鳩山首相・菅財務相の「気概」はどこへ行った? | 辻雅之のだいたい日刊オピニオン
1996年、いわゆる「旧民主党」が誕生し、現在の鳩山首相と菅財務相が共同代表に就任しました。今ある民主党はこの政党とは法的には異なる政党になるので区別しますが、事実上は、これが民主党の結成といえるでしょう。

当時は、かたや政権に復活し再建を目指す自民党と、小沢現幹事長率いる巨大野党・新進党の二大政党制になりかけていた時期です。そんななか、鳩山・菅両氏は地道な活動を積み重ね、若い政治家たちをリードしながらその存在感を高めていったのでした。

鳩山氏は首相の孫という政界サラブレッドでしたが、悪く言えばいいところのおぼっちゃん。菅氏は市民運動出身で人気だけはあったものの、政治的な基盤は大変弱い。自民・新進の二大政党の狭間で埋没していくと思われていたのは当たり前でした。中曽根元首相はこの党を評して「すぐに溶けるアイスクリーム」と言いました。きれいなことを言って人気だけでもっているが、実力がないからそのうちなくなるよ、という意味です。

そんな評判をはねのけて、民主党を今日ここまで持ってきた鳩山・菅両氏の功績は大きいですし、そのなかで磨かれてきたリーダーシップも相当なものがあるはずです。親のお金があったからといって、このご時世、そんな何度も政党の代表になんかなれませんからね。

それが、今は小沢幹事長にきりきりまい。どうすることもできず、小沢氏に依存している状態。これはどうしたことかというところです。

大企業や地盤、業界団体、そして大きな実力者の力に頼らなくても、国民の意見をしっかり汲み取ればいい政治ができるはずだということで生まれた民主党。それを作り上げた現在の首相と財務相。その気概は今、どこにあるのでしょうか? 

多くの有権者はこの「気概」に動かされてきたはずです。まだ、どこかにあるといいのですが。なくなってしまっているのであれば、それは日本政党政治のなかの、一つの悲しい結末ですね。