八木亜希子/河野景子/有賀さつき | アナウンス研究コピペ保管庫

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八木亜希子/河野景子/有賀さつき

yagikouari

今年のプロ野球は見事に渡辺久信監督率いる埼玉西武ライオンズが
戦力的には優位とされていた読売巨人を倒し、日本一に輝いたが、
私の世代、80年代後半に少年時代をすごした者にとって
西武ライオンズといえば「常勝」「最強」球団だったという印象が非常に
強い。秋山、清原、デストラーデを主軸とし、辻・平野・石毛らを擁する
打線はノンストップで攻撃の手を緩めないエレガントな打線だったし
なんといっても、現在監督の渡辺久信、工藤公康(まだ現役なのが凄い)
郭泰源の3本柱は日本プロ野球史に残る先発陣だったと思う。

その西武が最強だった時期に3人の若い女性アナウンサーが
ライオンズさながらにテレビ界を席巻したことを覚えている方は読者の
皆さんのなかにも多いだろう。フジテレビに88年に入社した
八木亜希子、河野景子、有賀さつきの3人である(※)。21世紀の今は
女子アナというと女性の花形職業だという認識が当たり前になっていて
毎年多くの女子大生が局アナの採用試験に挑戦するのが常だが
そういった女子アナの地位向上に寄与したのが80年代後半から90年代
に活躍したフジテレビのアナウンス陣であり特に上記3名が果たした役割は
非常に大きい。私は当時は今ほど女子アナに興味がなかったがそれでも
八木・河野・有賀の3名が常勝西武ライオンズのナインさながらの存在感、
知名度でテレビで華々しく活躍してきたことは強く思い出される。
順に紹介する。

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八木亜希子(画像左)

3名のなかで初めは最も地味な感じに見えたがトータルで見れば3人
はおろかフジアナ史上、最も同局に貢献した人であり、テレビの露出が
減った今でもその存在の大きさは依然として変わらず。パッと見、
清楚な顔立ちだが口許が妙に艶かしく、やや粘りのあるリリコ・スピント
に近い美声で唸らせる実力・容姿・キャラクター三拍子そろった逸材だった。
頭の回転もよく、めざましテレビからバラエティ、深夜番組に至るまで
あらゆる分野で縦横無尽の活躍。基本的に上品で育ちは良さそうな人だが
芸人や在野文化人等どんな共演者にもしっかりトークを合わせて、番組を
淀みなく進行させる能力に優れていた。今でいうと高島彩もどちらかというと
そういうタイプだが、八木は高島ほどピリピリとしたクールな感じではなく
おっとりした癒し系の物腰と確かな美声を持っており、また教養や渋さを
感じさせる面もある。フジアナとしてこれ以上の完璧な資質を備えたアナ
は他にいないと私は見ているし、90年代のフジテレビはこの人抜きには
成立しないといっても過言ではない気がする。
現在はフォニックス(セントフォース・共同テレビが共同で設立した新会社)
に所属。最近は原稿を読むような仕事は少ないが彼女が業界に与える
インパクトはいまだ強い。

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河野景子(画像中)

八木・有賀より年齢が一つ上なのは高校時代に米国に留学したから。
自分の意志で何でもバリバリと挑戦する人で留学も自分から親を説得して
実現したという(と記憶している)。女子アナ史に残る高貴な美貌で知られ
いやらしさを感じさせない神々しいルックスにファンの多くは畏敬の念すら
覚えたものである。(八木がどちらかというと庶民的な風貌なのに対し
河野は王族のお姫様のような雰囲気)。声質は八木より粘り気がなく
トーンは低め。バラエティでも活躍したが、昼のニュース「FNNスピーク」
では確かな滑舌で華麗な原稿読みを披露していた。
94年にフジテレビを退社後、フリーアナとして日テレなどで活動していたが
96年に平成の大横綱・貴乃花と結婚。8歳下の当時昇り調子の
貴乃花のハートを見事に掴むことができたのは河野ならではの積極性と
並外れた気合がモノをいったと私は予想する。今の貴乃花部屋は角界に
ドラスティックな変革を求めるべく奇抜なアイディアを提供することで
知られるがこれも女将さんである才媛・河野の入れ知恵があるのでは
ないかと私は推察している。

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有賀さつき(画像右)

3人の中では最もアイドル性に特化したタイプで、長身とパッチリオメメで
多くのファンを獲得した人気アナウンサー。今でいうと「世界一かわいい」
テレ東の松丸友紀の身体を大きくした感じだが、有賀は松丸のように
仕草や話し方で笑わせるようなタイプではない。声質は、ややか細くて
八木や河野に比べてあまり力強さを感じさせないところもあるが、滑舌は
割としっかりしていて聴きづらくはなかった印象。タレント的な仕事が
他のアナに比べて多いこともあってか、92年に早々と局を退社。
テレビのみならず執筆や翻訳に挑戦するなど多岐にわたる活動を現在に
いたるまで続けている。見た目はアイドルタイプだが、性格的には
「新人類(←筑紫哲也が考えた言葉だったような)」で、世間の常識
にあまりとらわれない人だと思う。ただ有賀は河野や八木ほど気が強くない
ところがあるようで不倫騒動を起こしたり、結婚してすぐ離婚するなど
情緒があまり安定しない所がある。色んな面で方向性に迷っている人
だと私は見るが、今は娘さんの養育のためにガムシャラに仕事に向き合って
いてアナヲタの私としても彼女の活躍を応援したいと思っている。

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フジテレビ伝説の深夜番組「カノッサの屈辱」(玩具・食品・アイドルなど
のサブカル史を、学校で勉強する歴史(正史)上の事件・人物に
喩えて面白おかしくコメディ化したお笑い番組)における「アナウンサー史」
の回で八木・河野・有賀の3名は「黄金の3人官女」と呼ばれていた。
この三名は揃って著書も出しており、その人気はアナウンサーの枠を越えた
社会現象といえるレベルまで到達した感があった。

ただ、この「3人官女」と前に紹介した日テレの「DORA」も含めて当時の女子アナ
の活躍がたいへん華々しかった一方、アナウンサーという仕事が
一体何を指すのかが、彼女達のおかげで曖昧になってしまったという面もある
と思う。「女子アナ=局専属タレント」だと揶揄されるようになるきっかけを作った
のが彼女たちだという指摘である。(90年代前半にバブルが崩壊し、テレビ局
もタレントにコストをかけられず女子アナをタレント化せざるをえない懐事情が
あったという見方もある)。
もちろん、派手に活躍する彼女達の裏で、地味な仕事を続けてきた女子アナも
多数存在したのは確かだが、一部のアイドルアナが世間の女子アナの軽薄な
イメージを確立してしまった面は否定できないと思う。(実際は3人官女も
DORAもそれほど軽薄な人たちではなかったが)。

私個人は「女子アナウォッチ」という新ジャンルのホビーを創ってくれた、
そういうきっかけを作ってくれたという意味で、彼女たちの当時の活躍について
は肯定的に見ている。彼女達がいなければ、私も女子アナに注目するきっかけを
つかめなかった可能性もあったからである。

(※)八木・河野・有賀を、渡辺久・工藤・郭に喩えるとするなら
現在のNHK守本・井上・久保田はマダックス・グラビン・スモルツである。