■アメリカ,家族のいる風景 | ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY

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■Don't come knocking
アメリカ,家族のいる風景

●2005年、昨年のカンヌ映画祭で既に上映された映画がヴィム・ヴェンダースの「Don't come knocking」ドント・カム・ノッキング。

その後なかなか正式なTrailerがアップされなかった。既にご覧になった業界筋の方もおいでかと思うのだが、我は未見のままにアップしてしまう。見たいのだもの、これ。いつもの通りに参ります。
で、ぎょえ~~邦題決まって、もう公開なのか?!知らなかった。ア、ア、アメリカ…か、か、家族のいる風景、なんですと。原案はサム・シェパードとヴァンダースにより、サム・シェパードが脚本を手がけた一作




ヴェンダースの映画の中で最も印象的だったのは「ことの次第」と「パリ、テキサス」だった。その一本「パリ・テキサス」…あの映画の冒頭、ハリー扮する妻のいなくなったうらぶれた男、荒野に一人。遠くを見やるような…視線。ポツンと立っていた姿、そこでいきなり涙した記憶がある。「ガープの世界」も冒頭からいきなりどっときたものだった。何故なのか、理由無き涙は後を引く、から困るのだが、そーゆー風に見る者をいきなり画面に引きずりこんで困らせる映画、は忘れられない。

映画「Don't come knocking」ドント・カム・ノッキングは、「パリ、テキサス」のコンビだ…サム&ヴィム。
で、ヴィム・ヴェンダースの映画はいろいろ見る機会はあったものの、いまだに印象深い映画はと尋ねられれば「パリ、テキサス」に戻ってしまうのかな、と。だから、気になる本作だ。

「Don't come knocking」、九州のある方言なら「こんちゃよかッ」(来ないで、くるなッ)、こーゆー意味合いの題名と受け取っていた。つまりそこに来る、来ようとしている奴がいて、来なくてもいいと拒否されている…がその拒否には訳がある。会いたくないには理由がある。会いたかった理由もある、のだと。







物語の主人公は、人気も衰退、忘れ去られようとしている西部劇俳優ハワード・スペンス。彼はある日、撮影現場から逃げ出してしまう。どこへ向かうのか、西部劇出演時の格好のままに馬を走らせるのだという。向かう先は、母親の元。それも30年もの間、会っていなかった母と息子。彼は若い頃にそこを飛び出し、歳月が流れていた。

母親はある事を息子に告げる。何も知らないままに一人気侭に暮らしていた時間、その間に彼に関わった人間の暮らしも刻まれていたのだ。
家族があっても、一人ずつが生きている。しかし、その一人が周囲に何らかの関わりあいをもたらしている…。関係は途切れてしまっていても、もしかしたら知らず知らずの内に、途方も無い程の傷跡や、ささやかな喜びを遺しているのかもしれない。本当に、我の一生も頼りない、なー。






男は過去の出来事に向かい合おうとするのかもしれない。それぞれの思いは変貌しているだろう。家族という絆の元に、確認しあって築き上げていく関係が皆無だった時、歳月の果てにはどんな笑みが待っているというのだろうか。

男が辿りつく所はどこにあるのか。来ない奴を待った日々を超えて、どこかのある日から葬り去った奴に辿りつかれた女は、困るだけではないの、だよね、きっと。嬉しいだけでもない、混乱もあるだろーさ。






サム・シェパードのスチールに少しだけジョン・ウェインを思い出したりする。アメリカの置き去りにされつつある古さや保守的な男の様子が重ねられているのか。がたいのいい、サムを振り返れば、ディランを追っていた時代もある。チェルシー・ホテルにもいた、かな。熱い思いのまんまにいつだってサムを見続けている者たちがアメリカに、どれだけいるのだろうか。

新たに見事な「キング・コング」が上映された。思い出すのは、やはりジェシカ・ラングだった。後味の悪さを残しながらも、その映画を踏み台にして飛躍的に女優として輝いたのが彼女だった。で、サムと共に暮らし始めて、何年になったか…。本作で若き日の写真が登場したとしても合成は必要なかった。サムとジェシカには実生活を重ねた歳月があり、その2人がプロの仕事をこなして見せてくれている、と思っている。






そーいえば、ドーンの曲に邦題「ノックは3回」という歌があった。軽快なテンポ、リズムのポップソング。で、ドーンは「幸せの黄色いリボン」もヒットさせたデスね。ジョン・ウェインと高倉健、かぁ…。ちょっと力量が違ったデスね(ペコリ)。ちなみに本作の音楽は、T=ボーン・バーネット

さ、キャストでは印象的な役割を持ったティム・ロス、ガブリエル・マン、サラ・ポーリー、フェアルーザ・バーク、エヴァ・マリー・セイント等…皆、いいんじゃないか、な。
この映画見て、わっかんない~つまんない~って人がいたとしてもいい、見るさ我は。ただネ、日本の予告はちょっと避けて通ろう。こんな予告を作らねばならぬよーにしたのは、我等観客なのか、結論出ぬままに、もぉ~~~怒っちゃうぞぉ。品の欠片もない、ね。






ある日のアメリカの出来事。アメリカのある人の出来事を、なんだか埃っぽい時間を背景に鮮やかな映像で届けられるような気がするヴェンダースとサム・シェパードの「Don't come knocking」ドント・カム・ノッキング。邦題、アメリカ、家族のいる風景。おいおい、線路歩いている…ちょっとおろおろするぞ。
で、家族というのは、何だろうネ。(2005年/製作国ドイツ、アメリカ/アメリカ公開2006年3月6日/日本公開2006年2月18日なんだってネ)



▲Trailer


▲Trailer


▲Trailer


▲Official site


▲Official site


▲Official site
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。


●Directer:Wim Wenders ヴィム・ヴェンダース 
●Screenwriter:Sam Shepard サム・シェパード
●Cast:Sam Shepard サム・シェパード Jessica Lange ジェシカ・ラング Tim Roth ティム・ロス Gabriel Mann ガブリエル・マン Sarah Polley サラ・ポーリー Fairuza Balk フェアルーザ・バークEva Marie Saint エヴァ・マリー・セイント

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