海賊の掟 (新潮新書)/山田 吉彦 | 文藝PIERROT

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海賊の掟 (新潮新書)/山田 吉彦

ソマリアの海賊から、藤原純友まで。古今東西の海賊の全てを網羅した、海賊学入門書。
現代海賊事情に詳しい山田吉彦氏による、海賊とはなんだが詰め込まれている。

ワンピースの人気白熱によって、「海賊=夢を追い求める冒険者」のイメージが強い。
確かに、そんな海賊もいた。だが、大抵は、食うに困って奪うことしか選べなかった人々なのだ。

泥棒するのが悪いっちゅうんは、金持ちの理屈。
こまねずみ常次朗か、なにわ金融道にそんな言葉が出来てたが、つまりはそういうことなのだ。
喰うためには稼がねばならぬ。稼ぐ手段がそれしか残されていなかったから、海賊は海賊となったのだ、と。

藤原純友の元に集まっていた海賊らは、職を与えられることで海賊を辞めた。
荒くれた仕事よりも、安定した仕事を欲していたのだ。

だからといって、海賊を容認してはならない。悪は悪なのだ。
海賊によっては奴隷として働かせ、その人生すらも奪い取る悪逆の徒も存在する。
ならず者を認めてしまえば、苦しめられるのはこちらなのである。

海賊ってなんだろう。海賊ってなあに。
そんな方にとって本書はは一読の価値ありだ。