福澤朗/辻よしなり | アナウンス研究コピペ保管庫

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福澤朗/辻よしなり

土曜の記事をUPした後にNHKを見ていたら
大変ショッキングなニュースが飛び込んできた。
「プロレスラー三沢光晴さんがリング上で事故死」
死因はバックドロップの打ち所が悪かったということのようだが
この一報を聞いて(私は熱心なプロレスファンではないが)
非常に考えさせられるものがあった。

思えば、私の世代(30代前半)が子供だった80年代は
サッカーのプロリーグがなかったので、子供がテレビで見る
スポーツといえば、主に”野球かプロレス”だった。(私個人は
相撲もよく見てましたが)。しかし90年代以降、Jリーグサッカーがはじまり
格闘技はK1や総合格闘技など新たな競技が登場、テレビで見られる
娯楽の数が増えた一方でプロレスは「子供に人気のスポーツ」としては
相対的に存在感を低下させていった背景がある。そんななか
スターレスラーも”高齢化”がすすみ三沢さんのような知名度のある
選手にかかる重圧は相当、大きかったと思う。他の格闘技との
競争のなかで、プロレスの真骨頂を見せるべく妥協を許さず
傷だらけの体に鞭打って若いときと同じように大きな技を「受け」つづける
過酷さは並々ならなかったはず。
素人目ながら相当無理を続けていたんじゃないかと思えた。

ところで今日は前に紹介した古舘伊知郎に続きプロレス実況で名を
あげた男子アナを二人特集します。
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058 福澤朗(フリー)

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元は役者志望だったが志半ばで断念。早稲田大学を2年留年し
88年に日テレに入社した。若手のころから日テレの伝統番組である
「全日本プロレス中継」を担当。「ファイヤー!!」「ジャストミ~ト!!」
など絶叫実況フレーズを考案し、インパクトのあるアナウンス芸で
お茶の間を魅了した。彼の芸風に関しては(私の周りでは)賛否両論
あったがこの極端なスタイルが彼の知名度をあげるきっかけになったのは
間違いない。90年代後半からはバラエティ、そして「ズームイン朝」
など、日テレを代表する数々の番組に出演。羽鳥慎一が登場するまで
日テレの大看板アナとして君臨し続けた。05年日テレを退社し、
フリーに。「バンキシャ」「ピンポン」(TBS)などのMCを務め
現在40代のアナのなかでは最も存在感のある司会者の一人である。

声質は高めで張りのある半スピント。名の通り「朗々と」響く美声の
持ち主。「絶叫芸」が持ち味という面では現在のTBS土井敏之
スタイルに割と近いものがある。長身でスラっとした印象だが、
かなり頭がデカくサイズは松井秀喜並みらしい。

一見「お調子モノ」風なので昔は彼のことを私はあまり好きでは
なかったのだが、カメラが向かないときの彼は非常に腰が低く
若い人を含めどんな人に対しても営業マンのような態度で接すると
聞いて好感を持つようになった。TBSの安住と同じくテレビの空気に
自分を押し殺してでも合わせてしまうマジメな人なのかもしれない。

今回の三沢さん死去の報に関して「バンキシャ」では
三沢さんの辿った足跡について淡々とナレーションしつつ、締めは
「公私ともに大変お世話になりました。ご冥福をお祈りします」
と手短にまとめた。簡潔ではあったものの、声色で福澤の気持ち
は視聴者に十分伝わったし、報道番組のMCの立場を意識した
見事なアナウンスだったと思う。
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059 辻よしなり(フリー)

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83年テレ朝入社。古舘伊知郎の後輩でこの人も「新日本プロレス」
の実況を若い頃から担当。古舘ほどの早口ではないが、辻の声は
ハスキーでありながら重厚感があり「~なのでありましょうか!!」
の抑揚や語尾の余韻が非常にカッコイイ。ただ、この声質は
報道には全く向かない面があったと思う(笑)

私は全日本よりも新日本プロレスのほうをよく見ていたので
小学生のころから辻のアナウンスは聴いていた。また、90年代中旬
に東京ドームのプロ野球のイベントで彼を直接見たことがある。

00年にテレ朝を退社。フリーに。私が印象深いのは04年から2年間
テレ東の「朝は楽しく」MCを務めていたこと。
森本智子、前田真理子、松丸友紀、大江麻理子、大橋未歩、倉野麻里
といったテレ東のオールスター・フルメンバーと日替わりでタッグを
組んでいた。先述したように辻は声質が太いので威圧感はあったが、
テレ東のメンバーはアナウンスに関しては辣腕揃いなので当たり負けしない。
個人的には格調の高い番組だったと今でも思う。特に前田真理子
辻の相性は非常によかった。
前田真理子といえば誰と組んでも何となくしっくりこない個性派
(キャラも声も強い)だが、辻だけは前田の扱い方を完璧に心得ていた。

サザンの桑田佳祐と仲がいいらしいが、辻と桑田は実は声質が近い
と思う。桑田の魅力は、演歌風のメリスマでロックを歌うところにあるが
(彼は歌謡曲も作れるスゴイ男だ)、辻があの声でサザンを歌えば
かなり上手いんじゃないかと想像する。
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三沢光晴さんのご冥福をお祈りします。