■コミックから映画へ バットマン~シン・シティ フランク・ミラー
●今年は、例年以上にコミックの映画化が多い年だが、その内容の素晴らしさに目が離せない。『バットマン ビギンズ』は、クリスチャン・ベイルをバットマンに迎え、徐々にそのヴィジュアル・イメージが明らかにされるに従い、コミック世界で闇の部分を引き摺ったヒーロー像として浮上したフランク・ミラーによる『バットマン』のイメージを随所に目指した趣向が伺える。
このワーナー映画シリーズの初代監督ティム・バートンも、ある部分、きっと目指したと思われるフランク・ミラーの描いたダークなヒーロー像が、今回、あらためて描かれたのか、と期待は高まる。
あのTRAILER、ポスター、写真等を見れば、クリスチャン・ベイル扮するバッドマンが、自らの境遇に打ちひしがれ、悩み、闇の世界を背景に、社会の全てに闘いを挑む予感が既に伝わってくるではないか。
内部に屈折を抱く変人、ある種奇人とも考えられるヒーロー像の設定は、フランク・ミラーが『バッドマン』を描く以前にはなかったもの、と言われている。ティム・バートンの『バットマン』ファンがいまだに熱いのも、映画が熱狂的に受け入れられたのも、ミラーの作品があるからだ、というのは言い過ぎではないだろう。
フランク・ミラー。機会があれば、彼が描いたコミック『バットマン ダークナイト・リターンズ』をご覧いただきたい。実は、この『バットマン ダークナイト・リターンズ』におけるバッドマン扮する主人公ブルース・ウェインは、55歳。ウェインは、一時引退したものの、ある事情から再び闘いの場に向かう、という悲壮感漂う物語。嘲笑い、批難罵倒が浴びせ掛けられるバットマン!想像するだけでも切ない。闇に向かい壮絶な闘いを挑む孤高のヒーロー。55歳。フランク・ミラーという作家の類い稀なるイマジネーションと革新的な創作活動には、感嘆するしかないが、その彼の代表作『バットマン ダークナイト・リターンズ』と対になる『バットマン イヤー・ワン』が、今回の映画『バッドマン ビギンズ』の下書きになったという。(写真上記:コミック「Batman Dark Knight」「Batman Year One」)
『バットマン』が世に誕生したのは、1939年。DCコミックスに初登場。初の映画化『バットマン』はその4年後、1943年。以降、『バットマン』は『スーパーマン』同様に、ラジオ、テレビ、コミック、フィギュア等でも馴染み深いポピュラーな存在となった。それが、1986年にフランク・ミラーが『ダークナイト・リターンズ』を発行。コミック界にセンセーショナルな話題をもたらし、その創造世界に一石を投じた。翌1987年に『イヤー・ワン』発行。ティム・バートンの『バットマン』は、その2年後、1989年制作となる。
≪映画・BATMAN≫
1989年
『BATMAN』バットマン
●Directer:Tim Burton ティム・バートン
●Screenwriter:Sam Hamm サム・ハム
Warren Skaaren ウォーレン・スカーレン
●Bruce Wayne/Batman:Michael Keaton マイケル・キートン
1992年
『BATMAN RETURNS』バットマン リターンズ
●Directer:Tim Burton ティム・バートン
●Screenwriter:Daniel Waters ダニエル・ウォーターズ
●Bruce Wayne/Batman:Michael Keaton マイケル・キートン
1995年
『BATMAN FOREVER』バットマン・フォーエヴァー
●Directer:Joel Schumacher ジョエル・シューマカー
●Screenwriter:Akiva Goldsman アキヴァ・ゴールズマン
Lee Batchler リー・バチェラー
Janet Scott Batchler ジャネット・スコット・バチェラー
●Bruce Wayne/Batman:Val Kilmer ヴァル・キルマー
1997年
『BATMAN & ROBIN』バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲
●Directer:Joel Schumacher ジョエル・シューマカー
●Screenwriter:Akiva Goldsman アキヴァ・ゴールズマン
●Bruce Wayne/Batman:George Clooney ジョージ・クルーニー
2005年
『Batman Begins』バットマン ビギンズ
●Directer:Christopher Nolan クリストファー・ノーラン
●Screenwriter:Christopher Nolan クリストファー・ノーラン
David S. Goyer デヴィッド・S・ゴイヤー
●Bruce Wayne/Batman:Christian Bale クリスチャン・ベイル
さて、その『バットマン ビギンズ』公開を前に、アメリカでは先に封切られるのが『シン・シティ』。
これまた、フランク・ミラーによる圧倒的な人気を誇るグラフィック・ノベライズのシリーズ物。
誰もが映画化を臨み、ミラー自身も映画化を望んでいたようだが実写の可能性は半ば諦め、アニメでの効果に期待を寄せていたという。その作品が今回、映画監督ロバート・ロドリゲスのミラー作品に対する深い読解力、理解力が極めて抜きん出ていたのか、ミラーが映画化のGOサインを出した。但し、彼の作品の持つ世界観が崩壊してはならぬ。また、これまでミラーを支持してきたファンに対する責任の取り方であろうが、ロドリゲスとミラーの共同監督という手法で陽の目を見ることになった。
フランク・ミラーの映画参加は、『シン・シティ』が初ではない。映画『デアデビル』のカメオ出演や、『ロボコップ2』『ロボコップ3』の脚本参加。また『ロボコップ2』では、科学者役でも出演。
しかし、どうやら不満だった様子。特に『ロボコップ2』における脚本、といっても書いた物は、他の者が手を加えて、徐々に原型をとどめることなく、出来上がった映画を彼自身が見ても理解不能だった、という。
●Frank Miller フランク・ミラー
1957年1月27日生れ、メリーランド州出身
映画関連では『エレクトラ』(キャラクター)、『デアデビル』(原案)、 『ロボコップ2』原案,脚本、『ロボコップ3』脚本を手掛ける。
過去のインタビュー等をチェックすると、ミッキー・スピレーン、レイモンド・チャンドラー、ダシール・ハメット等、すこぶる格好の良いハードボイルド作家にインスピレーションを得たと発言している。なるほど。
12月21日に簡単な情報をアップしています。
SIN CITY PANEL(July.28.2004)
Robert Rodriguez (co-director)Frank Miller (co-director)
Jessica Alba Rosario Dawson Jaime King
to be continues。。。といっても下にいくだけなんだけどね。
- 著者: フランク・ミラー, トッド・マクファーレン
- タイトル: SPAWN/BATMAN 日本語版
- 著者: フランク・ミラー
- タイトル: バットマン:ダークナイト・リターンズ
- 著者: Frank Miller, Klaus Janson, Lynn Varley, John Costanza, Bob Kane
- タイトル: Batman: The Dark Knight Returns (Batman (DC Comics Hardcover))
- 著者: NoData
- タイトル: CD-ROM SIN CITY MAGAZINE
- 著者: NoData
- タイトル: Sin City [PP-30312] [ポスター]
- 著者: NoData
- タイトル: Sin City [PP-30314] [ポスター]
- 著者: NoData
- タイトル: Sin City [PP-30311] [ポスター]
- 著者: Frank Miller, Jerry Prosser
- タイトル: A Dame to Kill for (Sin City)
- 著者: Frank Miller
- タイトル: A Sin City Love Story 1. Hell and Back.
- アーティスト: Michael James / Fugler, Jonathan Howard / Tournie Bryant, Silvestre Revueltas, Robert / Debney, John / Revell, Graeme Rodriguez, Bruce Babcock, Eduardo Mata, Rafael Gayol, Fluke, Mark Del Castillo, Hollywood Studio Symphony, The New Philharmonic Orchestra
- タイトル: Sin City [Original Motion Picture Soundtrack]
- アーティスト: Robert/John... Rodriguez
- タイトル: Sin City