キング・コング(1933) | つぶやキネマ

つぶやキネマ

大好きな「映画」について「Twitter」風に
140文字以内(ぐらい)という制約を自ら課して、
"つぶやいて"みようと思います...ほとんど
「ぼやキネマ」になりそうですが。

★注意!!! 作品の内容に触れています★


キング・コング(1933)


 秘境映画の監督カール・デナム(ロバート・アームスト
ロング)は、旧知の船長からゆずり受けた地図をたよりに
"コング"という謎の生物が棲む島「髑髏島」を目指し、街
でスカウトした女優アン・ダロウ(フェイ・レイ)や密輸船
のエングルホーン船長(フランク・ライチャー)、水夫長の
ジャック・ドリスコル(ブルース・キャボット)らと共に世界
大恐慌に揺れるニューヨークから出航する...というお話。
巨大モンスターの元祖と言っても良いキャラクターを生み
出し、多くの映画に影響を与え世紀を越えて派生作品が
作られ続けている映画史に残る傑作であります(注1)。
ウィリス・H・オブライエンによるストップモーション
・アニメーションを中心とした特撮ばかりが語られる事が
多いのだが、冒険映画としてもナカナカ良く出来ていて、
冒頭の人物紹介の手際の良さや、髑髏島へ上陸し原住民と
対峙するまでの無駄のない展開、アンが原住民に誘拐され
コングが登場した後は台詞を最小限に抑えて、驚異的な映像
の連続で怒濤の如くストーリーが進むあたりはホントに見事。
世界初の長編トーキー映画「ジャズ・シンガー(1927)」が
登場して数年経って、発声映画のブームが一段落した頃に
製作されたため、サイレント時代の"絵で観せる"モンター
ジュが見直された時期でもあったのが良かったのだろう。
恐竜好きとしては、ステゴザウルスの死後の痙攣やコング
が倒したティラノサウルスの顎をパコパコさせて死亡確認
するあたりのウィリス・H・オブライエンの芸の細かさには
あらためて脱帽。髑髏島での場面が盛り沢山なのに比べて、
ニューヨークへ戻ってからがボリューム不足な感じがする
のがちょっと残念だけど。


●スタッフ
製作・監督:メリアン・C・クーパー、
アーネスト・B・シュードサック
製作総指揮:デヴィッド・O・セルズニック
原作:エドガー・ウォレス
脚本:ジェームズ・アシュモア・クリールマン、
ルース・ローズ
撮影:エドワード・リンデン、ヴァーノン・ウォーカー、
J・O・テイラー
特殊撮影:ウィリス・H・オブライエン
音楽:マックス・スタイナー


●キャスト
フェイ・レイ、ロバート・アームストロング、
ブルース・キャボット、フランク・ライチャー、
サム・ハーディ、ノーブル・ジョンソン、
ジェームズ・フラヴィン


◎注1; 本作の影響力はホントに大きくて、日本の特撮の
神様と呼ばれる円谷英二、ウィリス・H・オブライエンの
唯一の弟子でストップモーション・アニメーションの巨匠
レイ・ハリーハウゼン、本作を9歳の時にテレビで観た事
で映画監督を志したピーター・ジャクソン等、人生が変
わっちゃった人も多数。関連作品も無数にあり、映像
ソフト化された事がない東映動画による幻のTVアニメ
・シリーズ「キングコング(1967)」なんてのもある。
日本未公開のストップモーション・アニメーション作品
「怪物の狂宴(1967)」にもコングらしきモノが登場するが、
中でも傑作なのはフォルクスワーゲンのCMで、エンパイア
・ステート・ビルの上で戦うコングが戦闘機を捕獲して
ビルを降り、駐車してあった巨大なフォルクスワーゲンの
トランクに戦闘機を納めて去って行くという場面が"カラー"
のストップモーション・アニメーションで描かれている。
本作はコンピューター着色によるカラー版もあって、冷や
やかに笑うしかない出来ではあるのだが、フェイ・レイの
肌が結構露出しているのがよく解る...初公開当時の観客は
モノクロでもかなりエロティックに感じたのではないだろ
うか。本作は公開後に、恐竜やコングが人をかじり殺すシ
ーン等が残酷だという指摘を受け該当シーンがカットされ
たのだが、カットした部分のネガが紛失してしまったため、
再公開やTV放映はすべて短縮版だった。1970年代になって
初公開時のプリントが発見され復元、その復元版の8mm
フィルムが発売されたので、どうしてもオリジナル版が
観たくて同じく発売されていたフォルクスワーゲンCMの
8mmフィルムとあわせてアメリカから取り寄せ、我が家の
スクリーンで観た時の感動が忘れられない。


 

キング・コング[DVD]

キング・コング[サウンドトラック 輸入盤CD]


PS: 以下のサイトも運営しています、よろしかったらどうぞ。


漫画を中心とした同人サイト
「日刊...かもしれないかわら版」
http://www.geocities.jp/saitohteruhiko/index.html


伝説の漫画誌「COM」についてのサイト
「ぐら・こん」ホームページ
http://www.geocities.jp/saitohteruhiko/home/gracom/g_home.html