最近すまいる三歳は
いろいろなものを連結させて電車をつくる。

座布団とか、そこらに散らかっている服とか、
ご飯のときの食器とか。

食器すまいる号はちょっとやっかいだ。
机の上の全員の、食べているお椀までも連結させられる。

食べようと食器を動かすと「だめ!」。

ようやく食べて、食器をもどそうとするとまたチェック。

「ちゃんと連結させて。」

これはある日のおもちゃすまいる号。
$はっさくな日々。

右の方はおもちゃの入った段ボール箱。
左の方はトラックやおもちゃたち。

アレクサンダーのクラスで
うでのことについてやっていたとき
このすまいる号のことを思い出したのだった。

山の中の線路を走るすまいる号。

大きな段ボール箱の間の連結部分も
トラックあたりの小さな連結部分も
おもちゃあたりの小さな小さな連結部分も
線路が曲がるにつれ、順番に波のようになめらかに動く。
大きな車両 小さな車両
長い車体がゆっくりと蛇行するのは
すこぶる優雅で美しい。

私の「うで電車」は。

車両は二両。二の腕とひじ下から手首までのそれだけ。
連結部は「ひじ」一カ所。

手も指もいちおうひっついてはいるが
ちゃんと連結していない。

特に子供を抱いているときは

その手や指は、まるで新郎と新婦の乗る寿車に
カンカラカーンを音をたてながら
ひきずられ続けるカンカンのごとし。

すまいる号の段ボール箱が
二の腕と、ひじ下から手首までだとすると
トラックたちは手首からさきっちょ。
ほんとにさきっちょ、って感じである。

段ボール箱の間の「ひじ」連結部を曲げるときは?

なんとなく。「連結部を曲げている」実感はない。
しかも曲げたあとには、わざわざ丁重に固定する。

代わりに曲げようとしているのはむしろ
二の腕・ひじ下から手首までのまがるはずのない
段ボール箱の真ん中あたり。
無理矢理よせたりそらしたり。

これで子供を落とさないようにしているらしい。

曲がったまま固定されている二両電車。
そのさきにぶら下がったカンカンたち。

これで線路は走れない。
動く子供についていけない。

私は生きている。だからいつもうでも動いている。
さきっちょの小さな小さな連結部分も
すまいる号のように
滑らかに動かして線路を走ってみよう。

8個もある手首の手根骨(シュコンコツ)

そこから5つに枝分かれした指の骨たち

それぞれの第三関節、第二関節、
第一関節。

特に一番忘れ去られていたさきのさきっちょの
第一関節が動くと思うと

動きがさきっちょどまりではなく
指が終わっても続く感じがした。

宇宙をはしる銀河鉄道999みたい。

999で誰かに触れると
その人の電車とただつながって
さらに車体が長くなり、またそれがなめらかにうごく。
また別の電車につながると
さらにさらに車体が長くなって...

ずっとうごきつづけるのだった。
とてもきもちがよかった。

こんな風に人とつながれたらいいなあ。