「四天(410)の日だよ、企画」
3時30分の華月裏
時刻は3時30分
今日のテニス部はオサムちゃんの気まぐれで急遽自主練になりマネージャーである私の仕事が一気に減った
いつも通りジャージに着替えボールカゴを用意すればしばらくは私の仕事は無い
先ほどの手紙を無視するわけにもいかないので各々楽しそうにテニスをしている部員たちの目に止まらぬようそっとコートから抜け出し華月裏へと向かう
この時間帯はみんな部活動の真っ只中でこの辺りに人の気配は無い
手紙の主を想像しながらテニスコートをチラチラ確認していれば後ろからポン、と肩を叩かれた
「ゴメン、待たせたか?」
「ううん、今来たところ…って蔵!?」
聞き慣れた声に思わず定番の返しをしながら振り返れば相変わらずの爽やかな笑顔を浮かべた蔵が立っていた
「もしかしてあの手紙って、蔵が?」
「…まぁ、そんなとこやな。」
カバンの中にある真っ白な封筒を思い浮かべながら尋ねれば蔵は微妙な笑顔で返事をした
「どうしたの?改まってこんなところで。」
「まぁなんとなくわかるやろうけど、」
そこまで言うとわざとらしく咳払いをして私に向き直る
「俺な、お前のこと好きやねん。」
「うん。………えぇっ!?」
蔵にしては珍しい少し照れたような表情に綺麗な顔だなー、なんて見惚れていたらさらっととんでもないことを言われまたしても無意識に返事をしてしまっていた
「いやいや、蔵が私を好きってまさかぁ。だって私なんかじゃ蔵と全然釣り合わないし」
「そんなことあらへん!!」
そうだ、これは夢だと自分にも言い聞かせるように両手を必死に振って否定していればあろうことか蔵は私の両手をガシッと掴み顔を近付けてきた
「ちょっ、近い、顔近い!!」
「俺は自分ほど可愛ええ女の子は見たこと無い。いつも一生懸命サポートしてくれてホンマに感謝しとる。」
「あ…うぅ、めっちゃ恥ずかしいんだけど。」
いつも冷静で微笑んでいる蔵からは想像し難い勢いで殺し文句を言ってくる
「もしかして、他に好きな奴おるんか?」
「いや、なんというか…」
私の煮え切らない態度に不安を感じたのか形の良い眉を下げて困ったような表情を見せる
これは…、反則すぎる!!
可愛すぎるんですけど、こんなに可愛い男の子見たことないよってさっきどこかで聞いたぞこれ
こういうのを仔犬のような表情というのだろうか
蔵ファンならずとも女の子なら誰しも射たれるであろうそんな表情を見ているのは私一人だけだと思うと自然と顔
が弛んできているのがよく分かる
ダメだ、このままだと確実に流される!!
握られている手を逆に握り返す勢いで蔵の手を掴みずっと外していた目線を合わせる
「ちゃ、ちゃんと考えたいから!少し時間もらえないかな?」
吃りながらも目を見てきちんと話す
蔵は少し驚いた顔をしていたがわかった、と言って手を離してくれた
「そんなら、部活終わるまでの間に考えといてくれるか?」
「うん。」
「じゃあ、俺はコートに戻るわ。金ちゃん暴れとったらアカンしな。」
「そうだね。私ももうちょっとしたら戻るね。」
来た道とは反対側からコートに戻っていく後ろ姿を眺めていれば蔵は突然足を止めて私に向かって一言
「聞いてくれておおきに。」
そう言い残して再び歩き出した
現在の時刻 3時35分
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エクスタ王子、白石くん。
爽やかエロスを目指そうと思ったのに(なんだそれww)なんか可愛い子になってしまった。
蔵様は女の子に対してお前ってあんまり言わないイメージ、というか言って欲しくないという願望。
○○さん、とか自分、とかが良い。
3時35分へお進み下さい。