古舘伊知郎 | アナウンス研究コピペ保管庫

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古舘伊知郎

日本を代表するニュースショー「報道ステーション」の
メインキャスターにして、河野明子、武内絵美、宇賀なつみ
といったテレ朝の銘柄級アナの束ね役、古舘伊知郎について
今日は特集する。
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057 古舘伊知郎(フリー)

アナウンス研究コピペ保管庫-furutachi

77年テレビ朝日入社。新人のときから新日本プロレスの実況
を担当。私の幼いころの新日本プロレスといえば
「猪木」「坂口」「藤波」「長州」「タイガーマスク」あたりが瞬時に
連想されるが、彼らの試合は古舘(と山本小鉄)の実況&解説なし
では成り立たない。アナウンス史上最も多くの修飾語句を
製造・使用した創造力の高さと、確かな反射神経で、お茶の間の
プロレスファン、そして私を含めた現在の30~40歳あたりの
世代の男の子たちを魅了した。

84年にテレ朝を退社後、フリーに。「夜のヒットスタジオ」
「F1中継」「競輪中継」そしてなんと「紅白歌合戦」司会を担当
するなど分野を選ばない、まさに”何でもできる”器用ぶりで
縦横無尽の活躍を見せた。04年4月からは久米宏の後を受け、
日本の世論に多大な影響を与えるといわれる民放を代表する
ニュース番組「報道ステーション」のメインキャスターに就任。
現在は担当開始から6年目に入っている。

NHKのニュース番組とは違い、同番組はキャスターが私情を
コメントすることが多いのだが、基本的に私は(以前も述べたが)
報道番組はニュースを扱う順番、選択の仕方が編集者の
意図や主張を暗に含んでいるものだから、それに追い打ちをかける
ようにキャスターのコメントを入れる必要はないという考えを
もっている。

前任者の久米宏が私はあまり好きでなかったのは、あのペテン師
のような口調でサラリと論点を移動したり、表現の巧みさで
問題の肝が見えにくくなるような言い方をして、中途半端な
理解のまま視聴者をどこかの方向へと誘導しているように私は
思えていたから。

しかし古舘の場合はプロレスのときのような修辞の巧みさは封印し
自分の心の底にある本来の言葉で素直に表現しようという意志が
感じられてなんとなく見ていて安心感がある。

これは久米と古舘の言ってる内容がどちらが正しいかとか、
教養があるかという話ではなくて、信用の問題。
NHKディレクター出身の池田信夫(肩書きは経済の専門家)に
よればニュースショーは編集部の主張がコメント全てに反映されてて
「キャスターは演技しているだけ」ということだが、NHKと民放は
おそらく番組の作り方が少し違うだろう。久米と古舘では似た部分も
ないわけではないが、久米の場合は何か自分は全て答えを知っているかの
ような言い方をしつつ問題の所在をはぐらかそうとしたりするところが
あったと思う。しかし古舘の場合は、
「自分が正しいとは限らないけど、私個人はこう思う」
といった素朴で押し付けがましさがなく、真面目に向き合ってる所が好き。

私はそれほどプロレスファンではないが、プロレスのいい所は
「プロレスはスポーツであり、芸能(演劇)であり、喧嘩でもある」
という相対的な楽しみ方があるところだと思う。
プロレスラーが「お前を殺してやる!」と対戦相手に言っても
ほとんどのファンは誰も本気で殺意の露出だとは思わないが、
中には本気でそう思うファンがいてもいい自由さがある。
プロレスは試合結果そのものには重要な意義がなく、試合の進行過程
のなかでファンが楽しみ方をそれぞれ決めていいところが良い。
古舘の仕事の原点はプロレスなので、プロレスが持つ柔軟さ、相対性
がなんとなく彼のスタイルに反映されているような気がしてならない。
(そんな単純な話ではないかもしれませんが^^;)

その他の仕事に関して。F1中継は私は見なかったが、彼の
競輪実況は磯一郎(競輪実況の第一人者)のような専門性を感じ
させるものではなかったものの、プロレス実況で慣らした反射神経
はさすがなもので、そのアナウンス芸は「見事」としか言いようが
なかった。(競輪は瞬間的な展開の変化が目まぐるしいので
普通のプロのスポーツアナでも相当難しいと思う)。

あと個人的に思うのは、彼はニュースの題材になる
”ちょっと変わった人””間違いを犯しちゃった人”なんかに対する
心情理解が深いというか、他の番組のキャスターに比べて視野が
広く、柔らかい感じがしてしまう。ニュースキャスターとしてこれが
良いことなのかどうなのか、私には判定できないが、
普段NHK、tvkしか見ない私が、久米宏のときは避けていたテレ朝に
チャンネルを違和感なく合わせられるのは古舘の人間としての魅力
あってこそだというのは(自分のなかでは)確かだ。

ではアナウンス(読み)について。滑舌派か美声派かといえば
古舘は後者だという気がする。ハキハキと切れがいいタイプでは
なくて、柔らか味のある低音が魅力の人だという気がする。
(リリコといってもいいかな)。ただテンポを相当速めて
しゃべっても聴き取りにくさは全くないので、想像以上に滑舌は
相当いいのかもしれない。

見た目は54歳の割には若いと思う。久米も若かったがある時期を
境に急に老けた感がある。古舘は還暦まではこの番組を続けても
いいのではないか。また古舘を継げそうな後継者は今の所見当たら
ない。
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数時間前「報道ステーション」で作詞家の石本美由起さんの訃報を
古舘が伝えていましたが、最近、遠藤実さん、三木たかしさんと
歌謡界の重鎮の訃報が続いてますね。皆さん年齢的に若くないと
いうこと、つまり昭和歌謡というのは昔の話になっちゃってるってことですね。

今日の”youtubeより”は石本美由起さん作詞の「さだめ川」で。
ちあきなおみの歌ですが、今日は鄧麗君=テレサテン版
(日本語歌唱)にします。