アメブロTB企画 
 お題「NO MORE WAR! と思える映画」

フランスの占領下で、 ベトナム解放戦線が独立をかけて
戦っていた1952年のサイゴンが舞台の政治サスペンス映画。


「愛の落日」
THE QUIET AMERICAN

  2002/アメリカ

  監督:フィリップ・ノイス 
  原作:グレアム・グリーン[作家] 
     おとなしいアメリカ人』(早川書房刊)
  脚本:クリストファー・ハンプトン 
     ロバート・シェンカン 
  出演:マイケル・ケイン、 ブレンダン・フレイザー
     ドー・ハイ・イエン フォング



ロンドン・タイムスの特派員でイギリス人のトーマスと
愛人の美しいベトナム女性フォングとアメリカの援助団体の
一人として着任したばかりの青年パイル(ブレンダン)の
三角関係を軸に社会情勢、思想など織り交ぜたサスペンス。

戦争映画でもあり、銃撃戦や反対派の爆破テロ、
虐殺シーンもある。
巻き込まれるのはいつも一般市民であり、弱いもので
あり、死体の山、脚や手が飛んで血だらけの人々の
映像を見せ付けられ戦争の悲惨さ感じる。



邦題がめろめろな昼メロか韓国ドラマのようなタイトル
だけど、かなり辛口。
ラブストーリーではあるけれどかなりシリアスな話。
パイル(ブレンダン)がフォングに一目惚れして、
愛をささやくところは惚れ惚れしてしまう。

だけど、フォングにとっては初老のトーマスのことは
本当の愛なのか、生きる糧なのか……。
最初はトーマスの愛人だったフォングに片思い
したパイルがかわいそうだと思ったけど、
パイルが奪ったカタチになった時は、
トーマスがかわいそうで涙が出た。


トーマス役のマイケル・ケインの存在感のある渋い演技は
とてもいいのだけど、撮影当時70歳だったとか。
ベトナム人の愛人とは孫みたい。
知的なジャーナリストであるトーマスが
「いろんな女とつきあったけど」といって、
最後に選んだのが彼女っていうのがちょっとなあ。

ベトナム1の美人という設定で、二人の白人男性から
愛される役どころなんだけど、そんなに美人なの?
白人から見ると“一目ぼれ”するほどの美人なんだろうか?
確かに甘え上手でかわいい女ではあるけれど・・・。

トーマスはフォングをとても愛していた。

「銃弾よりフォングを失うことが恐い」とか

「彼女にとって私は重要じゃない。
でも、私は彼女を失ったら生きてはいけない」と
言ってた。

だけど、若いパイルとつきあうことになった時、
「彼女は君とつきあって正解だった」と言う。
なんか、ここはせつない。



トーマスの語りで始まり、最初にパイルの死体が見せられる。
水死体かと思うくらいぷよぷよの真っ白いブレンの
刺殺死体……。
そして、トーマスが回想する形で、パイルとの出会い
から、死体になるまでがつづられる。

ラストに刑事がパイルの死についてトーマスを
尋ねて来た時、トーマスは
「戦時下だぞ。人は毎日死ぬ」と言う。

あまりに死体を観ても鈍感になっているって

いうのは怖いことだ。


時代背景とか当時の政党や思想のことをよく理解
していないとちょっと難しい。
そして、話的にも観終った後、とってもイヤーな
気分になり、どよーんとしてしまう。



ブレンダンの白いスーツ姿を見られたのだけは
癒されたけどね。