2月24日金融庁は、金融機関による、中小企業の経営改善支援及び事業再生支援を中心とした支援事例(特にトップラインの改善に係る支援事例)を整理・類型化し、金融機関による中小企業の効果的な支援手法を把握することを目的とした調査結果を 公表しました。

この調査は株式会社NTTデータ経営研究所に委託したものです。

報告書概要(PDF:1,604KB)

本文(PDF:1,845KB)

 本報告中の、中小企業を対象にしたインタビュー調査結果をまとめると以下のようになります。

①中小企業が受けているトップライン支援は、「コンサルティング」、「販路拡大支援」、 「セミナー・勉強会等を通じた情報提供」、「金融面からの支援」の 4つの類型に区分できる。

②金融機関によるトップライン支援の対象先・数は、限られた範囲に留まっている。また、トップライン支援に対する満足度も高いものとはなっていない。

③中小企業は、金融機関による「事業内容等の理解(目利き能力の強化)」、「リレーションシップの構築」を求めている。 また、「トップライン支援策のPR」が不足しているとの意見も散見される。


④中小企業は、事業内容や経営課題、経営者の悩み等を理解した上で実施されるトップライン支援をはじめとする付加価値の高い経営支援を求めている。



 この中で④にあるように、中小企業が事業内容や経営課題、経営者の悩みを理解した上で実施されるトップライン支援を求めている点は、今後のトップライン支援のあり方を検討する上で重要なポイントと言えます。

他方で、取り組み側である金融機関を対象にしたインタビュー調査結果をまとめると以下のようになります。

①各金融機関は、顧客企業のニーズに応じて 「コンサルティング」や「販路拡大支援」、「セミナー・勉強会等を通じた情報提供」、「金融面からの支援」等、各種の支援策を 用意し、提供している。

②多くの金融機関において、効果的なトップライン支援を実施していくためには、 「専門性を高める必要性」 や 「経営資源の不足」 という課題があることを認識している。

③金融機関では、トップライン支援をはじめとする経営支援を強化するために、 内部の組織・体制を強化し、専門性や経営資源の不足を支援機関等との連携により補完する取組みを模索している。


 この中で③にあるように、金融機関がトップライン支援を強化するために、内部組織・体制を強化している点、 他の金融機関や支援機関等と連携して、専門性や経営資源を補完している点は、 トップライン支援のあり方を検討する上で重要と考えられます。

 この報告の最後に金融機関のトップライン支援に係るインタビュー調査の総括がまとめられておりますので、それを抜粋します。

★中小企業及び金融機関へのインタビュー調査の結果を総括すると、大きく以下の3つの課題に集約される。


 金融機関は、顧客企業のニーズに応じた各種支援策を用意しているが、金融機関による 支援を評価していない、また、そのような支援を受けたことがない、若しくは知らないとする 中小企業が多く存在し、対象先・数は限られた範囲に留まっている。 ・・・ 課題①

 金融機関の支援を評価しない中小企業の多くは、「事業内容等の理解(目利き能力)の 不足」、「リレーションシップの欠如」を指摘している。 ・・・ 課題② 及び ③


★こうした課題を踏まえると、今後の金融機関によるトップライン支援のあり方においては、以下が重要と考える。

① 本部と営業店の連携を強化する等、金融機関自身の組織・体制を強化し、顧客企業 とのリレーションシップを構築した上で、中小企業のニーズに沿った支援を実施すること

② 他の金融機関や支援機関等との連携強化とその専門的知見の活用を通じ、 顧客企業の事業内容等を把握した上で、付加価値の高い支援を実施すること

③ ① 及び ②を通じて、中小企業の満足度の高い支援を幅広く実施すること


 よく読むと、示唆に富んだ内容が多く含まれています。中小企業とも、金融機関ともお付き合いのある当事務所にとっては、双方のスタンスを理解したうえで、より良いアドバイスができるようにならなければならないと改めて感じました。

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晴れ公認会計士・税理士 土田会計事務所です。

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