成長する会社の共通項は、社員が仕事を楽しくやっていること。


つたない経験ではあるものの、企業成長の現場で働いて得た確信

である。従って、会社の調子を測る際に、投資先の社員に対して、

よくする質問は、「最近、仕事、楽しい?」である。


先日も投資先の若手中堅社員に聞いたところ、即答で「はい!」と

返ってきて、とても気持ちが良かった。同席していた社長も嬉しか

ったようである。潜在力はあるが、資金繰りは常に厳しい、まだまだ

の会社であり、給料もさして高くない。転職をキャリアアップと称す

る人材紹介会社が、推奨するような会社には至っていない。


では、どうしたら仕事を楽しくやることが出来るのだろうか?


豊かな時代になり、青い鳥を探すが如く、楽しめる仕事との出会い

を求めて、会社を渡り歩く若者は多い。アメリカ流のキャリアアップ

は、専門職は変えずに会社を変えることである。それに対して、単

なる転職は、職業を転々とすることである。転職しないと天職には

出会えない、と強調する人もいるが、果たしてそうだろうか?


また、辛抱してやっていれば、どんな仕事も楽しくなる、という精神

論で苦行を求める向きもある。しかし、修行と無理やりに思い込み、

辛さを押し殺しているのは、楽しい状態とは言えない。社会人の基

本を身につけるには重要なプロセスだが、石の上にも3年のプロセ

ス自体が楽しい訳ではない。


結局、嫌いな仕事はしない、という態度を貫くことが、楽しい仕事と

巡り会う確実な方法ではないか、と思っている。しかも、「仕事の

好き嫌い」というのは、仕事内容そのものよりも、誰から頼まれる

仕事か、誰と一緒にやる仕事なのか等々、人間関係に根ざす要

素が実は大きいのではないか、とも思っている。


自分自身の話としては、投資先の会議に参加したり、投資検討先

の資料を見たりして、休日に「仕事」をすることもある。「土・日が潰

れると辛いですよね?」、と聞かれることもあるが、使命感を感じて

やっているのであって、辛さを感じることは一切ない。調子がいい

時は、月曜日が待ち遠しいこともある。成果を挙げるため、仕事中

毒には気をつけているが、辛いと思って仕事をした記憶は最近ない。


失敗確率の高いベンチャー企業が活力を保つには、楽しく仕事を

することが重要である。「あまり儲からないんだけど、毎日楽しい

よ。」と言ってくれる投資先が増えることを願いつつ、仕事を楽しく

感じる雰囲気作りに力を尽くしたい、と日々思っているのである。

2007.7.22