朝から高崎線に乗り込んで実家に帰りました。今日仕事で急遽スーツが必要になって、まさかすぐには着ないだろうと今の家に一着も無くて。よりによって、今日なんだもの。

朝起きてぼーっとツイートを眺めていたら、目に止まってしまった活字が幾つも。支度をして家を出る直前に母親と電話しててもそんな話題になって、「ニュースでもやってたのよ…」なんて。

色んなところで話してますが、自分がアカペラを始めたきっかけは、ある日部活に行ったら女子の先輩達に呼び出され、あるアカペラグループがストリートライブで歌っている「夜空ノムコウ」のMDを聴かされた時のこと。「かっこいいですね!」と一言伝えたら、「でしょ!こういうの私達と一緒にやらない?」と、話は思わぬ展開に。これをやるって、どういうことですか…?

無責任な安請け合いはしたくないし、悩んだ結果やってみることにして、楽譜をもらって練習を始めました。高校の校舎内でアカペラを歌うのなんて当時じゃまだ恥ずかしくて、屋上へ行く階段の隅で小さくなって、ひっそり歌ってました。それから少し経って、グループ名は「レプリカ」に決まりました。

練習も重ねたある日、MDで歌っていたグループのストリートライブをみんなで観に行くことに。場所は通学で毎日足を運んでいる大宮駅東口の一角。そこで聴いたアカペラは、すごいの一言。当時アカペラのことをまるで何も知らなかった自分なりの、最上級の表現でした。

「どうしたらこんなに上手く歌えるんだろう…」

自分達の練習しているアカペラが、えらくちっぽけに思えて仕方ありませんでした。ベースはたかくさんで、レオさんはまだいませんでした。

夏の暑い日に大宮駅東口で歌っていたあの人達の、それからのご活躍はご存知の通り。自分と同じように、あの人達に憧れてアカペラを始めた人、そして今も続けている人がどれだけ多くいるのでしょう。

レコーディングエンジニアに成りたくて専門学校に入学する頃、ボイスパーカッションの奥村さんから言われました。

「そのうちRAGのレコーディングしてね」

この仕事に初めて具体的な夢を抱いてから、あっという間に月日が流れた今、レコーディングエンジニアからライブのPAエンジニアに夢はかたちを変え、アカペラグループをはじめ様々なアーティストの方々をサポートさせて頂く日々です。

活動休止という事実には驚いた側の一人である自分ですが、いつの日か再開することを心から期待して、あの頃の夢は抱いたままでもいいですか?

よりによって、今日なんだもの。

見馴れた埼玉の景色を眺めて、色々想いました。そしてエンジニアとして精進すべき理由が、またひとつ増えました。

True Notes