ついに
手にとってしまった。



「一瞬の風になれ」



読んだら、

読み始めたら、

きっとわたしは
どうにも甘苦しい
気持ちになってしまうってわかっていたから、

ずーっとずっと
敬遠してました。



甘苦しい。



この表現は
「一瞬の…」からの一節。



陸上競技がストーリーの柱で、
もうそれだけで十分
胸が痛い。

ただでさえ
地味な陸上競技を

なのにそれを
3巻も書き上げてしまうなんて。







やだ。最終巻。

楽しみをしまっておけないこの性格、
やんなっちゃう。



もったいなくて、
読み進めるのが
こわいくらい

夢中になって
読みふけってました。

気がついたら、
朝の5時。





小学校から高校まで
陸上の中距離選手でした。


走ってないと
自分じゃないと思うくらい、
部活中心の毎日。

よくさぼったし
だから成績は
いまいちだったけど、

でも
全力で疾走する
どうしようもない苦しさと
ゴールした先にある達成感の
とりこになってしまった…
が最後。




7年走りました。




高校を卒業する
春休みのこと。



…これって、

カミングアウトになるのかな?



人生で(きっと、たぶん)
最初で最後の



ひきこもり、

やっちゃいました。



もう私の走る場所はないんだ。
もう卒業しなきゃいけないんだって、

どうしても
その現実を
受け入れられなくて。



高3。

絶好調で迎えたシーズンを
不注意の怪我で
棒にふり、
いまでもその
親指の傷をみると
胸が鈍く痛い。。。



そのあとの私は、
どこか本気で走ることを
やめてしまって、
グラウンドから
足が遠のいて…



なんてキレイな言葉じゃないか。



ホントは

頑張ることから
逃げちゃった、

が正解。



そんな自分を
よくわかっていたからこそ、
不完全燃焼なキモチが
余計複雑になって、

部屋のドアが開かないよう
ベッドをバリケードにして
閉じこもっちゃった。



食糧はカロリーメイト。



たったの1日、
だったけどね(笑)




卒業も入学も
同じ季節。

なのに
新しい場所で過ごす春を
すぐに受け入れられたのは、
若さゆえの順応だったのか。



どこでだって
走ろうと思えば
走れるわけで、
自分の場所は
いくらでもつくれるんだって、

ホノルルマラソンを完走したとき
やっと本当の
「卒業」ができた気がしました。



何気なく見た
女子上位選手の名簿に、
かつて
同じ地区で走っていた
選手の名前が。



まだ、走ってたんだ。



なんだか
ものすごく嬉しくて。







こんな本を
待ってたのかも。



あの頃を青春って
言ってしまうのは、
なんか悔しい(笑)

いまだって
一生懸命だし。

でも、昔を振り返るのは
そんなに悪くない。



わたしの「帰れる場所」
本棚にひとつ
増えました。





明日晴れたら
行っちゃう?


競技場に…!