未来惑星ザルドス(1974) | つぶやキネマ

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140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

★注意!!! 作品の内容に触れています★

未来惑星ザルドス(1974)

 

 2293年、人類は20世紀末の科学者と知識人が頭脳と技
術を結集して作りあげた理想郷「ボルテックス」で暮らす
不老不死の「エターナルス」と、ボルテックスへの食料供
給のために荒廃した土地で耕作する奴隷「ブルータルス」
に分かれていた。ボルテックスは外界から侵入出来ないよ
うに眼に見えない壁で守られていて、空飛ぶ巨大な神像ザ
ルドスを神と崇め畏れるブルータルスはエターナルスに繁
殖をコントロールされ、増え過ぎたブルータルスは「エク
スターミネイターズ」と呼ばれる屈強な男たちによって粛
正されていた。エターナルスたちはザルドスで収穫した穀
物を運びエクスターミネイターズには見返りに武器と弾薬
を渡していた。ザルドスの存在に疑念を抱いたエクスター
ミネイターズの首領ゼッド(ショーン・コネリー)は、ザル
ドス内の収穫した穀物に隠れてエターナルスのアーサー・
フレイン(ナイオール・バギー)を殺害しボルテックスに潜
入するが、エターナルスの超能力でコントロールされ捕ま
ってしまう。遺伝学者メイ(セーラ・ケステルマン)によっ
て突然変異と診断されボルテックス内で3週間研究観察さ
れる事になったゼッドは、指導者コンスエラ(シャーロッ
ト・ランプリング)や預言者アヴァロウ(サリー・アン・ニ
ュートン)、遺伝学者メイ等の権力を掌握する女性たちと
共に生活する事になる。フレンド(ジョン・アルダートン)
に案内されたゼッドの眼に映ったボルテックスは理想郷と
はほど遠く、不老不死や超能力 と引きかえに人間性を喪
失していて、性欲や繁殖欲もないため子供が生まれず若者
ばかりの不自然な社会構造になっていたのだった。そして、
自殺しても生命維持システムの「タバナクル」によって再
生されてしまう事、コミューンのルールを破ったり反抗し
た者は罰として加齢される事、刺激のない生活から無気力
になってしまった「アパセティックス」たちの存在、コミ
ューンに反逆したために老人にされてしまった「レネゲイ
ズ」の存在等をフレンドから聞かされる。フレンドは以前
からコミューンのあり方に疑問を持っていて、ゼッドを解
放者と考えたためにコンスエラやメイと対立し、投票の結
果加齢を言い渡されて老人にされてしまう...というお話。


 巨大な岩石の顔が空を飛んでいるという圧倒的なビジュア
ルから、ショーン・コネリー主演のSci-Fiアクション大作
だと思ったら、「生と死」について語られるかなりヒネリ
が効いていて少しばかり哲学的な本格Sci-Fiだったという、
製作・監督・原作・脚本のジョン・ブアマン渾身の傑作で
あります...ヒネリ過ぎてチョッピリ解りにくいのが難なん
だけどね(注1)。冒頭に首だけのアーサー・フレインが自己

紹介と物語のヒントを語りタイトルが登場して、その後は
時代設定以外は何も語られず物語が進行し、徐々に世界観
が解って来るあたりがナカナカ楽しく、「ボルテックス」
「エターナルス」「ブルータルス」「エクスターミネイタ
ーズ」「タバナクル」「アパセティックス」「レネゲイズ」
という名称を覚えた頃には、世界観がほぼ理解出来ている
という"サスペンス"も 効果的。特にゼッドがザルドスの存
在に疑念を抱いたきっかけが回想で描かれるシーンはワク
ワクしてしまう。廃墟となった図書館で謎のマスクの人物
に導かれたゼッドが「オズの魔法使」を発見しザルドスの
謎を解く場面は、ホントに感心して劇場で思わず声を上げ
てしまいそうになったほど...巨大な顔と声で民衆を操る→
「オズの魔法使=The Wizard of Oz」→「wiZARD of OZ」
→「ZARDOZ」。ゼッドの汗をなめて無気力人間たちが気
力や感情を取り戻すあたりは笑ってしまうが、クライマッ
クスで描かれる、歓喜の中で死んで行くエターナルスたち
や、リーダーを失って立ち尽くすエクスターミネイターズ
たちの姿からは、周りの意見に流されたり、リーダーと呼
ばれる人の言いなりになったりせず、「生きる」という事
の意味とちゃんと考えて生きようと言うメッセージが伝わ
って来る。ラストで、墜落した神像ザルドスの中に逃げの
びたゼッドとコンスエラに子供が生まれ死んで行くまでが
ベートーヴェンの交響曲第7番に乗って描かれるのもナカ
ナカ素敵です。本作の舞台になったのは「ボルテックス4」
で台詞で「9」まである事が解るのだが、他のボルテックス
がどうなったのかはま ったく描かれないし、大殺戮の前に
脱出したメイたちがどうなったのかも気になるトコロ。ゼ
ッドの性欲についてテストする場面で、シャーロット・ラ
ンプリングにショーン・コネリーの股間を見つめさせる演
出には大爆笑させてもらいました。

 

●スタッフ
製作・監督・原作・脚本:ジョン・ブアマン
撮影:ジェフリー・アンスワース
音楽:デヴィッド・マンロー

 

●キャスト
ショーン・コネリー、シャーロット・ランプリング、
セーラ・ケステルマン、サリー・アン・ニュートン、
ジョン・アルダートン、ナイオール・バギー

 

◎注1; 本作は、ストーリー自体は難解というほどでもない
のだが、特殊な世界観や設定が解るまで少し時間がかかる
...それを楽しめないとキツイかもね。とにかく存在感抜群
のショーン・コネリーを観ているだけでも楽しいし、全編
赤いフンドシ風のパンツ一丁で胸毛をタップリ蓄えた裸体
をさらして頑張っているのが素晴らしいです...純白のウェ
ディングドレス姿もあります。そして、本作は何と言って
もシャーロット・ランプリングなのであります。彼女の冷
たい美しさと細い肢体からはグラマー女優(死語)には無い
エロティシズムが漂っていて、もう最高であります。あん
な眼で見つめられたら精力絶倫のゼッドでなくても"反応"
してしまうよなぁ。とにかく首なんか折れそうなぐらい細
いし、乗馬姿は少年のような 雰囲気もあって、ゼッドに対
して無関心を装いながら実は興味津々というあたりの微妙
な演技も良い感じで、彼女の存在自体がこの不思議な作品
の重要な要素になっていて素敵です。しかし、ザルドス内
部の真空パック状態で飾られている裸体や研究室の壁面に
張り付いている裸体は何だったんだろうね?

 

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