途中で寝てしまって、一度では見られなかったが、

そのお蔭もあって、

落ち着いてゆったりとした映画の雰囲気をシッカリ堪能出来たように思う。


ジョージ6世の実話を元にした映画だが、

それにしても兄エドワード8世の「王冠をかけた恋」は、

正におとぎ話のような実話である。


この映画ではかなり端役、敵役的な扱いになっているが、

その実は、そんなこともないのだろうと感じた。

土台、こんな損得勘定抜きのようなことをしでかす輩、

性根の悪いはずもあるまい。

但し、彼は今の世の中においても、

あまりいい評判にはなりそうもない。

というか、ネットクレーマーの完璧なる餌食だ。

彼にとっては、

きっとここで一線を引いた選択がベストだったのだろうな、と思う。

世界とか、人生とか、そういうレベルでは、

「人生の彩り」というところで、

少し損をしているかも知れないけれど。



<エドワード8世>


さて、主役はジョージ6世である。

もう一人の主役言語聴覚士(どうやら免許はなかったらしいが)のローグとの、

訓練を含めた様々な機微が、

この映画の華と言えるだろう。

本当の信頼とか、友情なんてものは、

作ろうとして出来るものじゃない。

それがどうしても必要だから、

嫌が応にも信頼し、

それに応えようとして必死になるところから、

いつの間にか築かれてしまっているものなのだろう。


確かに政治家と言えば喋るのが仕事、

これが吃音というのは大変なハンデキャップに違いない。

そうなる背景には色々あったようだ。

どこまでが事実か、脚色か、はたまた想像かは分からないが、

ロイヤルファミリーに生まれ、

そこで育つということで背負う、

ここでは語り尽くせないほどの、

大きなストレスもあったんじゃないだろうか。

多分それでひとつ物語が出来るくらいの。


カチンコカチンコカチンコ


結局人は、

それぞれの置かれた環境によって、

大なり小なりのストレスを抱えて生きていく。

しかし、

人のストレスを自分のものとして捉えることは、

難しいが故に、

隣りの芝生はいつも青く見えてしまう。


自分を指して、

こんなに苦労している人はいないと言う人、

言わないまでもそう思っている人は多いけれど、

大抵はどれほど筆舌を尽くして語ってもらっても、

物語のひとつも出来やしないのに。


不幸自慢には、

何の発展性も未来もないのに、

僕たちはどうしてこんなに、

自分を不幸だと思い、嘆き悲しむのだろうか。

一度、DNAに聞いてみたいものだ。


カチンコカチンコカチンコ

ジョージ6世はこの後、

戦争に向かう国を鼓舞し続けるが、

かつて世界を牛耳った大英帝国の、

止めどない崩壊に、安らかなる時を経ずに生涯を終える。

例え誰が国王として君臨したとしても、

変えようのなかった歴史の流れを、受け止めて。


唯一、ローグとの友情は死ぬまで続いた。

二人三脚の仕事が、

少なくともその時代に必要とされたことは、

彼等にとっての福音である。


そして、この映画のもう一つの彩りは、

ヘレナ・ボナム=カーター演じるジョージの妻エリザベスだ。

ヘレナはこの役を、前に出過ぎず、陰に隠れず、

とてもキュートに演じていた。

そして次の時代を担う娘たちがいた。


最悪の時代の、

吃音の国王は、決して不幸な人生ではなかった。

むしろ、そのハンデキャップや、

苦難の時代だからこそ輝いたのかも知れない。


同じ兄弟でありながら、

エドワード8世とは大きく違う人生を歩んだジョージ6世だが、

「彩り」という部分でも、実は負けていない。

だからこそ、こんな物語になり得たのだろう。



<ジョージ6世>


さて、僕たちは輝けるだろうか。

答えて、僕たちのDNAよ。

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