家と船、
すなわち家族と仕事、
のどちらを取るかを迫られたアリスは、
ブルーの蝶の誘いによって、
ワンダーランドに導かれる。

ここはアリスの想像の世界。
摩訶不思議なキャラクターたちが、
色鮮やかに美しい景色の中に生きている。
緩やかな時間が流れるお茶会が、
アリスの登場と同時に慌ただしくなる。

動き出すエネルギーは、
いつも誰かのことばかりだ。
誰も自分のために動いていない。
それは暴君と呼ばれる赤の女王も同じこと、
いつも誰かのことを思い煩っている。

戻せないはずの時間を戻すことによって、
時間は戻せないと、
本当に理解する。
だったら今、どうするべきなのか?
一番大切なことは何なのかを考える。

勿論この結論を導くラストシーンが、
クライマックスに違いないのだが、
その結論としたものが、
いつも正しいわけではない。
事実アリスの出した結論は、
母によって呆気なく覆されている。


道は常に二つに分かれ、
その道のどちらを行くのも、
正解でも不正解でもないのだと思う。
だから僕たちは、
安易に同じ道ばかりを歩いている。
安易というより、
無意識に、思料なく。

もっともっと、
深く考えることが必要だ。
アリスがアリスであるために、
アリスの中の者たち、
すかわちアリス自身の全てを信じ、
大切に思っていたように、
自分のことを知りたいと願い、
自分を見つめ、
そして応えていこうと、思いたい。

ワンダーランドは、
誰の胸にもある。
そこに行く勇気を、
行く機会があるならば、
僕いつまでも失いたくないと思う。
それは例え、
体の自由がきかなくても、
心の翼がある限り。


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