ・レンタルが始まって人気に火がついたよう
だ。本作には、劇場公開版より8分長いディレクターズ・
カット版が存在する。最も特徴的なのは、小学校に籠城
して銃を乱射している犯人の前にリッグスが無防備に歩
き出し射殺してしまう場面で、他にも自暴自棄なリッグ
スを表現する短い場面が挿入されている。アメリカでは
DVDが発売されているが日本では未発売のままで、それ
らの映像は特典映像という形で収録され未公開シーンと
して観る事が出来る。メル・ギブソンは出世作「マッド
マックス・シリーズ」の後の本作で不動の人気スターと
なった。ギラギラした危険な雰囲気と切れの良いアクシ
ョンが最高で、得体の知れない人物像はマータフ刑事同
様に観客を不安な気分にさせてくれる。銃器の扱いも見
事で、ちょっと変則的な射撃姿も歴戦の勇士的で素晴ら
しい。マータフを演じたダニー・グローヴァーは、「プ
レイス・イン・ザ・ハート(1984)」「刑事ジョン・ブッ
ク/目撃者(1985)」「カラーパープル (1985)」等で注目
され本作で大ブレイク、演技の上手いアクション俳優と
して大活躍する事になる。メル・ギブソンとの相性も最
高で、ジョークまじりの絶妙な台詞のやり取りはホント
に楽しく、家庭での家族との会話は"働くお父さん"の悲
哀を感じさせて笑わせてくれます...一応亭主関白なのが
さらに可笑しい。アクションの見せ場はメル・ギブソン
にほとんど持って行かれているが、4インチのS&W M19
を構える姿はナカナカ格好良くて、ラストでふたり揃っ
てジョシュアを撃ち殺す場面は拍手したくなるぐらい...
腕を延ばし気味に銃口を地面に向けて前屈みの姿勢で走
る姿がリアルです。ジョシュアを演じたゲイリー・ビジ
ーは、元々は演技派の俳優さんだったのだがこういう凶
悪犯はホントにサマになる。登場しただけで"悪いヤツ"
と解る御面相は歴代の悪役俳優でもトップ・クラスで、
笑うとさらに恐いという存在感には脱帽...「さまよう魂
たち(1996)」「コンタクト(1997)」「スターシップ・ト
ゥルーパーズ(1997)」等に出演している息子のジェイク
も親爺さん同様に怖い顔デス。マータフの娘リアンを演
じたトレイシー・ウォルフは、メッチャ可愛いくて一目
でファンになってしまったが、出演作が本シリーズとT
Vシリーズのゲスト出演3本のみで引退してしまったのが
残念。本作では撮影当時26歳とは思えないキュートさだ
ったが、シリーズ後半では歳相応の容姿になっていてさ
らに残念であります。マーフィ警部を演じたスティーブ
・カーンはリチャード・ドナー監督のいとこで、ドナー
監督作に様々な役柄で出演してます。本作の音楽はマイ
ケル・ケイメンとエリック・クラプトンが担当している
が、実際はケイメンの作曲した短いモチーフを元にエリ
ック・クラプトンとデヴィッド・サンボーンが画面を見
ながら即興演奏をして後からオーケストレーションを加
えたようだ。


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