■The Gospel ゴスペル | ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY

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■The Gospel

●映画「The Gospel」の様子はどうだ。スチールを見ただけでゴスペル・ファンにはたまらない面子がよくもまあ揃ったものだと嬉しくなるのではないか。ブラックを主体にした映画の公開は少ない。ラテン系にしてもそうなのだが、巧い俳優はわんさかいる。しかしながら、どーしてもハリウッド主流の映画では、キャスティングの確率から外れてしまう。また、出演が決まっても、なんだか陰がありそーだったり、用心棒やら売人やら…もまだまだ多いのは否めない。巧いアフリカン・アメリカンの俳優を捜すには、映画によっては僅かに脇にいた、という辺りでチェックするしかない、のだ。
しかし、久々にヒットを飛ばした「レイ」がある。あの映画で、随分と巧い俳優にめぐり合う事が出来た。今回も音楽が背景に大きく広がっている。そう!これは「ゴスペル」を主体に持ってきた映画。



ズラリとキャスティングされたアフリカ系アメリカ人による見事な俳優達とゴスペル・シンガーがここに揃った。大挙して圧巻!それはそうだ、これは演じる側、出演する者達、作り上げる製作人達に相当な覚悟を強いた映画のはずだ。でなければ、意味を成さない。彼らの生死に関わる一等大事な拠り所でもあるのが「ゴスぺル」ではないか。

  



何故、ソウルシンガーの歌に惹かれるのか。ヒップホップの勢いに乗せられるのか。
コール&レスポンス。教会に集まった人々の魂を救うべく、牧師や聖歌隊は人々がポジティブな一歩を踏み出せるように背中を押す。奮い立たせるために問いかけを連呼し、徐々に熱のこもった応答が繰り返される。コール&レスポンス。壇上から人々が抱え込んだ曇りを一掃するために全力を振絞り、日常の感情レベルを吹き飛ばす。人々の気持ちを鷲掴みにして、揺さぶりをかける。教会の四方八方、最前列から最後列に座った者たちの最大級の歓喜を促し、圧倒的な威力で人の魂の渇きを癒していく。コール&レスポンス。教会の中にこだまする今の憤り、今の救い、今の慰め、今の奮起。

  



映画「ゴスペル」がどういう経緯で製作され、完成したのかを知りたいと思う。
映画「ゴスペル」は、実際の教会の内部の様子を見せてくれる。ここに集う人々のリアルな現状を描き出している、のではないか。映画「ゴスペル」の根底にあるテーマは、「Prodigal Son」という聖書の話を監督ロブ・ハーディの解釈により脚色された物語を下敷きにしている模様。
ここには、若者が自らの人生に賭ける何らかのものを見つけるために、父の元を去る、という物語が描かれているようだ。
ローリング・ストーンズ等、ミュージシャンにも多く取り上げられた題材、ルカによる福音書15章11節~32節に「Prodigal Son=放蕩息子」に関する件がある。クリスチャンであれば、知ったことなのだろうが、イエスのたとえ話だ。ここで言う「放蕩息子」とは、単純に飲む打つ食う…その他諸々の放蕩の限りを尽くす息子の話ではない。家族をおいて、家を出て行った息子は遊び呆けた時もある。しかし、生きていくには食べなければならない。食べる為には働かなければならない。生きるための苦労を経験し、人の下で労働し、やがて認められ、引き上げられる時に悟った息子(人)の行方の話。再び良い心がけの人間となって戻ってくる息子、人の話だ。放蕩を尽くしたけれども、それゆえに、善き人生に目覚め、生きて戻ってくる人がいたのなら大いに祝福を与えようではないか、という説話なのだが、このイエスの例えを背景にした息子と父の物語が下敷きになっている。現代社会のどこかに共通する一般的な若者とその親達、家族の問題を描きながら、罪を問い、許しを乞い、生きる道標を探求する…。
そのために「ゴスペル」が存在している、のだと思えるのだが、どうなのか。



その若者に扮するのが、サナ・レイサンとテイ・ディグスを主演、モス・デフまで出しながら不発に終わったブラック・ロマンティック・コメディ「ブラウン・シュガー」で、サナ演じる主人公に恋するバスケット選手だったボリス・コドジョー。いい奴を演じていたのに映画が巧くなかったので残念だった。それがココでは大違いだ。彼が扮する若者は、父との熱い論争を後、紆余曲折あって、彼に相応しい場所を見出すことになる。それが教会。彼は、ゴスペルシンガーとして、才能ある声に恵まれた青年として、この映画の中でいっそう輝くのだという。こんな役を待っていたんだ。



既にグラミー等のポピュラーなステージでも馴染みの巨匠カーク・フランクリンが、この映画のために素晴らしい楽曲をサポート。ロブ・ハーディの描き出す物語をサポートしたのは、エグゼクティヴプロデューサーのホリー・デービス・カーターとフレッド・ハモンド。
今日の最も説得力のあるゴスペル界のスター、ドニー・マクラーキンにヘゼキア・ウォーカーの組み合わせの妙。ヨランダ・アダムスの迫力あるステージング。ゴスペル界で認められる数少ないホワイトのゴスペルシンガーであるマーサ・ムニッジ(?)等。
さらに、ここには突出した存在感のある人物、ドロレス“ママ”ワイナンズが登場して、音楽面のみならず、物語の伝えるべきメッセージを支えているのも重要な要素のようだ。
ちなみにヨランダの1988年のデビューアルバムは、世俗的な音楽をやっているという理由でキリスト教のコミュニティーで批判されたものだった。無論、その後、彼女に関する評価はご存知の通り。世界中のゴスペルファンを魅了するに至っている。
そういった面々が集った。何よりも前述の通り、ゴスペル界のスターが、この草分け的な映画になるだろうという予感か、皆が参加。それでこの驚異ともいうべきラインナップだ。いかにも現代的なゴスペル音楽界のスター・シンガーとハリウッドで活躍している俳優達が集い、スピリチュアルな場面を満載にした模様。


  



監督・脚本のロブ・ハーディは、インディペンデント映画「チョコレート・シティ」で監督デビュー。2000年に「Trois」。2002年に監督した「Pandora's Box」は、アメリカのブラック・フィルム・フェスティヴァルで、モニカ・カルフーンに主演女優賞をもたらした。2003年に、彼は「Motive」で人気俳優ヴィヴィカ・J.フォックスとシーマー・ムーアを主演にリリース。そして、今回の「ゴスぺル」。

彼は語った。
「カーク・フランクリン、ドニー・マクラーキンとヨランダ・アダムズのようなゴスペル界大物と俳優達がタッグを組んだんだ。超ヘビー級の物語になった。皆が脚本を読んで、本物の感じがするという感触を持ってくれたので、今回の驚くべきキャストが実現したのだと思う。映画が出来上がる以前に、出演してくれた彼らに信頼された事が何よりも嬉しかった。」




常に刺激的で話題の人物レス・ブラウンは「私は、それがものすごい映画であると思った!」
エボニー・マガジンのシャーリー・ヘンダーソンは「私はこの映画は、良い筋書きを根底に持った物語であると思った。クリフトン・パウエルのような俳優が、目の前のスクリーンでポジティブで主役級の重要な役割を演じているのを見るのは印象的だった。それに、ボリスの演じる役柄の性格がとてもよく反映された映画になっていたと思っている。」と語った。

サウンド・トラック・ミュージック・ビデオの予定があるというが、サウンドトラックは、9月6日にVerity Recordsでリリース。シングルは、ヨランダ・アダムズの「ヴィクトリー」。じわじわっときそうな気配だ。(2005年/製作国アメリカ/アメリカ公開2005年10月7日/日本公開未定)



▲Trailer


▲Clip "I Got The Victory"


▲Clip "We Worship You"


▲Clip "My Father's Church"


▲Clip "Martha Munizzi"


▲Clip "Put Your Hands Together"


▲Official site
オフィシャルでもTRAILERはご覧になれます。


●Directer&Screenwriter:Rob Hardy ロブ・ハーディbr> ●Cast:Clifton Powell クリフトン・パウエル Yolanda Adams ヨランダ・アダムス Dwayne Boyd ドゥエイン・ボイド Idris Elba アドリス・エルバ Frank Taylor フランク・テイラー Nona Gaye ノーナ・ゲイ Omar Gooding オマー・グッディング(キューバの弟だ) Tamyra Gray タミラ・グレイ Fred Hammond フレッド・ハモンド Keshia Knight Pulliam ケシア・ナイト・プリアム Boris Kodjoe ボリス・コドジョー Donnie McClurkin ドニー・マクラーキン Martha Munizzi Michael J. Pagan マイケル・J・ペイガン John Fitzgerald Page ジョン・フィッツジェラルド・ペイジ Brandon Thaxton ブランドン・ザクストン Hezekiah Walker ヘゼキア・ウォーカー Delores Winans ドロレス・ワイナンズ Aloma Wright ロマ・ライト

Various Artists
The Gospel Soundtrack